崎陽軒 横浜工場へ潜入!
「崎陽軒 横浜工場」は、車が激しく行きかう道沿いに位置しています。向かっていると突然「崎陽軒」の文字が目に入り、「え?ここ?」と意外な場所にある印象を受けますが、もちろんそのまま入ってOK。「工場見学」という看板に沿って進みましょう。
工場敷地内には、「港北インター店」もあり、工場でありながら買い物客の出入りも多くあります。
それではさっそく建物の中へ入っていきましょう!
一歩足を踏み入れた瞬間、いきなりワクワクするような世界が待っています。まるで駅のような雰囲気漂うこの場所は、崎陽軒の製品を扱う「プチミュージアムショップ」。建物に入ってすぐの場所にあるためついつい入りたくなりますが、後ほど立ち寄ることにして、まずは工場見学の受付を。
靴をスリッパに履き替え、いざ、工場見学スタートです!
まずは、崎陽軒の歴史やシウマイについて知ることから始まります。崎陽軒看板製品のひとつである「昔ながらのシウマイ」は、1928年(昭和3年)に発売を開始。なんと発売された昭和3年から現在まで、レシピは一切変わっていないのだとか!
原材料は、豚肉、玉ねぎ、干帆立貝柱、グリンピース、塩、こしょう、砂糖、でんぷん、皮に使用する小麦粉の9種類と、意外にもシンプル。フレッシュな国産豚肉を使用しており、冷凍はせず、工場で使用する直前に挽肉にしているのだとか。
また、「冷めてもおいしい」のが崎陽軒のシウマイ。そのおいしさのヒミツは干帆立貝柱で、豚肉と合わせることでお互いの旨みを引き立てます。シンプルな原材料だからこそ、おいしさへのこだわりを感じますよね。
崎陽軒の歴史やおいしさのヒミツを学んだら、お待ちかねの「これぞ工場見学!」という光景が広がります。
ガラス一枚隔てた向こう側では、1分間に420個というスピードでシウマイが作られており、原材料を混ぜ合わせ、成形して蒸し、そして箱詰めまでと、ライブ感覚でじっくりと眺めることができます。この工場では、1日に約80万個のシウマイがつくられていくのだとか。
ちなみに、崎陽軒の工場は3か所あり、シウマイを作っているのはこの「横浜工場」のみ。そのほかの工場では、お弁当などが作られているのですが、シウマイ自体は、この横浜工場から運ばれていきます。「あの日食べたシウマイもここで作られたのか……」なんて思うと、なんだか急に親近感が湧いてくるから不思議ですよね。
この部屋の隣は出荷場になっており、できあがったシウマイはそのまま店舗へと運ばれていきます。今日蒸されたシウマイは、その日に店舗に運ばれ、我々の胃の中に。この展開の早さにも驚きを感じたのでした。
「シウマイ弁当」ができあがるまで
横浜工場では、大人気の駅弁「シウマイ弁当」の製造過程も見学することができます。
一人が、1つ~2つのおかずを担当し、漏れのないよう、かつ丁寧に素早く詰めていきます。次から次にお弁当が流れてくるため見ていてヒヤヒヤしますが、それは心配無用。みなさんスピーディーにこなし、まさに職人技。
詰め終わったお弁当には紐掛けが行われますが、これも手作業。早い人だと1つ5~6秒で結んでしまうのだとか。見学前までは、機械で作られていると勝手に想像していましたが、実際は手作業が多いことを知り、製品に対する愛情をひしひしと感じます。
作った工場によって「シウマイ弁当」に違いがあるって知ってた!?
©︎ 崎陽軒
ここで、「え?シウマイ弁当に紐掛けってしてあった?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ちなみに、横浜出身の筆者は「紐掛けって手作業だったのか!」と感心してしまいました。これは、どちらかの記憶間違いなどではなく、実は「シウマイ弁当」が作られた工場の違いなのです!
東京工場で作られた「シウマイ弁当」は、上記の画像のように‟かぶせ蓋+透明のフィルム”スタイル。
©︎ 崎陽軒
一方、横浜工場で作られたシウマイ弁当は、この‟包装紙+紐がけ”スタイル。つまり、「紐掛けってしてあった?」と思った方は、東京工場で作られたシウマイ弁当を食べていたんですね。この違いがうまれた理由は、東京工場ができたときに紐かけできる人材がいなかったからなのだとか!
また、東京工場で作られた蓋には、横浜の景色に並んで東京スカイツリーも描かれています。この2つのことを知っていればかなりのツウ! 次回シウマイ弁当を食べるときは、ぜひともパッケージにも注目してみてくださいね。
崎陽軒の遊び心が炸裂! 「ひょうちゃん」の歴史
崎陽軒のシウマイといえば、もうひとつ忘れてはいけないものがあります。それは、しょう油入れの「ひょうちゃん」というキャラクター。さまざまな表情を浮かべるひょうちゃんは、シウマイを開ける瞬間の楽しみでもあります。
工場見学中には、このひょうちゃんのしょう油入れがズラリと並んだ、マニアにはたまらない展示ゾーンもあります。
実はこのひょうちゃん、現在で3代目とのこと。初代は、1955年(昭和30年)~1988年(昭和63年)までで、「フクちゃん」でおなじみの漫画家・横山隆一さんが描いていました。
2代目は、1988年(昭和63年)~2003年(平成15年)までで、「オサムグッズ」などで有名なイラストレーター・原田治さんが描いています。
そして3代目となる現在は、初代の絵柄が復活しています。
この展示ゾーンで感じられるのは、突き抜けた崎陽軒の遊び心!
