観光の新たな拠点・ノボテル奈良
2024年9月に開業した「ノボテル奈良」。ノボテルはフランス・パリ発、世界最大級のホスピタリティグループ・アコーが手掛けるホテルブランドで、沖縄那覇に次ぐ国内2軒目の開業となりました。「JR奈良駅」と、近鉄奈良駅から1つ隣駅の「新大宮駅」からも徒歩圏内の場所にあり、平城宮跡歴史公園、奈良公園方面への交通の便もよいホテルです。
近隣には桜の名所「佐保川」が流れ、「奈良金魚ミュージアム」、吉高由里子さん主演のNHK大河ドラマ『光る君へ』(第34回)で放送された「曲水の宴」が行われたとされる庭園「平城京左京三条二坊 宮跡庭園」もあります。
(参考)NHKアーカイブス:https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0004090134_00000
美術館のような内装と癒しの空間
ホテルは「奈良を詠む」をコンセプトに、奈良の歴史や文化を五感で感じて癒されて、奈良の魅力を再発見できる楽しさも秘めています。
ウェルカムエリア、ソーシャルラウンジ
開放的なウェルカムエリア(フロント)には大きな棚にこけしや筆など工芸品を飾り、枯山水を思わせる一画があったりと、どこを見ても古都を感じさせます。ホテルはプラスティック素材不使用なので紙や木の温かみにあふれ、空間に漂う“香り”でも奈良を表現しています。
ソーシャルラウンジは、宿泊客だけでなく誰でも訪れることができてティータイムを過ごせます。印象的な頭上の大きな照明は行灯をモチーフに七宝柄を施していてかっこいい!
夜になると青色の照明がライトアップされます。17時〜19時のハッピーアワータイムには白や黄にと色がゆっくりと変化して、昼間とは違う近未来的な空間に様変わり!
ワークラウンジ、宴会場
2階にはワークラウンジ、宴会場、会議室があり、こちらも宿泊客以外の方も利用できます。電話やウェブミーティングなどができる個室も2人分設置。1〜2階には喫煙所があります。
1人用のボックス席は背もたれが高く、周囲を程よく遮断して、PC作業に集中したりぼーっとリラックスできる特等席! 佐保川を前にしたテラス席もあり、かつて万葉歌人が佐保川の和歌を詠んだみたいにいいアイデアも浮かびそう。
和の趣ある264の客室
客室は全264室。「スタンダード」から「エグゼクティブ」など様々なタイプがあり、宿泊時期によりますが1人1万円台から宿泊できます(写真は「スタンダードダブル」)。
奈良文化や自然を思わせる和の要素をさりげなく取り入れたモダンな内装(写真は「スタンダードツイン」)。
和の趣に心が休まる「和洋室」。
「スタンダードダブル」に宿泊
客室のルームキーも“脱プラ”に取り組んでいます。スタッフさんが厳選した木製のキーは肌馴染みがいいです。
今回は「スタンダードダブル」に試泊。まずは入口の「姿見」に注目!
全客室の鏡は、タッチパネルの「スマートミラー」になっています。ホテル情報や観光情報をチェックするだけでなく、ルームサービスの注文、2階の大浴場の混雑具合やコインランドリーの使用状況のチェック、目覚まし時計の設定など、多機能を搭載しています!
和箪笥のようなハンガーラックと洗面台はスタイリッシュで、室内は広々とした空間に。洗面台には、タオル類、アメニティ、ドライヤー、ハンドソープ、ボディローションをセット。
先の「ウェルカムエリア」でも少し触れたように、アコー・グループは「脱・使い捨てプラスティック」に力を入れていて、客室のアメニティはリサイクル素材や木製のものを多く使っています。包装も紙製だったりと環境に配慮しています。
木製の歯ブラシ、歯磨き粉、コーム、カミソリ、コットンセット、ソーイングキット、シャワーキャップ、サニタリーバッグとあり、アメニティの追加はスマートミラーで注文OK。
お風呂とトイレは独立し、お風呂には、シャンプー・コンディショナー・ボディソープをセット。バスアメニティはアコーがグローバル契約しているブランドのもので、洗う度シトラスの爽やかな香りがします。
左右のベッドサイドには、照明のスイッチと電源コンセントを設置。
窓辺には奈良の風景を眺めたり、作業ができるスペースも。
冷蔵庫には、瓶入りのミネラルウォーター(4本)を完備。久々に栓抜きを使って開けました。
湯沸かしポット、ネスプレッソのコーヒーマシンもあり、引き出しの中には、コーヒーカプセル、ミルク、シュガー、ティーバッグ(紅茶・お茶)、グラス、マグカップ、栓抜きなどがバッチリそろっています。
和箪笥ラックの引き出しにはパジャマ(上下セット)が入っています。
ちなみに「エグゼクティブタイプ」の部屋のみふわふわのバスローブがあります!
