【日本三大温泉】群馬県「草津」・岐阜県「下呂」・兵庫県「有馬」の歴史と特色

Posted by: あやみ

掲載日: Dec 16th, 2022

日頃の疲れを癒やしてリフレッシュできる温泉は、日本人の生活に欠かせない存在ですよね。日本には火山が多く、地下水が豊富なため、全国各地に温泉地が点在しています。その中で、「日本三大温泉」といわれているのはどこだと思いますか? 3つの温泉地の歴史や泉質、魅力を紹介します。

温泉のイメージ


 

「日本三大温泉」は室町時代から草津・有馬・下呂

日本三大温泉は、「日本三名湯」ともいわれますが、群馬県の「草津温泉」、岐阜県の「下呂温泉」、兵庫県の「有馬温泉」とされています。

室町時代の詩人・僧侶である万里集九の詩文集『梅花無尽蔵』に、次のように記されています。

「本邦六十余州ごとに霊湯あり。その最たるものは、上州の草津、津陽の有馬、飛州の湯島(下呂)、この三か所なり」

江戸時代には、徳川家康から四代将軍まで仕えた儒学者の林羅山も、万里集九と同様の評価をしています。『林羅山詩集第三西南行日録』には、「我が国は諸州に温泉を多く有す。その最も目立つものは、摂津の有馬、上州の草津、飛騨の湯島(下呂)、この三か所なり」と書かれているのです。

日本一の湯量と高い治癒効能を誇る「草津温泉」(群馬県吾妻郡)

群馬県草津温泉の湯もみ
日本武尊や行基、源頼朝の開湯伝説が残る群馬県の「草津温泉」は、古くから日本最大の湯量と、「恋の病以外効かぬ病はない」との言い伝えがあるほど、優れた治癒効能を誇る名湯です。

戦国時代には多くの武将が湯治に訪れ、江戸時代には文人や歌人を含む、年間1万人を超える浴客が訪れました。徳川八代将軍・吉宗も草津の湯を江戸城まで運ばせて入浴したそうです。当時の草津温泉の人気の高さがうかがえる話ですよね。

群馬県草津温泉の湯畑
草津温泉の泉質は強酸性(源泉はpH2.0前後)で、すべて自然に湧出している自噴泉です。源泉に五寸釘を入れて置くと10日ほどで溶けてなくなってしまうとか。また、温泉の湧出箇所は10カ所(ほか個人所有も数カ所あり)といわれていて、万代源泉・湯畑源泉・白旗源泉・地蔵源泉・西の河原源泉・煮川源泉・熱の湯源泉が代表的です。

特に草津のシンボル「湯畑(湯畑源泉)」は町の中心部の広場からこんこんと湧き出し、白い湯気が舞い上がっていて、観光客の目を楽しませてくれます。さらに草津町内には無料で入浴できる共同浴場が19カ所も! 標高1,200mの高原の自然を堪能しながら、ゆっくりと温泉に浸かり、心身を癒やしたいですね。

草津温泉
住所:群馬県吾妻郡草津町草津
電話:0279-88-0800(草津温泉観光協会)
交通アクセス:JR「長野原草津口駅」・「軽井沢駅」からバスに乗車し、「草津バスターミナル」で下車
公式サイト:https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/

肌にやさしくなめらかな天下の名湯「下呂温泉」(岐阜県下呂市)

岐阜県下呂温泉
岐阜県の「下呂温泉」は、飛騨川の流域に湧いています。平安時代に湯ヶ峰の頂上付近で発見されたのが始まりです。

ところが、鎌倉時代の中頃に湧き出ていた温泉が突然、枯渇します。しかし、現在の温泉街の中央を流れる飛騨川の河原で再び発見されました。この発見は『白鷺伝説』として今に伝わります。温泉の場所が海抜1,067mの山中から平地に移動したことで、温泉の利用が便利になり、名湯の評判が全国各地に広がりました。

冬の下呂温泉(岐阜県)
下呂のお湯は泉温84℃で湧く天然温泉です。泉質はアルカリ性単純泉、無色透明、ほのかな香りが特徴で、実になめらか。pH9以上というアルカリ性特有の石鹸効果により、肌にやさしく、湯上がりは絹のようにスベスベに! それが「美人の湯」といわれる所以です。

また、身体がとても温まって血行が促進され、疲労回復や健康増進に効果があるため「健康の湯」ともいわれています。この泉質は運動浴にも最適です。さらに下呂温泉では良質な温泉を将来にわたり安定供給できるように、温泉の集中管理システムを導入しています。

すべての加盟旅館で同じ泉質の源泉に入浴できるのがポイント。温泉を楽しみつつ、飛騨川を中心に賑わう温泉街と、山里の情緒あふれる光景を満喫したいですね。

下呂温泉
住所:岐阜県下呂市湯之島
電話:0576-24-1000(下呂温泉観光協会)
交通アクセス:JR東海高山本線「下呂駅」から徒歩約10分
公式サイト:https://www.gero-spa.com/

異なる2つの泉質を持つ日本最古の天然温泉「有馬温泉」(兵庫県神戸市)

兵庫県有馬温泉
兵庫県「有馬温泉」は、褐色の名物湯「金泉」と、無色透明な「銀泉」の異なる泉質を持つ湯を楽しめる関西の奥座敷です。温泉街は六甲山地北側の紅葉谷の麓の山峡に広がっています。有馬温泉の起源は古く、神話の時代にまでさかのぼります。『日本書紀』や『枕草子』にも登場するほどです。

江戸時代には、温泉を相撲の番付に見立てて格付けした温泉番付が作られて、有馬温泉は最も格の高い 「西の大関」と記され、全国的にその名を知られることに!

また、武将や文人など多くの人々に長らく愛されてきた温泉地であり、中でも豊臣秀吉は有馬温泉をこよなく愛し、幾度もの天災により被害を受けた建物や温泉施設の復興に力を注ぎました。

兵庫県有馬温泉の「天神泉源」
金泉の源泉「天神泉源」

有馬温泉は、人間がまだ土を掘る技術を持たない時代から湧き出ていた日本最古の天然温泉です。さらに環境省が療養泉として指定している9つの主成分(単純性温泉・二酸化炭素泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫酸塩泉・含鉄泉・硫黄泉・酸性泉・放射能泉)のうち、硫黄泉と酸性泉を除く7つもの成分を含む、世界的にも珍しい温泉でもあります。

「金泉」は日本屈指の含鉄強塩泉で、鉄分と塩分を含み、保温・保湿効果が高く、神経痛や冷え性、高血圧といった幅広い効能があります。一方の「銀泉」はさらさらとした湯ざわりが特徴で、保湿効果があり、肌がスベスベになると評判です。「若返りの湯」ともいわれています。

日帰り利用なら、26種のお風呂が楽しめる温泉テーマパーク「有馬温泉 太閤の湯」がおすすめです。ぜひ2つの異なる湯に浸かり、リフレッシュを!

有馬温泉
住所:兵庫県神戸市北区有馬町
電話:078-904-3450(有馬温泉観光協会)
交通アクセス: 神戸電鉄「有馬温泉駅」からすぐ
公式サイト:https://www.arima-onsen.com/

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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