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いよいよ夏が近づき、ベストシーズンの秋にかけて、ニューヨーク旅行の計画を立てているあなた。海外に出かけるにあたって、心配なのは治安です。世界一治安が良いと言える日本と、外国は治安が大きく異なります。でも、心配ばかりしていては、海外旅行を楽しめませんね。国内から海外へ出るのは得難い経験です。
そこで、在ニューヨーク日本国総領事館の領事部にご協力いただき、Tabizine読者のあなたのために、「ニューヨークの治安・安全対策」についてお伺いしてきました。ニューヨークのみならず、外国へ旅行するあなたに役立つ情報が満載です。ぜひ、ご旅行の前にご覧くださいね。
あなたがニューヨークで安全に旅するコツ6か条とは
「ニューヨークでは、具体的にどうすれば安全なの?」と思ったあなた。大雑把にくくると、ポイントは6つです。ニューヨークに限らず、ほとんどの外国で共通しますので、覚えておいてくださいね。
行ってきます!家族に連絡先を伝えて旅立とう。
海外旅行へ出かける時は、家族に旅先の国名・都市名と宿泊先の住所と電話番号は残して旅立ちましょう。あなたがすでに独立して、家族とは別居していても、海外の連絡先は電話かメールで伝えること。海外旅行は、司法も治安も異なる国へ行くからです。SNSで連絡が取れると過信していても、WiFiの繋がっていない場所も多くあります。
本人が家族とはラインでいつでも連絡が取れると旅の連絡先を伝えていなかったところ、いきなりラインでの連絡が取れなくなり、本人の行方が分からなくなった。
「外国旅行へ行って、行方不明になった娘を探して」と言われても、訪れた都市名や滞在していた先などの手がかりがなければ外務省でも探しようがありません。
出発前に外務省海外旅行登録「たびレジ」に必ず登録しましょう。最新の海外安全情報を日本語のメールで受信できます。また,緊急事態発生時等に連絡,安否確認等の支援が受けられます。詳しくは次回の連載で特集します。
パスポートは海外では命。常に意識を。
海外に出たら国籍を含めあなたの身分を証明するパスポートは、命の次に大切なもの。日本のパスポートの信用度は国際的に高いことから、盗まれたパスポートが不正入国など国際犯罪に悪用されることがあります。パスポートを紛失した後で、「うっかりした」「よく覚えてない」と言っても取り返しはつきません。旅行中は常にパスポートから意識を離さないようにしましょう。バッグに無造作に突っ込まず、パスポート入れやポーチなど特定した場所に入れることが大切。
過去には、親切なタクシーの運転手さんやお店の人から「日本人がパスポートを忘れている」と届けられた事例もあるそうです。ただし、こういう幸運は稀なので、紛失しないことが一番。パスポートを紛失したら、日本に帰国出来ませんよ。
全身ブランドものはNG。わかりやすいデザイナーブランドを着用しない。
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誰からでも一目で分かるシャネルやヴィトン、グッチ、バレンシアガなどのブランドものを身につけて街中を歩くと、犯罪者には分かりやすいターゲットに。上から下まで全身ブランドを身につけるのも、海外では大変目立ちます。盗難やスリに遭いたくないのなら、高級ブランド品は身につけないことをお勧めします。近年ではブランドづくめの中国人や台湾人も被害に遭うことが多く、目立つシュプリーム(Supreme)やオフホワイト(Off-White)の人気ブランドを身につけているのも、日本人・韓国人・中国人が圧倒的。アジア系は、特にブランド志向が高いようです。
アメリカでは、普通のOLがデザイナーブランドのバッグや靴を着用していることは、ほとんどありません。少なくとも、タイムズスクエアや地下鉄内では見かけません。日本人のように背伸びしてブランドものを持つことはなく、皆自分の生活レベルにあったバッグや靴、衣服を身につけているのです。目立ちなくないのなら、ジーンズ着用がオススメ。ほとんどの旅行者はジーンズなどカジュアルウェアで、観光しています。
空港や観光スポットで話しかけてくる人を相手にしない。