バス周りと寝室はスライド式の扉で仕切ることができてプライベート空間も確保。和紙でできた行灯のやわらかい灯りがリラックス効果をもたらしてぐっすり快眠できます。
大浴場、ウェルネスラウンジ、ジム
客室のスマートミラーで「2階・大浴場の混雑状況を客室のチェックしたら、籠バッグにタオルや着替えを入れてレッツゴー! 客室にある館内案内に書かれた大浴場の暗証番号は忘れずに!
大浴場の利用時間は「6時〜10時、15時〜24時」。大浴場やコインランドリーの混雑状況は、部屋で確認した時と現場へ到着した時の状況は変化するのでご了承ください。
脱衣所は16個のロッカー、入浴前後の水分補給のためにウォーターサーバーもあります。
タオルもあって、5席あるドライヤールームではゆったりと身支度を。
ウッディな「男湯」。
筆が走るシックなデザインの「女湯」。男女共にお風呂には、客室と同じくシャンプー・リンス・ボディソープをセット。
入浴後は「ウェルネスラウンジ」でリラックス。ハンギングチェアもあるオシャレな空間で、吉野檜やマンダリンなどをブレンドした「奈良の香り」で心地よく包みこんでくれます。外から中の様子が見えるキッズスペースもあるので親子でのびのびと過ごせそう。
ほかにも、マッサージ機、アイスクリーム販売機、自動販売機、コインランドリー、24時間オープンしているフィットネスもあります。
ルーフトップテラスとバーラウンジ
8階「ルーフトップテラス」。14時から利用できる奈良県初の常設テラスバーで、1〜2階と同じく誰でも立ち寄れます。
奈良の街と葛城山など山並みを一望。東大寺や二月堂、1月の伝統行事「若草山焼き」が行われる若草山、夏の風物詩「奈良大文字送り火」の高円山まで望めます!
ルーフトップテラスではドリンクなども注文できて、夜は夜景の大パノラマを堪能。
ソフトドリンク、コーヒー・紅茶、カクテルやワインのお酒系まで多種多様(税込800円~)、ナッツやチョコレートなどちょっとしたおつまみ(税込660円~)も。
テラスの隣には、スイートルームと8〜9階の宿泊客限定で7時〜21時30分まで利用できる「エグゼクティブラウンジ」があります。PC作業もできる落ち着いた雰囲気です。
バーカウンターにはナッツやクッキー、サラミやパンなどが並び、軽食とドリンクは無料で楽しめます(メニューは時間帯によって異なります)。17時〜18時30分まではお酒のフリーフロータイムという贅沢な時間帯も!
春は桜をテラスから眺めたり、川沿いを散歩してと、佐保川の桜を愛でられる穴場のビュースポットになりそうです!
イタリアンと奈良食を味わうレストラン
1階の本格イタリアン「トラットリア・ポンテ 奈良」は、誰でもウェルカムなオールダイニングレストランです。国外の一流ホテルやミシュラン獲得レストランに務めてきた因藤典文シェフが、奈良古来の食文化や大和野菜を活かしたオリジナルメニューを創作しています。
・7時〜10時/ブレックファースト(税込価格2,800円)
・11時30分~14時/ランチ(税込3,520円)
・17時~21時30分/ディナー(税込6,600円)
・10時〜15時/日曜日限定ブランチ(税込価格2,800円)(120分制/90分L.O.)
*7~12歳は半額料金
予約受付:https://www.novotelnara.com/restaurants-bars/
奥の席は屋外をイメージした内装で、小上がりのテーブル席からは佐保川の景色が視線の延長線に広がっています。広いテーブル席にソファ席、半個室や個室含め122席を用意し、いろんな席で食事を楽しめます。
朝食(7時〜10時)
朝食は「健康と発酵」をテーマに、ホテルオリジナルの奈良漬入りポテトサラダ、大和野菜のサラダバー、パンや茶粥などヘルシーなラインナップ。バランスよく“ウェルビーイングな朝ご飯”で1日をスタート!
