福建料理の“湯肉絲麺”を日本向けにアレンジした「長崎ちゃんぽん」(長崎県長崎市)
「長崎ちゃんぽん」は、1899年に長崎市の中華料理店「四海樓」で誕生しました。店主である陳平順(ちんへいじゅん)氏が、中国人留学生に安価で栄養豊富な食事を提供するために考案したものです。
この料理は、福建料理の「湯肉絲麺(とんにいしいめん)」を、日本向けにアレンジしたもの。スープは丸鶏、鶏ガラ、豚骨をじっくり煮出して作られ、具材には豚肉、イカ、エビ、アサリなどの海鮮と、キャベツ、モヤシなどの野菜をたっぷり使用しています。
長崎ちゃんぽんの麺には、唐灰汁(とうあく)という長崎県内のみで製造されているかん水の一種が使用されており、唐灰汁が使われていないと“長崎ちゃんぽん”として謳うことができないという話も。
モチモチとした麺とさまざまなおいしさが溶け込んだスープが絡む長崎ちゃんぽんは絶品! 現地へ訪れたらぜひ本場の長崎ちゃんぽんをご賞味あれ。
長崎ちゃんぽんについて深く知りたいのなら、四海樓内にある「ちゃんぽんミュージアム」へ! 四海樓の創業当時からの歴史のほか、「ちゃんぽん」「皿うどん」の誕生秘話を知ることができ、1920年代の出前用の器「蓋付ちゃんぽん丼」も展示されています。
独自に発展を遂げた! さっぱりとしつつも深みがある味わいの「小浜ちゃんぽん」(長崎県雲仙市)
長崎県雲仙市小浜町発祥の「小浜ちゃんぽん」は、地元の海産物をふんだんに使った、あっさり系のちゃんぽんです。長崎ちゃんぽんが海を渡り、小浜温泉で独自に発展しました。
小浜ちゃんぽんの普及には、「ちゃんぽん番長」として知られる長崎県雲仙市小浜町の林田真明氏の存在が大きかったそうです。
林田氏は地元のちゃんぽんに注目し、この郷土食を名物にしようと、提供する飲食店を紹介した「マップ」を作成。有志と「小浜ちゃんぽん愛好会」を立ち上げ、市内外で食のイベントを企画しました。
その結果、2013年には林田氏をモデルにしたNHKドラマ『私の父はチャンポンマン』が全国放送され、小浜ちゃんぽんの知名度が一気に上昇したそう。
小浜ちゃんぽんのスープは鶏ガラ主体で、極太のもっちり麺とよく合います。具材には橘湾でとれた新鮮な魚介類と野菜や野菜がふんだんに使用。卵のトッピングが選べたり、殻付エビが入っていたりするのも特徴的です。
さっぱりとしながらも深みがある味わいで、やみつきになります。
小浜ちゃんぽんを味わってみたいと思った方は、ぜひ「小浜ちゃんぽんマップ」を見て、お気に入りのお店を探してみてくださいね!
天草のソウルフード! 新鮮な魚介類をふんだんに使った「天草ちゃんぽん」(熊本県天草地方)
熊本県天草地方で愛されている「天草ちゃんぽん」は、長崎から海を越えてきた料理人が、長崎ちゃんぽんの技法に天草の豊富な海の幸を加えてアレンジしたのがはじまりとされています。
天草のソウルフードとして、数多くの店で提供されているだけでなく、家庭でも日常的に食べられており、「島民食」と呼ばれているそうです。
天草ちゃんぽんは、天草の新鮮なエビやイカ、貝類とともに、キャベツやニンジンなどの野菜をたっぷりと使用。また、天草の塩を練り込んだモチモチとした太麺が特徴的。スープは豚骨と鶏ガラを合わせた濃厚な味わいで、海産物の旨味がスープに溶け込み、風味豊かです。
さらに、店舗ごとに独自の具材や味わいがあり、訪れるお店によってまったく異なる風味を楽しめるのもポイント。
天草地方を訪れた際は、ちゃんぽんの食べ歩きをするのも良さそうですね。
[参考]
農林水産省
長崎市 歴史・文化ポータルサイト
ながさき旅ネット
『ちゃんぽん番長』おいしさ広めたい 「農山漁村の宝」に林田さん 九州農政局選定|長崎新聞
もっと、もーっと!くまもっと。
ご当地ちゃんぽん、透明スープやあんかけも 地域映す|日本経済新聞
[All photos by PIXTA]