2015年に還暦を迎えたひょうちゃんは、赤いちゃんちゃんこを着たスタイルで登場。ランダムに入っていたことに加え、光り輝く金色の還暦記念ひょうちゃんもごくわずかに入っていたのだとか!
そのほか、劇団四季や横浜・八景島シーパラダイスなど、「こんなにたくさんコラボしてるの!?」と驚くばかり。
さらに衝撃なのは、崎陽軒をこよなく愛したという落語家の桂歌丸さんの命日に発売されるお弁当(店舗限定)があり、その中にはこの「桂歌丸ひょうちゃん」が入っているのだとか! こんなにも色々なひょうちゃんが誕生しているとなると、これからどう展開していくのかも気になりますよね。
なお、ひょうちゃんのしょう油入れが入っているのは、「昔ながらのシウマイ」と「特製シウマイ」のみ。「シウマイ弁当」には入っていないのでお間違えのないよう……。以上、崎陽軒マメ知識でした。
お待ちかねの試食タイム!
アレコレたっぷりと楽しんだ工場見学ですが、一番の楽しみはなんといっても試食タイムではないでしょうか。見学中に漂うおいしそうな香りに誘われて、誰もが「シウマイ食べたい……」の気分が高まるはず。
食べられるのは、もちろんできたてホヤホヤのシウマイ! これこそ工場見学の醍醐味であり、最高の贅沢ですよね。
メニューは、「昔ながらのシウマイ」「特製シウマイ」の2種類と、「シウマイ弁当」でおなじみの筍煮、金ごまが入った香ばしい「ひょうちゃんサブレ~金ごま~」とかなり豪華。
もちろん、しょう油入れはひょうちゃんデザインです。使用後のひょうちゃんも持ち帰ることができるよう、ジッパー付きのビニール袋もついて、至れり尽くせりのセットです。
ホカホカのシウマイを一口食べれば、「あ~これだよ!これ!」と思わず笑みがこぼれる安定の味。実際に製造過程を見たからこそ、おいしさもグッと増す気がしました。これは、工場見学をした人だけの特権ですよね。
試食でシウマイスイッチオンしちゃったら!
試食で2個のシウマイを食べきった瞬間、おそらく大体の人が「もう少し食べたい……」という気持ちになることでしょう。食欲のスイッチを押されてしまっても大丈夫。工場見学が終わあったあとは、1階の入口にあった「プチミュージアムショップ」へ!
ここでは、おみやげやオリジナルグッズなどを取り扱うショップですが、楽しみはもう一つ。
工場でできたての製品も、この場で食べることができるのです!
電車の車内のような内装の中で、旅行気分を味わいながら食べることもでき、ここでも崎陽軒の遊び心を感じます。
この「プチミュージアムショップ」は、予約などすることなく普通に買い物ができるので、できたての味が恋しくなったら気軽に立ち寄ることができます。
工場すぐ近くの「港北インター店」にある希少なものとは
学んで食べて、たっぷりと工場見学を楽しんだら、工場敷地内にある「港北インター店」にも立ち寄ることをおすすめします。ここは、崎陽軒製品を扱う一般的な店舗ですが、実は、崎陽軒でも珍しい“あるもの”が設置してあるのです……!
それはこの自動販売機! 崎陽軒でもまだ3台しかないという希少な自動販売機で、シウマイをはじめ、お酒にお供にぴったりの「チーズシウマイ」や、シウマイで培ったノウハウを活かした「ギョウザ」、さらには冷凍のお弁当など、楽しすぎる品揃え。なんといっても、24時間購入できるのがうれしいですよね。
予約について
高い人気を誇る「崎陽軒」の工場見学は、予約が困難とも言われています。予約はすべてHPから行いますが、ここでちょっとしたコツを教えていただきました。毎日の24時に3か月後の予約が開始されるため、毎日の24時がチャンス。キャンセルが出ることもあるので、マメにHPをチェックすることもおすすめです。
崎陽軒 横浜工場へのアクセスは?
アクセスは、JR・横浜市営地下鉄「新横浜駅」か、横浜市営地下鉄「新羽駅」、もしくはJR横浜線「小机駅」が最寄り駅。「新横浜駅」「新羽駅」を下車した場合は、そこからバスに乗り換えが必要となります。「小机駅」からは、徒歩約17分。つまり、どの最寄り駅からも少し距離があるので、あらかじめバスの時間など調べておくことをおすすめします。ちなみに、タクシーだと新横浜駅からは約8分で到着します。
●横浜市営地下鉄「新羽駅」からは、市営バス28系統(ららぽーと横浜 経由)「中山駅北口」行もしくは、市営バス41系統「中山駅北口」「川向町折返場」行に乗り「新開橋」下車
人気のワケも納得
原材料が大きな機械で混ぜ合わされ、おなじみのパッケージに詰められていくまでの様子は、見ていて全く飽きることがなく、気づけば無心になってじっと見つめてしまうほど。顔出しパネルや内装など、あちこちで写真を撮りたくなるようなワクワクが散りばめてあり、この工場見学が人気なのも納得です。
伝統とともに変わらぬおいしさを守りながら、新しいことや楽しいことも取り入れていく崎陽軒。今まで以上にシウマイへの興味が湧いてくるそんな工場見学となりました。
住所 〒224-0044 横浜市都筑区川向町675番1号
<工場見学について>
開催日 火・水・金・土曜日
※毎月の月末と年末年始を除く
開催時間 9:00~10:30、10:30~12:00、12:30~14:00、14:00~15:30
所要時間 約90分(試食含む)
催行人数 1~45名様
参加費用 無料
問合せ先 045-472-5890
受付時間 9:00~12:00、13:00~17:00
HP https://kiyoken.com/factory/
[Photos by koume]