サラダ用ドレッシングは「パセリ&ケール、奈良漬の酒粕、大和野菜、奈良県産苺」と全部試したくなる4種類。トッピングは「コジベリー、ナッツ、スピルリナクルトン、ドライフルーツ」などヘルシーぞろい。グラノーラ、ヨーグルト、無脂肪ヨーグルトに、トッピングをのせてオリジナルの一皿を作ることも。
焼きたてパンはトースターで焼き直しもOK。クロワッサンやグルテンフリーのパンなど6種類あり、“動物性・植物性”の2種類のバターやジャムもあります。
ウィンナー、コーンスープ、スクランブルエッグ、クリームチーズ、外国の方がよく召し上がる1本まるごとのバナナもあり、ヨーグルトにバナナを入れている方もいました。
奈良と言えば「茶粥」。お隣は、ふっくらと甘みのある葛城市産ヒノヒカリのご飯。味噌汁、焼き魚など朝食の定番もあります。
柿の葉寿司、奈良漬、大和野菜の漬物、自分で挽く鰹節、野迫川村のわさび、月ヶ瀬の梅干し、温泉卵、大和大鉄砲大豆の豆腐という和のおかずを小皿に盛って、茶粥や白米に少しずつのせてお茶漬けに自分流にアレンジを。
キュートでヘルシーな朝食プレートが完成! 試していただきたいのは「苺ドレッシング」。甘みと酸味のバランスが絶妙です!
(手前)柿の葉の粉末をかけたフレンチトーストは食後のデザートにもなる一品。
私が宿泊した時は、7時の朝食オープンと同時にお客さんが集まり、8時頃には人の流れが落ち着いてきていました。ピークは7時台のようなので少し時間をずらして行くといいですね。
ランチ(11時30分〜14時)
いろんな奈良の食材と出会える「ランチブッフェ」。日曜日限定で、朝食と昼食を兼ねた「ブランチ」(10時〜15時)も行っています。
ピザ窯で焼く特製本格ピザは必食。奈良県葛城市で育てられた栄養豊富で希少な「スペルト小麦」を使い生地から作られています。
この日は、天日干しトマトのマルゲリータ、大和野菜のピザ、奈良原木しいたけとラルド(イタリア語で豚の背脂のこと)の旨味が効いたピザ、発酵ジャガイモソースに井ゲタ醤油のミストをかけてわさびがツンと効いたピザなど、ここでしか味わえないものばかり。ピザは大人気で、職人さんが常に焼いていました!
特に「4種のチーズと奈良漬けをのせたクワトロフォルマッジ」にはびっくり。本場イタリアンでは蜂蜜をかけていますが、こちらではツタの樹液を煮詰めた古来の甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」をかけています。濃厚なチーズの味をクリアな甘みが包み、平安貴族たちも愉しんだ甘味を味わえて感激しました。
朝食と同じくサラダバーも豊富で、野菜をキャラメリゼして味が凝縮した「大和野菜のカポナータ」や「大和野菜のバーニャカウダ」などと野菜尽くし!
デザートは、奈良漬にも使われる大和野菜「黄金まくわ」の甘みがあるクレームキャラメルプリン、柿ジャム・エスプーマクリーム・小豆を自由にトッピングできる最中、ティラミスなど充実。
(手前)奈良の果物のコンポートを入れた「柿の葉茶粥」は、甘くてサラサラと食べられて、茶粥の新たな一面を発見!
(右奥)牛乳で炊いた古代米にムースを重ねた「大和橘とホワイトショコラのムース」は、米とショコラの甘みに「不老不死の柑橘」と伝わる大和橘のほどよい苦味がマッチしています!
