歴史あるお茶屋が並び、江戸情緒溢れる東茶屋街
金沢の東山にある「ひがし茶屋街」。城下町の風情が残る茶屋街は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、金沢の名所でもあります。夕方になると三味線や太鼓の音が鳴り響き、芸妓さんの姿を見ることもできるとか。
そのお茶屋の中でも、1820年(文政3年)に建てられた『金沢ひがし廓 志摩』は日本で唯一、国の重要文化財に指定されているお茶屋です。
格式高いお茶屋の造りをそのままに残しており、ここで遊ぶことが許されたのは、上流町人や文人たちだけだったそう。
また、志摩のように、改築されずに、そのままの姿を残しているお茶屋は非常に珍しいとか。
「お茶屋は住居とは違い、押し入れや物入れなどは作らず、随所まで装飾にこだわっており、非常に華奢な造りをしていることから、改築せずに残すのは至難の業」と志摩のご主人が教えてくれました。
志摩の中は見学することができます。中へ入ってみると、まるで江戸時代にタイムスリップしたような気分!約200年前、封建社会だったその時代、町方に許されたわずかな社交の場。その様子が容易に想像できてしまうのです。
ここは「前座敷」で、赤い壁は紅殻(ベンガラ)です。
お客さんが床の間を背にして座ると、その正面の「控えの間」が演舞の場となり、艶やかな芸妓さんの遊芸が披露されていました。
部屋にはお琴や琵琶三味線、などが飾られていますが、普段はどれもがなかなかお目にかかれないものばかりです。
ここは、おかみさんの部屋だったそうです。
部屋に置いてある家具類、小物類、着物なども昔のまま、本物がそのまま置かれています。
並んでいる三味線も、もちろん、昔から使われていたものです。
志摩の近くには、『お茶屋文化館(旧 中や)』があり、こちらも江戸時代のままに残っているお茶屋さんだったそうで、とても珍しいお部屋を見ることができました。
それが、艶やかな群青色で部屋一面をしつらえた「群青の間」です。
他の部屋と趣を変えるため、群青の間があります。目の覚めるような青い壁で、とても上品な室内です。
当時、群青色の染色には相当な金額が必要だったはず。遊芸にかけるこだわりに、金沢の芸文化の心意気が感じられます。
ここで越村さんが興味深いことを教えてくれました。
「赤い紅殻(ベンガラ)の部屋はベーシックなもので、群青の間というのはとても珍しいのですが、さらに、紫の間というものもあるそうですよ。あまり知られていないのですが、石川県で紫の間があるのは兼六園の中だというお話しを聞いたことがあります。(越村さん)」
貴重な紫の間、いつか見てみたいですね。
志摩で伝統の和菓子と抹茶を
志摩の中には、茶房「寒村庵」があり、金沢の伝統的な和菓子と抹茶がいただけます。
茶房の目の前に広がる、風情あるお茶屋の小庭を眺めて、ほっと一息。お抹茶の優しい味が忘れられません。
ひがし茶屋街には、志摩の他に、お土産物屋さんやカフェ、アートギャラリーなどが沢山あります。午前中ぶらっと過ごすのには、とてもおすすめです。
住所:石川県金沢市東山一丁目13-21
電話:076-252-5675
時間:9:30~17:30 / 冬期(12月~2月)9:30~17:00
※開閉時間を予告なく変更する場合がございますので、予めお問合せ下さいますようお願い申し上げます。
定休日:無休
料金:一般500円、小・中学生300円(別途団体料金あり)
※お茶室「寒村庵」別途料金(お抹茶: 生菓子付き 800円 / お干菓子付き 600円)
[Photo by MASASHI YONEDA]