自由の女神やタイムズスクエアなど「観光スポット」や、「JFK空港」で空港関係者を装い親しげに話しかけてくる人間に注意。格安で案内する、エアトレインが変更になったといっても相手にしないこと。いずれも強盗に変わる可能性あり。空港関係者を装った人間、カーサービスの案内(白タク)などは、一度あなたの荷物を持ったら返してくれません。正規のイエローキャブやシャトルバスは乗り場が決まっており、誘導する係員はいません。
●観光スポットや空港内外で見知らぬ人間に声をかけられても、口を聞かないこと。(返事をしたら、彼らのペースに捕まってしまいます。)
●あなたの荷物を見知らぬ人に触らせない、渡さないこと。(荷物を持たれたら、返してくれません)
●見知らぬ人間に付いていったり、白タク車内に乗り込まないこと。(強盗に変わります。車内は逃げられない密室です)
観光都市に住むニューヨーカーは、一般的に旅行者に親切で、「街中」で困っていると声をかけてくれる人もいます。ただし、「観光スポット」や「空港内外」には一般のニューヨーカーはほとんどおらず、馴れ馴れしく声をかけてくるのは、下心のある(犯罪を企む)人間です。馴れ馴れしく声をかけてくる人間を、「アメリカ人はフレンドリー」と勘違いしないこと。フレンドリーではなく、良からぬことを企んでいるのです。
用がなければ、夜は外出しない。
夜のタイムズスクエア 観光客に混じって、怪しい人間もいる
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ニューヨークは、サマータイムに変更された5月以降は日が長くなります。朝5時半頃から夜9時頃まで明るいのですから、時間がたっぷり使えて、ニューヨークを満喫できます。明るいうちで、人気(ひとけ)のあるところでしたら、問題はありません。
ただし、夜間は人のいる大通りから一本横道に入っただけでも、いきなり雰囲気が変わります。人気(ひとけ)がない、雰囲気が悪い、危ない感じの人間がたむろしていると思ったら、即座に明るい大通りに戻ること。食事に行く、ガイド付きのツアーに行く、現地の友人・知人が案内してくれるなどの決まった予定がある以外の夜間は、用もなくぶらぶらしないほうが得策。夜間にたむろしている人間は、昼間は見かけない種類の人間も多く、土地に慣れてない様子の旅行者を見抜いて、恐喝や窃盗を企んでいることがあります。これはどの観光地でも同様です。さらに、アメリカは銃を所持している人間や、ドラッグ(違法薬物)中毒者がいることを覚えておいてください。
テロがある可能性を常に考慮する。
テロ対策担当のニューヨーク警察官
(C)Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com
欧米を含めた世界各地でテロ事件が頻発している中、人の集まる場所では、テロの可能性を考慮しなければなりません。ロンドン、パリ、ニューヨークなど世界の大都市は、常にテロ警戒を行っています。
ニューヨークでは、タイムズスクエア、収容人数2万人を超すマジソンスクエアガーデン、ワールドトレードセンターなど多くの場所で厳重警備が敷かれています。また、マンハッタンの街中ほぼすべてのブロックに、セキュリティーカメラが設置されています。
(C)Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com 爆発物の探知をする、K−9テロ対策の警察犬
私たちのほとんどがテロに遭ったことはありません。もしもそういった状況に遭遇したら、いったいどうしたら良いのでしょうか。ニューヨーク総領事館の領事部によると、「異常な音を聞いたり、人が騒ぎ始めたら、速やかにその場から離れる」ことが大事だそうです。
● 空港はしばしばテロリストの襲撃のターゲットとなっていることを念頭に置く
● 爆風によりガラスが飛び,被害を受けることがあるので,ガラスを多く使用した高層ビルの下等はなるべく通行しないようにする
● 爆弾テロの標的となるおそれのある、人の多く集まる場所への立入りはできるだけ避ける
ニューヨーク市警を招いたテロ安全対策懇話会は、日本人が約60名も参加した。
「テロ安全対策懇話会では約60名もの日本人が参加した」と語る 在ニューヨーク日本国総領事館 外山領事
(C)Hideyuki Tatebayashi
