神武天皇陵とは?
奈良県橿原市にある「神武天皇陵」は、周囲約100m、高さ5.5mの広い植え込みがある円丘で、幅約16mの周濠をめぐらせています。「天皇陵」とは天皇・皇后・皇太后・太皇太后を葬る場所のことで、日本全国に188カ所点在。
いずれの陵墓も、天皇および宮内庁による祭祀が行われているため、一般客の立ち入りは禁止です。研究者などでも、考古学的調査で自由に立ち入ることができない禁足地になっています。
神武天皇とは、どんな人物?
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『日本書紀』『古事記』によると、初代天皇とされる神武天皇が、日向(宮崎)地方から、瀬戸内海を東に進んで難波(大阪)に上陸。その後、生駒の豪族に阻まれたため、南下して熊野へ回ることに。そこで八咫烏(やたがらす)に導かれて、吉野の険しい山を越えて大和に入り、周辺の勢力を従えて、大和地方に平定をもたらしたそうです。
そして、紀元前660年の1月1日(新暦2月11日)に橿原宮で即位。初代天皇になったとされています。
実は神武天皇陵の場所は不明?
神武天皇は、天皇に即位してから76年目、127歳で崩御したといわれています(古事記では137歳)。そして、翌年に奈良県橿原市大久保町にある畝傍山東北陵(神武陵)に葬られました。
『延喜式(えんぎしき)』によると畝傍山東北陵は平安時代のはじめには確認されていました。そのため、神武天皇のゆかりの地として、977年に国源寺が建立されます。
しかし、中世に入る頃には、神武陵の所在が不明に。江戸時代初期から畝傍山東北陵を探し始め、畝傍山から東北へ約700mの場所にあった小さな円墳「福塚」が神武天皇陵とされます。
ですが、1863年に福塚よりも畝傍山に近い、小さな塚「ミサンザイ」(現在の神武天皇陵)が、神武天皇陵だと認定されました。
ということで、神武天皇陵の正確な場所は不明だといえます。考古学の研究が進み、未来のどこかで神武天皇陵の場所が変わることもあるかもしれませんね。
神武天皇は神話上の人物である可能性も!
神武天皇は『古事記』『日本書紀』の神話に登場する人物で、架空の人物である可能性が高いです。実在した最初の天皇は、崇神天皇であるという説もあります。とはいえ、なんだかロマンがありますよね。
神武天皇陵の前には鳥居の立つ拝所がありますので、奈良を訪れた際は、参拝に訪れるのもいいでしょう。緑に囲まれた入口から拝所までの参道は、白い砂利が敷き詰められていて、広々としています。この参道を歩いているだけで、心が研ぎ澄まされそうです。3つ並んだ鳥居にも注目を!
住所: 奈良県橿原市大久保町
電話:0744-22-3338(宮内庁書陵部畝傍陵墓監区事務所)
拝観時間:8:30~17:00
アクセス:近鉄「畝傍御陵前駅」から徒歩約9分
公式サイト:https://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/kankou/spot/jinmu.html
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