食文化との出合い
旅の楽しみといえば、現地ならではのおいしいもの! 食べ物もそうですが、各国のテーブルマナーも驚きや発見がいっぱい。
例えば東南アジアの国々では、食事の際は手を使って食べたり、ナイフは使わずにスプーンとフォークで食事をしたり。東南アジアを初めて訪れたときには戸惑いましたが、4年間の滞在を経て、スプーンとフォーク使いに慣れると……。これが結構、便利! 今ではこの食べ方が気に入っています。
所変わって、現在暮らしているフランスでこの食べ方をすると、「テーブルマナーを知らない人だ」と思われてしまいます。カトラリーの使い方ひとつをとっても、食文化の違いは面白いですね。
さて、フランスでの食事に欠かせないもの、といえば、その土地固有のワイン。こちらで暮らし始めた当初は、現地の食文化とワインの密着ぶりに感銘を受けたものです。そして、この発見が刺激となり、ワインの世界へ飛び込むきっかけになりました。
心の糧になる素敵な出会い
旅先で出会った人に親切にしてもらったり、お土産店やレストランでおまけをしてもらったり。現地の人たちの印象が良いと、旅はより一層楽しいものになるのではないでしょうか。逆に人々の印象が悪いと、旅の思い出もイマイチ。
旅先のあちこちで、ガイドブックには載らないような観光地へ案内してもらったこと。旅先にたまたま居合わせた人たちとの何気ない会話から、各国の価値観や文化を知ったこと。はたまた現地で知り合った同年代の女の子たちと夜遅くまで遊んだこと。そしてその子たちは、15年を経た現在も大切な友人であること。
……と、いい思い出ばかりを綴りましたが、旅にキケンはつきものです。詐欺まがいに遭遇したり、親切な人かと思いきや実はキナ臭い商人だった、なんていうこともあるので海外旅行の際は慎重に。
今まで知らなかった価値観との出合い
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人生で一番、これまでの価値観を覆されたのがフィリピンです。初めてマニラに降り立ったときの衝撃は、今でも忘れられません。東京から飛行機で、わずか4時間半ほどの距離にありながら、そのカオスな様子と貧困具合は心が痛くなるほど。
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マニラでの滞在期間が長くなるにつれて、「世の中にはこういった場所があるのか」「こんな危険と隣り合わせなのか」と、毎日が衝撃の連続でした。
そういった環境に置かれながらも、ニコニコと楽しそうに暮らしているフィリピンの人たち。「フレンドリーで温かくて、魅力的なのはどうして?」と、不思議でした。
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現地の人たちとの交流を通してフィリピンならではの価値観、発展途上国の考え方に触れるうちに、これまでの自分の経験がいかに限られたものであったかを知りました。そしてこのときに知った価値観は、物事をさまざまな角度から見たり、考えたりするきっかけになったと感じています。
国内海外に関わらず、旅先で現地の人たちと触れ合うと、さまざまな物の見方ができるようになる気がします。また、多様な価値観を経験することで、人生が生きやすくなったり、ビジネスシーンで役立ったりすることも。旅の思いがけない副産物です。
旅先での出会いは、人生を豊かにしてくれる。生きるための活力になる。旅をすることの醍醐味は、そんなところにあるのかなと思います。
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