世界遺産「嚴島神社」
御鎮座は推古天皇御即位の西暦593年。平清盛が仁安3年(1168年)に寝殿造の様式の社殿に修造。平家一門、後白河法皇、高倉上皇の御幸があるなど、多くの皇族・貴族が参詣されました。
御祭神に「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)・田心姫命(たごりひめのみこと)・湍津姫命(たぎつひめのみこと)」の三女神をお祀りし、海の神や交通運輸神、財福の神、技芸の神として、今も厚く信仰されています。
夜と朝の境の船出
「嚴島神社」が鎮座する宮島へ渡れるフェリーは、「JR西日本宮島フェリー」と「宮島松大汽船」の2つ。
「JR西日本宮島フェリー」の始発は6時25分、「宮島松大汽船」は7時15分で、どちらも片道10分ほどで到着します(大人片道180円・往復360円)。
ちなみに「JR西日本宮島フェリー」の9時〜16時10分の時間帯は、海上の大鳥居のそばを通るという貴重な体験ができます。
寒い時期でも、暖かな船内には観光客がいっぱい。甲板で防寒対策をして過ごす人もいました。
昼間では感じることのない静かな海。船のエンジン音、波の音が重厚に響く中、しばし船旅を楽しみました。
出航してまもなく、東の空が白、朱、黄色に光り始め、朝の到来を告げます。夜と朝の境目の空は、秒刻みで表情を変え、一時も目が離せません。
干潮の大鳥居に集まる人と光の朝
夜明けを迎える頃、宮島に到着。清々しい空気の中、神社を目指して歩きます。
干潮の大鳥居のそばには、ポツポツと人々が歩み寄っていました。浜には海藻が残っていたり、潮の道ができていました。
鹿も散歩していて、和やかな朝です。
大鳥居に神々しい太陽の光が当たり、新しい1日が始まる瞬間を迎えました。
太陽が射し込み、朱色に輝く社殿。
空海が開山し、真言密教の修験道場である「弥山」からパワーが流れてきているようで、神聖な空気に身を置くという贅沢を味わいました。
干潮に秘めれた朝の社殿
干潮時に注目したいスポットはまだあります。
潮が引いたら社殿の床下も見えて、細かな造りも観察できます。
厳島八景のひとつ、淡水の湧く「鏡が池」。神社創建時に一夜にしてできたと伝わり、東回廊のほか3箇所にあります。潮が引いたら現れる清水の美しさは和歌や俳句でも詠まれ、今も変わらず訪れる人を清らかな気持ちにさせてくれます。
舞楽の舞台である国宝「高舞台」、国造りの神・農業神・商業神・医療神・縁結びの神をお祀りする「大国神社」、学業の神をお祀りする「天神社」も注目です。
美しく広い社殿を心ゆくまで歩いてみてください。
嚴島神社だけでなく、宮島へ向かう船の上からも心を奪われる「空・海・星・太陽」という自然界の共演。平安時代の人々も、宇宙のパワーを感じていたのだろうか・・・そんな時空を越えた感動があります。
新しい年を迎えることができた感謝や、未来への願いを込め、少しがんばって、早朝の船の上からも静かに祈りを捧げてみてはいかがでしょう。
✳2023年12月現在、「多宝塔」修理工事中(2024年9月終了予定)、「西廻廊」修理工事中(2024年度まで工事予定)、「東廻廊」修理工事中(2024年7月終了予定)。参拝は可能ですが、一部社殿は修理工事中で、多宝塔は工事中の足場で囲っているので参拝時はご注意ください。
✳工事の詳細については嚴島神社の公式サイト「工事状況及び計画ご案内」をご確認ください。
住所:〒739-0588広島県廿日市市宮島町1−1
Tel:0829-44-2020
交通:フェリー/「宮島口桟橋」から出航「宮島桟橋」で下船(乗船時間約10分)
HP:http://www.sp.itsukushimajinja.jp/index.html
[All photos by kurisencho]