まだ知らぬパリへ。隠れ家みたいな「アンリ・カルティエ・ブレッソン財団」

Posted by: 北川菜々子

掲載日: May 28th, 2016

アンリ・カルティエ=ブレッソンは20世紀を代表するパリの写真家。「サンラザール駅裏」が有名で、決定的瞬間を捉えたユニークな写真たちは美しくて印象的。そんなブレッソンの写真を管理する財団が2003年に設立されました。

この財団はモンパルナスの住宅街の中にあって、どこか隠れ家のようにひっそりと佇んでいます。アンリ・カルティエ・ブレッソンン財団はガイドブックには載っていない、パリを知ることができる場所。まだ知られていないパリの姿を紹介します。

アンリ・カルティエ=ブレッソンとは

まだ知らぬパリへようこそ、隠れ家のような美術館「アンリ・カルティエ・ブレッソン財団」

アンリ・カルティエ=ブレッソンは1930年代から写真家としてパリで活動を始め、その後メキシコ、スペインなど旅をしながら写真を撮りました。1965年には日本に滞在をしたことがあるのだそう。1952年に「決定的瞬間」という写真集を出版。この本によってブレッソンは高く評価されることとなります。

この題名にあるように、ブレッソンは一瞬の人々の行動や表情、風景を神業のごとくカメラで捉えています。その世界観はユニーク。哀しみ、喜び、滑稽さなど、私たちの視覚では捉えることのできない一面を浮き彫りにする写真を発表し続けました。そんなブレッソンの写真は時代を超えて人々を魅了し続けています。

アンリ・カルティエ・ブレッソン財団とは

まだ知らぬパリへようこそ、隠れ家のような美術館「アンリ・カルティエ・ブレッソン財団」

アンリ・カルティエ・ブレッソン財団は写真家の展示を行なっています。とりわけフランスではあまり知られていない写真家の企画展などを開催。高梨豊やルイス・ハインの写真展やブレッソンとポール・ストランドのメキシコ932-1934の比較展など、興味深い企画展は写真好きのパリジャンを惹き付けています。毎年写真コンクールも開催しており、新人の写真家の発掘にも力を入れているそうです。

魅力的な建物

まだ知らぬパリへようこそ、隠れ家のような美術館「アンリ・カルティエ・ブレッソン財団」

アンリ・カルティエ・ブレッソン財団の建物は、以前は芸術家たちのアトリエだったそうです。2、3階は展示室になっており、螺旋階段を上がった4階はブレッソンの作品を展示するスペース兼来場者たちの憩いの場となっています。

まだ知らぬパリへようこそ、隠れ家のような美術館「アンリ・カルティエ・ブレッソン財団」

まだ知らぬパリへようこそ、隠れ家のような美術館「アンリ・カルティエ・ブレッソン財団」

大きな窓から柔らかな光が差し込みます。晴れた日は気持ちがいいほど光が部屋いっぱいに溢れています。企画展を見た来場者は設置された椅子に座り、ゆったりとした一時を過ごしています。写真展についての感想や何気ない日常を語り合う人々。パリジャンの日常の顔を垣間みる瞬間です。

アンリ・カルティエ・ブレッソン財団はパリの隠れ家のような場所。ガイドブックには載っていないパリを体験できます。最後にひとつ。ここは美術館だけれど誰かのアパートを訪れた時のようにインターフォンをならして入らなければならないのでご注意を。それもまたこの場所の魅力のひとつです。

[Fondation Henri Cartier Bresson/アンリ・カルティエ・ブレッソン財団]
[All photos by Nanako Kitagawa]

PROFILE

北川菜々子

Nanako Kitagawa ライター

2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。

2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。

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