奈良産の食材は滋味深く心身に染み渡って、締めのデザートの満足度も100%! デトックスウォーターもグリーンスムージーも爽やかで、重すぎず幅広い年代で好まれるイタリアンです。
ディナー(17時~21時30分)
ディナーでは、ランチのラインナップに、国産牛ローストビーフやウニのパスタなどリッチなメニューも加わった約50種類が並びます。
ソムリエ厳選のワイン、奈良の特産品を活かしたオリジナルビール、コーヒー、ティーなど種類豊富。お酒が飲めない人も楽しめて、お酒とドリンクのフリーフロー付きのプラン「ディナーブッフェ&フリーフロー付」(税込9,900円)もあります。
「ロンネフェルト ティー コレクション(HOTのみ)」のスパイシーな香りがくせになる「マサラチャイ」(税込900円)。変わった形のティーポットは、紅茶を注ぐ時に茶葉が流動し、最後まで渋味を残さないように工夫されているそう。
こだわりのスーベニアショップ
1階・ソーシャルラウンジ側のスーベニアショップでは、オリジナル商品、奈良の果物のサイダー、染織工房のスカーフなど、環境にも配慮した素敵なグッズを販売しています。
(写真)ノボテル奈良オリジナルの「吉野杉のコップ(大・中・小・お猪口)」(税込4,950円〜)。お客さんにも好評のウェルネスラウンジで香る「奈良の香り」の精油(税込1,200円〜)も販売され、自分用の旅の思い出やお土産に喜ばれています。
おまけ:増える“体験”観光
最後に、“体験する”観光も増えているので、奈良観光の参考に「茶道」と「ミニ鬼瓦作り体験」を少し紹介します。
猿沢池の近く「茶論 奈良町店」で茶道体験
716年創業の奈良の老舗「中川政七商店」初の複合商業施設「鹿猿狐ビルヂング」に隣接する「茶論 奈良町店」では、中川家が住んでいた300年の歴史ある座敷で茶道体験ができます。体験後、実際に茶道を習う方も多いそうです。
自分で抹茶を点てて、老舗銘菓「樫舎」の季節和菓子と共に一服できる体験「自点てセット」(税込3,300円・体験60分)。先生から、茶器、抹茶、作法、お菓子についてお話があり、座敷からお庭を眺めて心が穏やかなひとときに。
同施設内には工芸品がそろう「中川政七商店 奈良本店」のほか、関西初出店のスペシャルティコーヒー店「猿田彦珈琲」、ミシュラン一つ星掲載店による初のすき焼き店「㐂つね」、コワーキングスペース「JIRIN(ジリン)」がも入っています。
「中川政七商店 奈良本店」では、奈良本店限定商品も多数そろえ、ハンカチの刺繍サービスも行っています。
住所:奈良県奈良市元林院町31₋1(鹿猿狐ビルヂング隣接)
TEL:0742-93-8833
営業時間:10:00~19:00(喫茶L.O18:30)
定休日:なし
交通:「近奈良駅」から徒歩約8分、「JR奈良駅」から徒歩約15分
公式サイト:https://salon-tea.jp/
幸せを招く「ミニ鬼瓦」作り
近鉄奈良駅から車で約8分の場所にある瓦製造工房「瓦道」では、春日大社や興福寺など世界遺産の瓦修理にも携わる先生のご指導のもと、招福と魔除けの意味がある「鬼瓦」のミニサイズ版作りを体験できます(税込2,750円/体験約1時間)。
「東大寺・薬師寺・法隆寺」から絵柄を選び、粘土を型に押し込み、表面を整えて、願いや絵などを竹ペンで描きます。乾燥・焼成した後、約1ヶ月で自宅へ配送していただけるので、旅の思い出が未来で待っていると思うとワクワクします!
修学旅行の体験学習コースに組み込まれるほどで、なんと女優の前田敦子さんも親子で訪れたことも。童心に還って粘土をこねて、ご夫婦先生との会話も楽しみながら伝統技術に触れる貴重な機会です!
いざいざ奈良(JR東海):https://nara.jr-central.co.jp/oyako-tabi/article_3/
住所:奈良県奈良市中ノ川町997
TEL:0742-22-2391
営業時間(体験学習時間):9:00~17:00
定休日:不定休
交通:「近鉄奈良駅」から車で約8分/バス「近鉄奈良駅」のりば4(東向き/広岡・柳生・山村町・佐保短大・北野方面)乗車「長尾町」停留所下車徒歩約3分
公式サイト:http://www.gado.co.jp/index.html
「ノボテル奈良」を観光の新拠点に宿泊者も増えて、これからは地元の方にとっても穴場のおでかけスポットにもなりそうな予感。今後ホテルでは「大和西大寺駅〜ホテル〜JR奈良駅」を結ぶシャトルバスも運行予定とのこと。奈良の魅力がさらに深掘りされそうです!
住所:奈良県奈良市大宮町7-1-45
問い合わせ:0742-32-3020
交通:「新大宮駅」から徒歩約8分、「JR奈良駅」からバスで約10分・徒歩約20分、「ぐるっとバス」大宮通りルート「奈良市庁前」バス停から徒歩約3分
公式サイト:https://www.novotelnara.com/
公式Instagram:@novotel_nara
[all photos by kurisencho]