ビールのお風呂・・・!?チェコのクリスマスで絶対すべき体験5つ【チェコ共和国】

Posted by: 鈴木幸子

掲載日: Dec 19th, 2019

中世の香り漂うチェコ共和国の各都市で、クリスマス時期にぜひやってみたい体験5つをセレクト! チェコのクリスマスマーケットは、単にツリー飾りや贈り物を選ぶだけではなくて、普段は忙しくて会えない友人達と毎晩のように集まって貴重な時間を過ごす「年忘れの会」のようでもありました!

ピルスナー発祥の地でビール風呂に入る


ビールのお風呂!!!寒い季節にぜひおすすめの贅沢なスパ体験です。プラハから南西へ電車で1時間半の距離にあるプルゼニュ(ドイツ語でピルゼン)は、ホップが効いた黄金色のビール「ピルスナービール」の発祥の地(1842年)。


ビールは大きく分けると、コクのある「エール」とキリッと辛口系「ピルスナー」に分けられますが、世界の大半のビールはピルスナー。日本でよく飲まれるビールもピルスナー系ビールです。


その世界初ピルスナービールを生んだビール醸造所が「ピルゼン・ウルケル」。現在はアサヒビールの傘下となっています。


ピルゼン・ウルケルのビール工場を見学した後、プルクミストル・ホテル(Purkmistra Hotel)にチェックイン。このホテルは古い農家を改装して造られたビールスパ&ウェルネスホテルで、レストランやボーリング場も併設しています。


チェックイン後、さっそくビールスパへ! なんと、大きな木の浴槽にビールの素、ホップ、モルトを混ぜた液体が注がれます! そして熱いお風呂に入りながらビールが飲めるという至福の時間が待っていました!! 


頭から足まですべてビールに浸かるのが良いということで髪も濡らしました。ビールスパは、古代エジプト時代からある歴史ある美容法。ビールのビタミンB成分がお肌をきれいにしてくれます。約30分ほどでしょうか、ビール風呂に浸かっていると体がポカポカしてきました。ちょっと喉が渇いたら、生ビールやレモネードをいただきます。


ビール風呂から上がったらリラックスルームでクールダウン。体も温まり、とっても良い気持ちでお肌もスベスベに! 夢見心地の約2時間。今まででもっともテンションが上がった海外旅行体験ベスト3に入るかもしれません!


ビールスパの後は、ビール御膳! 6種類のビールとともに、ガーリックを付けたパンに牛生肉を塗っていただく牛ステーキタルタル、山羊チーズとクルミのサラダ、ブリーチーズのマリネなど、チェコの伝統料理を堪能しました。


プルゼニュの共和国広場で開かれるクリスマスマーケットは、聖バルトロミェイ大聖堂の頂上から見下ろすことができますよ! こちらは大聖堂入口から撮った1枚です。

プルゼニュのクリスマスマーケット
開催期間:〜2019年12月22日(日)
開催時間:9:00~18:00
開催場所:共和国広場
住所:nám. Republiky, 301 00 Plzeň 3, Czech Republic
アクセス:プラハから電車で約1時間30分

プールクミストラ・ピルゼンビールスパ&ウェルネスホテル
(Purkmistra Beer Spa & Wellness Hotel)
HP: https://www.purkmistr.cz/en/

ジンジャーブレッドのデコレーションに夢中


華やかなチェコの首都プラハで体験したいのが、クリスマスの時期にしかいただけない「ジンジャーブレッド(生姜クッキー)」のデコレーション体験です。場所は人気観光スポット、プラハ城から歩いてすぐの「ジンジャーブレッド・ミュージアム」。お店に入ると、可愛らしいデザインのジンジャーブレッドが所狭しと並んでいて、目移りしそうです。


ジンジャーブレッドって食べたことありますか? いくつかの国でテイストしたことはありますが、実はチェコのものが一番おいしいのでは?と感じています。しっとりと柔らかくて、甘すぎず、生姜の香りがいっぱい。きっと日本人好みの味わいです。


クリスマスが近くなると各家庭でジンジャーブレッドを作ります。レシピは家庭によっても違うそうですが、基本的にはシナモンと生姜は必ず入り、カルダモン、ラベンダー、アニスほか7種ほどのハーブやスパイスが入っています。チェコではクリスマスに鯉のフライを食べる習慣があって、そのために鯉の形のものも人気だそう。クリスマスマーケットに行くと、たくさんの種類のクッキー型抜きが売っていました。


