もくもくと湯けむりが街を包む光景は圧巻!風情ある「明礬温泉」
多彩な泉質の湯が湧く別府温泉は8つの温泉郷から構成されています。その中の最も高い標高に位置するのが「明礬(みょうばん)温泉」です。地下30センチあたりに温泉脈を持つ地熱地帯で、地表から勢いよく温泉ガスが噴出する様子があちらこちらで見られます。
周辺には藁葺き屋根の湯の花小屋が約50棟点在。江戸時代より変わらぬ方法で湯の花を作り続けているのだそう。2012年には「別府の湯けむり・温泉地景観」として重要文化的景観に選定。風情ある光景も楽しみたいところ。
明礬温泉のランドマークとも言えるのが「岡本屋売店」。別府明礬橋を一望できる絶景ポイントにあり、温泉巡りやドライブのひと休みにも最適です。今や別府温泉のあらゆる場所で販売される地獄蒸しプリンですが、この岡本屋が元祖なのだとか。
ちなみに地獄蒸しとは温泉から噴出する高温の蒸気熱を利用した調理法のこと。別府では江戸時代から活用されているようです。
「地獄蒸しプリン」(300円・税抜)は玉子の味が濃厚で、固めながらつるんとした舌触りが絶妙。苦味の効いた自家製カラメルとも相性抜群です。「地獄蒸したまごサンドイッチ」(600円・税抜)はゆで玉子がぎっしり!聞けば単品でも販売する「地獄蒸したまご」を3個も使っているのだそう。きゅうりも厚めにスライスされていて、ボリュームあるパンや玉子と見事に調和しています。プリン、サンドイッチともに添加物や保存料は一切不使用。これは蒸気熱に防腐効果の高い硫黄成分が含まれているおかげなのだそう。
どちらも手作り感満載の優しい味わい。経験上、観光地ど真ん中の名物にあまり期待しない筆者でしたが、そんな概念が覆されたおいしさでした。「ベタな名物なんて」と斜に構えがちな人にこそ、ぜひ食べていただきたい!
コバルトブルーの湯色が神秘的な「海地獄」
別府温泉は自然湧出型の源泉を多数有しており、その独特の色彩から古来より「地獄」と呼ばれてきたのだそう。奈良時代に編纂された「豊後国風土記」にも登場していて、近寄ることもできない、忌み嫌われた土地であったと記されています。
現在ではそんな“地獄”は別府きっての観光名所として親しまれ、さまざまな源泉を巡る「地獄めぐり」という観光コースが定番化しているほど。見事な格上げぶりです。こちらは地獄のひとつにあたる「海地獄」。
園内の敷地は広く、温室やギャラリーなど、さまざまな施設が点在していて見所も充実。睡蓮が咲く「蓮の池」は美しい緑に包まれ、どちらかというと天国に近い印象です。
そして、やって来ました「海地獄」。平安時代初期、鶴見岳噴火と共に形成されたといわれる熱泉です。湯が海のように見えることから名付けられたのだそう。
コバルトブルーは一見涼しげながら、温度は実に98℃というギャップもなかなか面白いところ。泉質は酸性で、温泉成分である硫酸鉄を多く溶解しているため水面が青く見えるようです。
住所:大分県別府市鉄輪559-1
電話番号:0977-66-0121
営業時間:8:00〜17:00
定休日:年中無休
入場料金:大人400円、小人200円
URL:http://www.umijigoku.co.jp/index.php
これぞまさに地獄?真っ赤に染まった「血の池地獄」
海地獄と真逆の世界観を楽しめるのが「血の池地獄」。海地獄からは車で10分ほど。セットで観光するのに便利なロケーションです。
1300年以上前には存在したと伝わる赤色の熱泉。酸化鉄や酸化マグネシウムを含んだ熱泥の噴出によって、池一面が真っ赤に染め上げられているのだとか。
1927年(昭和2年)に大爆発を起こし、なんと220メートルもの高さまで泥が跳ねたと記録される「血の池地獄」。明治から昭和初期にかけても爆発が幾度となく生じ、周囲に多大な被害をもたらしたのだそう。ちなみに現在では噴出を防止すべく池の撹拌作業が行われているのでご安心を。
住所:大分県別府市野田778
電話番号:0120-459-554
営業時間:8:00〜17:00
定休日:年中無休
入場料金:大人400円、小人200円
URL:https://chinoike.com
蒸気が噴き出す地熱地帯や、生きながらにして行くことができる“地獄”ーー。地球の鼓動やパワーを間近に感じられるのも別府温泉の魅力なのです。
[All photos by Nao]