豊かな自然と歴史と伝統が息づく竹田城下町
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北にくじゅう連山、南に阿蘇山を望む大分県竹田市。江戸時代に、政治・経済・文化の中心地として発展した岡藩の城下町の面影を残し、趣に満ちた街並みが続きます。格式ある武家屋敷や風情あふれる通りを歩けば当時の繁栄を体感できることでしょう。豊肥本線「豊後竹田駅」より徒歩数分と観光しやすいロケーション。車がなくても気軽に訪れられますよ。
日本を代表する作曲家の生涯を知る「瀧蓮太郎記念館」
「荒城の月」「花」などで知られる、作曲家・瀧廉太郎の記念館。12歳から14歳まで暮らした自宅の一部が公開され、直筆の譜面や手紙などの資料が展示されています。鳥の鳴き声や竹林の揺れる音、下駄の響きなど、瀧氏が当時聴いたであろう“音”を演出した粋な中庭も必見です。
生涯を紹介したビデオも上映。23歳という若さでこの世を去った瀧氏の人生を偲ぶことができる貴重な内容です。
ちなみに不朽の名曲「荒城の月」は、城下町から少し離れた山の上に建つ「岡城阯」から着想を得たといわれています。足を延ばして、天才作曲家の感性を間近に感じてみるのもおすすめ。
住所:大分県竹田市竹田2120-1
電話番号:0974-63-0559
営業時間:9:00~17:00(入館16:30まで)
定休日:12/29~1/3
料金:高校生以上 300円、小・中学生 200円
URL:https://www.visit-oita.jp/spots/detail/4380
ファンにはたまらない仕掛けが!「廉太郎トンネル」
瀧廉太郎記念館のすぐ近くにある、幅2.5m、長さ15mほどの「廉太郎トンネル」。中を歩くと代表曲「荒城の月」「はとぽっぽ」「花」がオルゴールの音色でランダムに流れるというユニークな仕掛けが施されています。記念館を訪れたらセットで立ち寄っていただきたいスポットです。
住所:大分県竹田市竹田町434
創業は1804年!大分で最も歴史ある和菓子店「但馬屋老舗」
廉太郎トンネルから徒歩2分ほどのところにある「但馬屋老舗(たじまやろうほ)」。創業は文化元年(1804年)。200年以上の歴史を持つ、大分県で最も古い和菓子店として知られています。
江戸時代には岡藩の御用菓子司として重用されていた同店。看板商品である「三笠野」や「荒城の月」はかつて藩主に献上される和菓子だったのだそう。明治時代に入ってから一般向けに販売され始め、やがて竹田市を代表する銘菓に君臨。現在では県内だけでなく、福岡、熊本、東京にも店舗を展開しています。
喫茶スペースも併設。和の情緒に包まれながら伝統のお菓子を楽しめますよ。街歩きのひと休みにもピッタリ。
店内では作りたての「三笠野(写真下)」を味わうことも可能です。焼きたては皮の外側がパリッと香ばしく、中はしっとり。口の中で餡の上品な甘みが広がります。
「荒城の月(写真上)」は、あわ雪(卵白を固めた生地)の繊細な口溶けが印象的。包まれる黄身餡のまろやかな風味との一体感も心地よく、洗練された逸品。江戸時代には「夜越の月」と呼ばれていましたが、瀧廉太郎の名曲「荒城の月」にちなみ、1934年に荒城の月と名付けられたのだそう。歴史に想いを馳せながら由緒ある味わいを堪能したいところ。
長き歴史を歩んできた銘菓を嗜み、近代日本を代表する作曲家を知る――。歴史の息吹が根付く城下町で、雅な街歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
[Photos by Nao]