ワークショップのスタート!すでに出来上がっているジンジャーブレッドに、白、ピンク、青、緑、黄色の砂糖で模様を付けていきます。まずは、館内のサンプルを見て自分だけのデザインを考案。


天使のパンツを波柄にしようかなぁ! など、何のルールもない自分だけのスタイルのお絵描き。やり始めるともう無我夢中。他の人のものもチラチラ見ながら、もっと可愛くしなきゃ、と必死になって、あっという間に時間が経ってしまいました。


デコレーションが終わったら、オーブン板に並べて焼きあがるまで待ちます。そして、出来上がったものは全部持ち帰ることができますよ。プラハで作った日は試食はしていないので、帰国してからいただいてみると、本当に美味しくて後を引く味・・・もっとたくさん買ってくれば、と後悔したほどです。


ジンジャーブレッドは14世紀から存在するチェコ、オーストリア、ドイツ周辺の伝統食です。昔は裕福な家庭で、出産や結婚式など特別な催事に作られていました。17世紀頃、ハチミツが広まるとジンジャーブレッドは一般的に食されるようになりました。19世紀にはもっと盛んになり、男性から女性にハートのジンジャーブレッドを渡すのは、愛の告白を意味していたそうですよ! 

14世紀には、女の子が生まれるとジンジャーブレッドの生地を人形の形にして、ひんやりとした洞窟に入れて保存し、その女の子が結婚する時に、それを焼いて食べたという伝説が残されています。


ジンジャーブレッド・ミュージアムのワークショップは約2時間で、約1500円。意外にも男性もハマるということでした。プラハ城は人気でいつ行っても長蛇の列なのですが・・・そんな時はこちらの体験にシフトしてみてはいかがでしょうか。

ジンジャーブレッド・ミュージアム
住所:Nerudova 254 / 9 , Prague 1 – Malá Strana , 118 00
営業時間:11:00~19:00
定休日:なし
HP: www.gingerbreadmuseum.cz

プラハのクリスマスマーケット
開催期間:〜2020年1月6日(月)
開催時間: 10:00〜22:00
開催場所:旧市街広場
住所:110 00 Staré Město, Praha, Czech Republic

薬草師が作る「ハーブ・ドロップ」を買う


スケートリンクも設置され、チェコで最も美しいといわれるオロモウツのXmasマーケットを訪ねてみました。オロモウツは、世界遺産の「聖三位一体柱」をはじめとする古い文化遺産はもちろんですが、芸術の都としても知られ、モーツァルトがこの地で交響曲6番を作曲したことは有名です。教会も多く住民の信仰心も厚いそうです。


地方都市のクリスマスマーケットの楽しさは、その土地でしか売られていないような手作りの逸品に出合えることです。オロモウツではとくにハーブ系のものを多く見かけました。


藁で作った味わいのあるツリー飾りもたくさん! 


3つ買いこんだのが、ハーブのお薬「ハーブ・ドロップ」です。チェコ共和国は古来より薬草による民間医療が盛んで、現在でも、森や庭から採ってきたハーブを利用して、お茶はもちろんですが、なんと手荒れ用クリームまで作っているのです。それも各家庭によってそれぞれのレシピがあるそうなのです。

クリスマスマーケットで売られていた「ハーブ・ドロップ LÉČÍME PŘÍRODOU」は、お湯に薄めて使うハーブのお薬。ストレスを和らげる、胃腸を整える、肝機能を促すものなど25の種類が置かれていました。眠り薬には、ハレリアン、ホップ、レモンバームの3種のハーブが。抗生物質に近い効果を出すものは金蓮花、スターアニス、クローブ、シナモンが入っています。


ちなみに、風邪の喉の痛みに効くものと、眠り薬、ストレス解消の3種を購入。ストレス解消のハーブ・ドロップはバニラの香りがほのかに漂い、一番人気ということでした。帰国して試してみると、たとえば、たまに時差ボケを治すために睡眠導入剤を使っていましたが、それよりもっと優しい効き目で自然に寝付くことができました。

使い方は、ぬるま湯100mlくらいにスプーン1杯ほどのハーブ液を入れて混ぜて飲みます。次回オロモウツを訪れたら、もっとたくさんの種類のハーブ・ドロップを購入したいと思っています。

