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ねぶた師とは
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青森ねぶたは、元々手先の器用な“ねぶた好き”の人たちによって作られていたもの。とはいえ、仕事もそっちのけでねぶたを作るのは、道楽以外の何ものでもないと捉えられ、「ねぷたこへ」と呼ばれていました。この「ねぷたこへ」の「こへ」とは、拵える・作るという意味の津軽弁「こへる」のこと。次第に、ねぶたの制作技術が上がっていくにつれ、ねぶた制作者は専門化していき「ねぶた師」と呼ばれるようになったのだそうです。
その中でも非常に高い技術でねぶたを制作し続け、ねぶた祭の振興に貢献してきたねぶた師を「ねぶた名人」と呼んでいます。昭和33年から平成2年までの間に、4人がねぶた名人となりました。その後は、22年ぶりとなる平成24年に、2名のねぶた名人が誕生しています。
女性はねぶた師になれないの?
そんな大掛かりなねぶたを作る「ねぶた師」の世界には、長年、女性のねぶた師は存在していませんでした。その理由は、力仕事や危ない作業もあり、さらには「男性の荒々しさ」を描くことが多かったため“男の仕事”とされてきたのです。そんな中、2012年に1人の史上初である女性のねぶた師がデビューを果たしました。その人とは、”平成のねぶた名人”といわれる北村隆氏を父親に持つ北村麻子さん。
北村麻子さんは、父親の北村隆氏が制作した大型ねぶた「聖人聖徳太子」(ねぶた大賞受賞)をきっかけに、ねぶた師を志したのだとか。2017年には、「紅葉狩」という作品で、なんと最高賞(ねぶた大賞)と最優秀制作者賞をダブル受賞という快挙を成し遂げました。この「紅葉狩」という作品は、紅葉の宴で鬼女に襲われながらも勇敢に戦った武将の姿を描いたねぶたです。
ねぶたをもっと知りたいあなたには
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そんなねぶた師たちが制作した「ねぶた」を、より知りたい・学びたいという人には、JR青森駅の海手にある「ねぶたの家 ワ・ラッセ」がおすすめです。こちらは、2011年にオープンした青森市の文化観光交流施設で、ねぶた祭の歴史や魅力をより近くで感じることのできる施設。ねぶたのすべてを体感することができます。見学できるスペースは、「ねぶたミュージアム」と「ねぶたホール」の大きく2つに分かれています。
1階の「ねぶたホール」は、2階まで吹き抜けになった広大なスペースになっており、祭本番に出陣した大型ねぶたが常時展示されています。館内には三味線・笛・ねぶた囃子が流れていて、触ることができるパーツねぶたなども並び、ねぶたの世界をじっくりと、より深く感じることができます。
ねぶたの制作現場を覗いてみたい!
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さらに、ねぶたの魅力にどっぷりハマってしまった上級者には、ワ・ラッセから徒歩5分ほどの青森観光物産館「アスパム」に隣接した「ねぶたラッセランド」(以下、ラッセランド)にも足を運んでみてはいかがでしょうか?こちらは、なんと大型ねぶたの制作現場。普段は公園ですが、5月の連休が明けると小屋が建ち、約3カ月かけてねぶたが制作されます。ねぶた小屋には窓が設置され、その制作現場を覗くことができるようになっています。
また、祭りの期間中は、ねぶたの待機場所にもなっています。ただし、2020年は「青森ねぶた祭」が開催中止のため、ラッセランドの建設もありません。また開催できるようになった年には、制作現場を覗いてみて、より近くで青森ねぶた祭のロマンを感じてみてはいかがでしょうか?