【実は日本が世界一】“世界で一番賢い国”は日本!?アメリカもスイスも抑えて1位になった理由

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Sep 29th, 2021

「世界で最も賢い国」と言われたら、どこを思い浮かべますか? なんとなく筆者はインドを思い浮かべますが、どうでしょうか。日本人もそこそこだろうと思いますが、世界で最も賢いかと言われたら、さすがにそうではないだろうと思ってしまいます。しかし、イギリスのvouchercloudというクーポン共同購入サイトが2019年に発表したランキングによれば、世界で最も賢い国に日本が選ばれているのです。

天才少年のイメージ

日本が「世界で最も賢い」と言われる理由は?

ひらめきのイメージ

冒頭でも書きました。世界で最も賢い国と言われれば、どこを思い浮かべますか? 天才的な数学力を持つと評判のインド人や、教育システムが優れている北欧各国を筆者は思い浮かべてしまいます。

しかし、イギリスのvouchercloudというクーポン共同購入サイトが2019年に発表したランキングによれば、日本がその地位にあるとされています。当の日本人自身が思わず「本当に?」と言いたくなってしまいますよね。

同ランキングは、どのような仕組みになっているのでしょうか? その国の「過去」の頭脳レベルを示唆するノーベル賞の受賞者数、「現在」の頭脳レベルを示唆するIQ(知能指数)ランキング、「未来」の頭脳レベルを示唆する学校テスト(世界各国と地域の学習到達度を測る学力テストの結果を比較)ランキングで各国の賢さの順位を出しています。

例えばノーベル賞の授賞者ランキングでは、アメリカの368人(ランキング発表時点)が突出して多く、次いでイギリスの132人(ランキング発表時点)、ドイツの107人(ランキング発表時点)がトップ3を占めています。ちなみに日本は26人(ランキング発表時点)で世界第6位。トップ10が全て欧米の国で占められている中、日本だけが例外的に入っています。

国家別のIQ(知能指数)はシンガポール・中国・香港・韓国・台湾とアジア勢が逆に上位を独占し、日本も6位に入っています。

学校テストのランキングではシンガポール・韓国・香港・台湾・日本がトップ5です。次いでロシア・中国・マカオなどが続くので、「過去」においては欧米が先行し、「現在」「未来」ではアジア諸国が急速に伸びているとわかります。

しかし日本に関して言えば、例外的に「過去」の賢さを意味するノーベル賞のランキングにも食い込み、「現在」と「未来」の賢さを意味するIQ(知能指数)テスト・学校テストでも上位に入っています。

その結果、総合的に見て世界で最も賢い国として日本が評価されているのです。

世界の賢い国トップ5は?

賢い子どもイメージ

総合ランキングでは、ほかにどのような顔ぶれが並んでいるのでしょうか? 1位は日本だとして、2位から5位をさかのぼって順番に紹介します。

5位はオランダ。自由な教育が日本でも話題になる国です。ノーベル賞の授賞者ランキングは11位、IQ(知能指数)ランキングは8位と上位ですが、意外にも学校テストのランキングで24位と順位を落としています。その結果が総合ランキングにも影響し、5位となりました。

オランダの教育は「世界一」だとユニセフにも評価されています。子どもたちの精神的な幸福度が高く、身体的健康も得られる上に、数学や読解力などの学力も身につくと考えられているからです。しかし、オランダの教育は子どもたちの個性を尊重しすぎているせいか、OECD(経済協力開発機構)が進める国際的な学習到達度調査(PISA)のスコアで下降傾向にあるともいわれています。

現に2018年度調査では、オランダ人の読解力全体がOECDの平均以下まで落ちています。ペーパーテストの優秀者を育てるだけが目的とならない学校の多いオランダにとって、vouchercloudの考える賢さランキングは、ちょっと不利かもしれません。

賢い女子学生のイメージ

4位はアメリカ。先ほども書いたように、ノーベル賞の授賞者ランキングでは、ぶっちぎりの1位です。IQ(知能指数)が28位と順位を落としていますが、学校テストランキングでは13位と健闘しています。

名門大学ランキングでは、イギリスとともにアメリカの大学が世界の上位を独占するように、世界中から秀才を集める教育の最高機関もアメリカにはあります。優秀な留学生が就労ビザを取って卒業後もとどまり、国力を押し上げる力になっているからこそ、今のアメリカの繁栄があるのかもしれません。

3位は中国。ノーベル賞受賞者ランキングこそ21位とふるいませんが、IQ(知能指数)ランキングは2位、学校テストのランキングも7位です。OECD(経済協力開発機構)が進める国際的な学習到達度に関する調査(PISA)のスコアを見ても、このところ中国は常にトップクラス。「現在」と「未来」の賢さの分野では世界トップクラスの成績を残しているので、経済や軍事力とともにノーベル賞の授賞者も、この先さらに伸ばしてくる国なのかもしれません。

2位はスイスです。賢い国と言われれば「そうなんだろうな」と多くの日本人がイメージで納得してしまう国ではないでしょうか。過去にスイス人のパイロットにインタビューした時、賢そうな表情と育ちの良さを感じさせる言動に敗北感を覚えた経験が筆者にはあります。「かなり努力しないと一生追いつけないぞ」と危機感すら覚えました。

ノーベル賞の授賞者ランキングでは6位、IQ(知能指数)では11位、学校テストのランキングでは11位とバランス良く上位に入っています。

国土の広さは九州と同じくらいです。人口も861万人しかおらず、そのうち外国人が25%を占めると、日本の外務省の基礎データに書かれています。それでも各分野で圧倒的な存在感を示し、個人レベルで付き合っても敗北感を覚えてしまうくらい、国民は洗練されているわけです。

アメリカや中国などの大国と、日本は国土の広さも人口もはるかに違います。スイスやオランダのようなクオリティーの高い「クオリティー国家」を目指していくと、「賢さランキング」で世界のトップレベルをこの先も維持できるかもしれません。

勉強する女性

世界で最も賢い国ランキングで、日本が実は世界一という話をしました。もちろんいろいろな見方があって、別のランキングでは異なる結果も出ています。しかし、外国発の賢さランキングで日本が世界一に選ばれた事実には誇りを感じますよね。

その評価に恥じないように努力を続けていきたいと、個人的に思いました。一方で、スイス人パイロットに対する敗北感もあらためて思い出しましたが。

旅先で出会う外国人には、勝手に「日本人代表」という気構えで付き合い、日本人の賢しさを示し続けられたらいいですね。

【参考】

World’s Smartest Countries – vouchercloud

INTELLIGENCE – Richard Lynn and Tatu Vanhanen

Global education quality in 4 charts

スイス連邦(Swiss Confederation)基礎データ – 外務省

OECD 生徒の学習到達度調査(PISA) – 国立教育政策研究所

Global Data Set on Education Quality – Nadir Altinok, Noam Angrist, Harry Anthony Patrinos

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook