こいのぼり生産が盛んな埼玉県加須市
埼玉県北東部の加須市では明治時代の初期から、提灯や傘を作っていた加須市の職人が副業でこいのぼり作りを始めました。第二次世界大戦前には、日本一の生産量を誇るようになったのです。1989年からは5月3日に加須市民平和祭のメインイベントとして、「ジャンボこいのぼり遊泳」が実施されています。
「ジャンボこいのぼり遊泳」が開催される利根川河川敷緑地公園
「ジャンボこいのぼり遊泳」が行われるのは、加須市の北東部を流れる利根川の河川敷緑地公園です。当日には河原にイベントステージが設置され、それを囲むように露店が建ち並びます。「日本三大暴れ川」に数えられる川の流れが、穏やかに感じられるかもしれません。
全長約100メートル、重さ約330キロの日本一大きな「こいのぼり」
ところが、憩いの場の一画にクレーン車が、どっしりとした姿で停車しています。娯楽とは無縁の建設工事用車両が、ゴールデンウィークのイベントの脇役として大活躍するのです。日本一大きな「こいのぼり」を引き上げるために、怪力を発揮してくれます。加須市の「ジャンボこいのぼり」は、何と全長約100メートル、重さ約330キロの巨体。人の力ではびくともしないことでしょう。そこで、クレーン車が利用されるのです。
「ジャンボこいのぼり遊泳」が行われるのは当日2回、11:30と13:30から各30分前後です。遊泳開始の直前になると大勢の人が「こいのぼり」を囲み、クレーン車のロープに装着します。日本一の「こい」の口の直径は、約10メートル。何本ものロープが慎重に繋がれていきます。
利根川の上空で舞う「ジャンボこいのぼり」
「こい」がまん丸の形に口を開けると、クレーン車がロープを引き上げ始めます。河原に敷かれていたときには巨大な絨毯のようにも見えた「こい」は、口から空気を吸い込み巨体が膨らんでいくのです。
空高くに引き上げられるに従って、生命力が蓄えられていくように見えることでしょう。
「ジャンボこいのぼり」は最高位に達すると、堂々とした姿で風に舞い始めます。この姿を眺めた男の子は、健やかな成長が保証されるかもしれません。
ところが、上空の「ジャンボこいのぼり」は水平遊泳を続けることは、まれなようです。風の向き、強さによって姿を変えます。適度な風が吹いているときは安定感抜群なのですが、風向きによって巨体をくねらせるのです。水の中を泳いでいるかのように見えるかもしれません。風の強さも「ジャンボこいのぼり」にエネルギーを注入するようです。風が弱くなり尻尾を地面に向けると、思わず声援を送ってしまうことになるかもしれません。
「ジャンボこいのぼり遊泳」の前後に行われるステージイベント
当日2回の「ジャンボこいのぼり遊泳」の前後には、メイン会場で「ステージ発表」などのイベントが行われます。ステージの周りは露店で囲まれているので、飲食を楽しみながら、ゴールデンウィークの一日を過ごすことができます。
2024年に空を舞う4世「ジャンボこいのぼり」
1989年に始まった「ジャンボこいのぼり遊泳」は、2000年には「21世紀に残したい埼玉ふるさと自慢100選」に選出されました。例年5月3日に利根川の上空で泳ぐのは、日本一大きなこいのぼりです。齢を重ねた「ジャンボこいのぼり」は、2014年からは4世が遊泳を引き継いでいます。利根川の河原を吹き抜ける風を感じながら、上空を堂々と泳ぐこいを眺めると生命力が感じられることでしょう。
開催日:例年5月3日(予備日:5月4日)/令和6年5月3日(金曜日・祝日) ≪予備日≫5月4日(土曜日・祝日)
開催時間(メイン会場):9:00~14:30
メイン会場:埼玉県加須市 利根川河川敷緑地公園
※ジャンボこいのぼりの遊泳は、気象状況により遅延や中止となる場合があります。
スケジュール:
9:00 歓迎アトラクション
10:00 平和式典
11:00 ステージ発表
11:30~12:00 ジャンボこいのぼり遊泳
12:00~13:30 ステージ発表
13:30~14:00 ジャンボこいのぼり遊泳
14:00~14:30 ステージ発表
「加須市」公式サイト:https://www.city.kazo.lg.jp/soshiki/shougyou_kankou/event/5650.html