ニューヨーク市警を招いて、2019年4月に行われたテロ安全対策懇話会(テロ対策担当者がテロや銃撃事件に遭遇した際の対応策について講義)では、約60名の日本人が集まったそうです。世界で最もテロの標的になっているとも言われるニューヨークでは、テロ安全対策に対する日本人の意識が高いことが伺えました。
ニューヨーク市警が教える、銃乱射事件に遭遇した際のABC
「ニューヨーク市警は、銃乱射事件に遭遇した際のABCを教えています」と語る 在ニューヨーク日本国総領事館 野崎領事
(C)Hideyuki Tatebayashi
ニューヨーク市警では、銃乱射事件に遭遇した際のABCを教えているそうです。AはAvoid(逃げる)、BはBarricade(たてこもる) 、CはConfront(立ち向かえ(Cは最終手段))を意味します。ABCとは覚えやすいので、私たちも覚えておきたいですね。CのConfront(立ち向かえ)は最終手段になり素人が立ち向かうのは難しいですが、「窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)」というように追い詰められた時には、予想しない力も出るかもしれません。
1 Avoid:逃げる
(1)逃げることができるのであれば,必ず外に逃げる
(2)隠れる場所を探さない
(3)エレベーターを使用しない
(4)持ち物は持って行かない
(5)警察官と遭遇した場合には,必ず両手を広げて挙げる
2 Barricade:バリケード化
(1)部屋に隠れる場合には,必ず扉をロックし,机,テーブル,ファイルキャビネット等の家具でバリケード化する
(2)室内の電気は消灯する
(3)携帯電話はマナーモードではなく,サイレントモードにする
(4)できる限り低い姿勢を保つ
3 Confront:対決する(注:こうすれば確実に助かるというものではない)
(1)積極的かつ迅速に反撃する(※ 犯人側は襲撃相手が抵抗することを想定しないため,反撃に出れば犯人側が躊躇する可能性がある)
(2)周りに複数の人がいる場合には,協力して制圧を試みる
(3)身の回りで反撃に利用できるものを武器にする(いす,はさみ,カッターなど)
※ 事件の発生状況によっては,上記の対策が必ずしも最善策にはなり得ない可能性があることをご留意ください。
あなたがニューヨークで安全に旅するコツ6か条に共通することは、「日本とは治安が違う外国という意識」を持つことです。この意識さえあれば、安全で楽しいニューヨークが過ごせます。特にひとり旅は、「騙されている」「詐欺にあっている」と分からず、取り返しのつかないことになってから犯罪被害に遭ったと気づく場合が多いので、「ニューヨークで安全に旅するコツ6か条」を常に念頭においてくださいね。
【ニューヨーク総領事館に聞いた】は連載でお届けいたします。海外旅行および出張に行く予定のあなたは、ぜひ続けてご覧くださいね。
取材協力 在ニューヨーク日本国総領事館 大橋領事部長、野崎領事、外山領事(敬称略)
在ニューヨーク日本国総領事館
住所:299 Park Avenue, 18th Floor, New York, NY 10171
(パークアベニュー、48丁目と49丁目の間の東側にあるビルの18,19階です)
電話番号:電話(代表): (212)371-8222
(電話取次時間: 土日及び休館日を除く午前9時30分から午後5時30分。但し、緊急の場合は24時間対応)
領事部(直通):パスポート、届出・証明、ビザなどのお問い合わせ
電話: (212)888-0889 FAX: (212)755-2851
窓口時間 :午前9時30分から午後4時 (土日、休館日を除く月曜日から金曜日)
Website: https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/html/index.html
1階受付において身分確認をしています。パスポート、自動車運転免許証、学生証等、身分証明書をご用意ください。
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『【特集】ニューヨーク総領事館に聞いた、NYの治安最前線』もお見逃しなく。