森の中にごろんとそびえる岩、シーギリヤ・ロック。高さ200mのこの山頂に、5世紀後半王宮が築かれました。世界遺産でもあるこの遺跡は、19世紀後半イギリス人に発見されるまで、約1400年間も眠っていたのです。
復讐を恐れて築かれた要塞宮殿
その昔シーギリヤを治めていたダートゥセーナ王には、二人の王子がいました。兄のカーシャパは、身分の高い母を持つ腹違いの弟に王位を奪われることを危惧し、父である王を生き埋めにし、王位を剥奪してしまいます。そしてインドへ亡命した弟の復讐を恐れ、この要塞王宮を造るのです。
1202段の階段を登って
遺跡までは象に乗って行くこともできますが、そこからは自分の足だけが頼り。
岩と岩に挟まれた石段を登っていきます。途中からは岩肌にしがみつくように鉄の階段を登ります。
中腹には、岩に描かれたフレスコ画が。元は500体もあったという美女たちは、シーギリヤ・レディと呼ばれています。
妖艶な笑みが印象的、スリランカにおける唯一の非宗教的な壁画だそう。鮮やかな色彩が今も残っているのが素晴らしいですね。
宮殿の入り口を守る獅子
さらにスリル満点の階段を登ると・・・。
宮殿の入り口です。元は獅子の顔もあり、大きく開けた獅子の口の中に入っていく造りになっていたのだとか。
宮殿の庭近くにはこんな看板も。スズメ蜂に注意!
そしてかつてはここに、王宮の建物群が並んでいたそうです。まさに天空都市、マチュピチュのよう。
山頂からはスリランカの雄大な大地の眺め。しかしこんな素晴らしい眺めを手中にしながらも、毎日復讐に怯えて暮らさなければならなかったカーシャパ。
現在は、「男の子を連れて登るとたくましい子に育つ」と言われているシーギリヤ・ロックですが、そのいわれを知ると、複雑な想いにかられてしまうのです。
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