地元の人にも観光客にも愛されるレトロカフェ
昭和43年(1968年)に創業した「喫茶チロル」。二条城から御池通りを西へ神泉苑方面に向かうと、赤と黒のストライプのひさしが見えてきます。
木目を基調とした店内は時を経て味わいを帯び、昭和っぽい雰囲気を醸し出しています。この日は、80歳を過ぎた今も現役の看板“おかあさん”は不在でした。その愛嬌と気さくさに惹かれて通う人も多いと思います。家庭的で温かいたたずまいは、おかあさんと息子の誠さんらご家族で営まれているところが大きいと思います。
近所で働く常連さん、観光客、一人でふらっと寄った学生さん・・・。年齢や性別を問わず、この店では誰もが肩の力を抜いて素に戻れる空気感があります。
名物のカレーライスを実食!
こちらでは「カレーライス」が名物。カツ、目玉焼き、チーズ、コロッケなど、のせる具は好みで選べます。さらにそれぞれの具をトッピングすることもできます。
カレーライス目玉焼きのせ780円(税込)。たっぷりの淡路産の玉ねぎがほのかに甘味を添える、国産牛入りのさらっとした口当たりのカレーです。どんな具にも合うシンプルな味わい。
目玉焼きを添えるだけでカレーにまろやかさが生まれ、少し贅沢な味わいに変わります。こちらの目玉焼きは半熟加減が絶妙です。
自家製の福神漬けが辛すぎず、おかずのようにいただけるので、思わず全部食べてしまいました!
懐かしくてほんのりスパイシー。際立った特徴のあるカレーではないのですが、だからこそ具や福神漬けと合わせても常においしい。知らず知らずのうちにクセになってしまうんですよね。
懐かしのクリームソーダ
この空間で味わいたい!と、思わずクリームソーダ580円(税込)も注文。
「懐かしい!」としか言いようがありません。幼い頃に行ったデパートの食堂でお子様ランチと一緒に注文した時と同じ素直な味。ノスタルジックな見た目と味わいに、思わず意識がタイムスリップしてしまいます。
テイクアウトメニューも充実
久しぶりだったので、玉子サンド(ハーフサイズ、350円・税込)もテイクアウトしました。
厚切りの玉子とキュウリがサンドされたシンプルな一品。素朴なおいしさです。ただ、持ち帰る途中でパンがへなへなになってしまいました。店内でいただけば、ふわふわの食パンでよりおいしいと思います。
ほかにハムサンドもあります。トーストもあるので、モーニングに訪れてもいいですね。
2020年のゴールデンウィーク限定だったというハヤシライスが、新メニューに加わりました。こちらにも惹かれます。
そして、近所にある「プチフォロ」さん手作りのチーズケーキやブラウニーもいただけます。コーヒーとよく合いそうです。
温かくもさわやかな気配りが心地よい
こちらのもうひとつの魅力は、“おかあさん”をはじめとしたご家族の心温まる気配りにホッと気持ちが和むと同時に、放っておいてもくれるさわやかさ。実はそのバランスを取るのは難しいことだと思います。
メニューにしてもサービスにしても、開店当初の“普通”を続けてきた(メニューや製法は少しずつ変わっているようですが)、主張が強くないからこその居心地の良さ。その背景には誠意を込めて料理を作り、サービスを続けてこられたたゆみのない努力があるはずです。雰囲気や信頼というのは、一朝一夕に作れるものではないのだと実感します。
新聞を読む常連さんや観光客に囲まれて、あたりまえの日常の心地よさを感じさせてくれる懐の深いお店です。
住所:京都府京都市中京区門前町539-3
電話:075-821-3031
営業時間:8:00~16:00(L.O.15:30)
定休日:日曜・祝日
URL:https://tyrol.favy.jp/
[All photos by Yo Rosinberg]
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