「卵のコーヒー?」と一瞬、まずそうな顔をした皆さん、安心してください。筆者も同じように感じましたが実際には、デザートのような印象すらあるおいしい飲み物。
ベトナムに行く機会があればぜひ試してもらいたいドリンクですから、最後まで読んでみてくださいね。
現地ガイドいわく「若者の間で流行している」
交関係樹立50周年を迎えたベトナムのナショナルフラッグキャリア、ベトナム航空の客室乗務員たち。エアバスA350-900で運航された成田空港発のVN311便のビジネスクラスに搭乗し取材に向かった
ベトナム航空の招待でベトナムを旅した過日の話。現地ガイドを担当してくれた方に「今、若者の間で流行している文化と言えば?」と、ハノイ大教会(聖ヨセフ大聖堂)を目指してまち歩きしている時に聞いてみました。
ハノイ駅から車で約10分のハノイ大教会(聖ヨセフ大聖堂)。フランス植民地時代に建設されたゴシック様式の建物。内部には、祭壇やステンドグラスがある。周囲は、ヨーロッパの都市建築の影響を受けた街路樹の植栽が多く美しい。建物の前には、TikTokなどの撮影に熱心な若者が着飾ってたむろしていた
TikTokなどの回答と共に出てきた言葉が「エッグコーヒー」。エッグとは、冒頭でも書いたとおり卵です。しかも、アヒルの卵を使ったコーヒーもあると説明を受け、思わず顔が引きつってしまいました。一体、どのようなコーヒーなのでしょう。
ハノイの旧市街を人力三輪車のシクロで走る間も、気になって「エッグコーヒー」を出すお店を探し続けました。
注意して見ると確かに「egg coffee」の看板が目に留まります。なるほど、扱うお店の軒数はそれなりに存在する様子です。
しかし、どのお店も、通りから見る限り、若者があふれているような印象はありません。ネーミングから考えても、一時的に流行したインパクト重視のコーヒーなのかなと途中から思い始めていました。
卵黄のフォームを浮かべたコーヒー
エッグコーヒーを飲むチャンスは、ハノイの旧市街地にあるトレインストリート沿いのカフェで不意に訪れました。
トレインストリートとは、旧市街地の建物を縫うように敷設された単線沿いの商業地で、電車が通らない時は、線路上を自由に行き来できるようになっています。
筆者が訪れたカフェの目の前には、線路を挟んだ向かいの建物の壁沿いに椅子が並んでいました。一緒に旅をした取材陣の一部がトレインストリートの撮影に時間をかけていたので、終わるまでその椅子で筆者は小休止していました。
すると、上述の現地ガイドの方が「エッグコーヒー飲んでみる?」とごちそうしてくれたわけです。
出てきたエッグコーヒーは想定と違っていました。卵の形状を保った何かが出てくるのかと思いきや、フォームミルクのようなクリーミーな何かに覆われたコーヒーが出てきます。
口にしてみるとびっくり。焦がしプリンのような、あるいはティラミスのような甘さが口に広がり、ココアパウダーやコーヒーの適度な苦みが追い掛けてきます。
エッグコーヒーとは、卵黄のフォーム(泡立てた卵黄)をコーヒーの上に浮かべた飲み物だったのですね。
クリーミーな甘さが旅の疲れを癒やしてくれる
ベトナムの首都ハノイは、亜熱帯気候に属するため、夏の暑さはやはり厳しいです。交通量も多く、クラクションがそこかしこで響いているので、じっとしているだけでも自然に体力が失われていきます。
そんな心身を、エッグコーヒーの甘さが補ってくれる感じがあり、大いにリフレッシュできました。
立ち寄ったカフェ。トレインストリート沿いにある
想像以上においしかったので、店内に足を運びお店の人にレシピを聞いてみました。
- 1. コーヒーを入れる
- 2. 抽出している間に、卵黄、およびコンデンスミルク(場合によってはバニラも)を泡立て器でかき混ぜる
- 3. エッグフォームをコーヒーの上にゆっくり注ぎ入れる
- 4. ココアパウダーを振り掛ける
微妙なアレンジの違いは存在するそうですが一般的には、以上のようなレシピでつくるそう。
エッグフォームから感じた甘さは、コンデンスミルクの甘みに由来していたのですね。
年末年始にどこにも行く予定がないという人は、ベトナム旅行に出掛けた気分を味わうべく、エッグコーヒーを家でつくってみてはいかがですか?
冬に飲めば、体も温まると思いますよ。
[取材・文・写真/坂本正敬]