HPのチェコ語を日本語で訳してみると「薬草師が作っています」とあります。薬草師とはなんと素敵な響きでしょう。この後、プラハの自然派コスメ店ボタニクスの日本人スタッフ(元看護士)から話を聞く機会があり、地方へ行けば行くほどハーブ民間医療が浸透していることが分かりました。チェコのハーブづかいのテーマで1冊の本が書けるのではないかと思ったほど興味深い内容です。


皆さんもぜひ、オロモウツのXmasマーケットへ出掛けて、このハーブ・ドロップを買って試してみませんか! とてもナチュラルで、心にも体にも優しい薬草の民間薬ですよ。

オロモウツのクリスマスマーケット
開催期間:~2019年12月24日(火)
開催場所:聖三位一体柱前周辺の広場(広範囲にわたる)
(賑やかになるのは17:00~22:00頃まで)
アクセス:プラハから電車で約2時間

美食の街ブルノでクリスマスドリンクを飲む


チェコの5つの街を巡った中で、クリスマスマーケットの各お店の充実度がもっとも高いと感じたのは「ブルノ」でした。


ブルノといえば、チェコでも最先端のモダンチェコ料理が評判です。グルメ度の高いこの街で、クリスマス時期だけにいただけるクリスマスドリンク「トゥルボモシュト」をいただいてみましょう。


一番おいしい、というモラビア広場の屋台へ行ってみました。詳細レシピは企業秘密ということでしたが、リンゴジュースとアップルブランデー、シナモン、カルダモン、バニラなどが入っています。寒いクリスマスの時期はこれをいただきながら体を温めてマーケットを散策するのです。


1杯110コルナ(約520円)ですが、飲み終わった後にコップをお店に返せば、コップ代50コルナは戻ってきます。地元の人は一度トゥルボモシュトを買ったら、ずっとシーズン中は同じコップを利用して、翌年も使うそうです。ゴミを増やさない工夫です。


Xmasマーケットは2か所で開かれます。ひとつは旧市街の聖ドミニコ広場。各ショップのブースが全部同じ形にそろい整然としていて、ピンク系のリースが印象的です。もう一つは自由広場。ステージではさまざまな音楽イベントも開かれ賑やか。ステージ横には大きなスクリーンがありますが、#brnoxmas でインスタグラムを上げると、このスクリーンに紹介されるそうですよ! 


ブルノは10年ほど前から都市開発が始まり急速に発展した街ですが、旧市街のしっとりした佇まいはそのまま。グルメの街として内外ともに脚光を浴びており、週末はプラハからの旅行者も増えています。

ブルノのクリスマスマーケット
開催期間:~2020年1月5日(日)
ドミニコ広場:毎日10:00~22:00
アクセス:プラハから電車で約2時間半、ウィーンから約1時間半

温泉町のクリスマスハウスでツリー飾りを買う


世界には一年中、クリスマスのリースやオーナメントを販売するXmasショップと呼ばれるお店があります。しかし春や夏に行くと時期でないせいか、なぜか店に入ろうという気が起こりません。しかし、チェコの高級温泉リゾート「カルロヴィ・ヴァリ」にあるクリスマスハウスは、どの季節に入っても歓声をあげるほどレベルが高すぎます! なんでしょう、この可愛さ!!!


素敵なのは、ピンク系、ホワイト系、ブルー系と、色分けでディスプレイしているところ。
これは、客の家のカラーに合わせて選べるように、という工夫らしいです。


クリスマスツリーを飾らない、という人でも欲しくなりますよ。筆者もクリスマスツリーを飾るつもりはないのに、5つもオーナメントだけを買ってしまいました。


持っているだけで愛おしい、そして取り出す度に旅の記憶がよみがえってきます!


さすが、ヨーロッパの富裕層に愛されてきた街のクリスマスハウスですね。カルロヴィ・ヴァリのこのお店にぜひ足を運んでみてください。子供時代にワープしそうですよ。

クリスマスハウス
住所:Studentská 4/1, Karlovy Vary, Castle Doubí
営業時間:13:00~18:00
定休日:12月24日、1月1日
HP:http://www.vanocnidum.cz/

取材協力
チェコ政府観光局 

[ALL Photos by SACHIKO SUZUKI]

PROFILE

鈴木幸子

sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター

出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。

出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。

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