【TABIZINE 現地特派員による寄稿】
こちらの記事でご紹介させていただいたハラールショップ「Nakhlistan(ナフリスタン)」は2017年8月末をもって閉店いたしました。
神戸の中心地・三宮駅から徒歩3分のところに今年1月、ハラールショップ Nakhlistan(ナフリスタン)がオープンしました。
「ハラール」とはイスラム教の言葉で「神様に許された」という意味。イスラムの戒律に則った食材やスパイスはもちろん、女性用のスカーフやイスラム地域の雑貨なども扱っています。
この店舗には、従来のハラールショップとはひと味違った特長があります。
1:カフェスペースを併設
神戸にはイスラム教をはじめ様々な宗教の外国人が暮らしているので、以前から幾つかのハラールショップがあります。これらの店は食材を売ることが主で店舗面積は狭く、日本でいう昔の「たばこ屋さん」のような形態です。
しかしナフリスタンは「戒律による制約が多いムスリム(イスラム教徒)が安心してご飯を食べられる場所を作りたい」とオープン。10席ほどのカフェスペースを併設し、礼拝が行われる金曜日の昼にはハラールランチを提供しています。
取材をした日は、ハラール食材で作ったカレーと水餃子、2種類のメニューがありました。
私はカレーをチョイス。ちょっぴりスパイシーで異国の香りが漂う味です。日本のカレールーにはムスリムが食べられない動物性の材料が含まれるため、ルーから手作りするのだそう。
礼拝を終えたムスリムたちが集い、情報交換をします。取材時にテーブルを囲んでいたのは、インドネシアと中国のムスリム、モスクを見学に来たノルウェー人。店内には英語や日本語、彼らの母国語・・・と多くの言語が笑顔とともに飛び交っています。
お茶を飲んだり、店舗で購入したインスタントラーメンなどを食べたりすることもできます。
2:駅近で、夜遅くまで営業
従来のハラールショップは、外国人が多く住む北野エリアに集中しています。三宮駅から山手に徒歩15分と、駅から少し離れた場所です。
そこでナフリスタンは「ムスリムの多くが働く三宮にこそハラールショップを」と駅から徒歩3分の場所に店を構えました。人が集まる場所柄を考慮し、夜10時まで営業しています。
礼拝ルームを設け、お祈りの場所に困るムスリムの駆け込みどころにもなっています。
3:イスラム教徒以外にも開かれた店
店長の小橋麻里奈さんは元ジュエリーデザイナー。石の輸入先の多くがイスラム地域だったことからイスラム教への理解が深まり、店舗オープンのきっかけになりました。
元デザイナーの店主がこだわった店舗は明るく開放的。とてもオシャレな空間です。
トルコのランプや精緻な筆遣いの陶器たちが、ギャラリーのように店を彩っています。
従来のハラールショップのほとんどは外国人ムスリムが経営しています。外国人慣れしていない日本人は「ムスリムではない自分が入ったらいけないのかな」と店に入るのをためらうことも。
ナフリスタンは店舗を入ってすぐのところに雑貨や小物を配置し、エスニック雑貨屋のよう。日本人が入店しやすいように工夫されています。実際に取材時にも、オシャレな雰囲気に誘われて日本人女性が何人も入店してきました。
ある取引業者には「今まで色んなハラールショップを見てきたけど、ここが日本で一番きれいだ」と言われたそうですよ!
「日本で充実したムスリムライフを」。これがナフリスタンのコンセプトです。Nakhlistan(ナフリスタン)とはウルドゥー語(パキスタンの言語)で「オアシス」という意味。母国と慣習の異なる日本で暮らすムスリムが、ここへきてホッとできるように、との思いが込められています。
現在は金曜日に実施しているハラールランチをいずれは毎日に、ゆくゆくはディナーも、そして料理教室やジュエリー作りのワークショップも開きたい・・・と小橋さんは近い未来を見据えています。
住所:神戸市中央区加納町4丁目9-24
電話:078-335-0786
営業時間:10:30~22:00
定休日:第2・4水曜日
ランチ:毎週金曜日(不定期で実施する日も。Facebookページでお知らせ)/500円