【実はこれが日本一】10m未満も!?「日本一短い」鉄道トンネルの奥深い歴史

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 30th, 2022

意外な日本一を紹介するTABIZINEの連載。今回は、日本で一番短い鉄道トンネルについて紹介します。

トンネルのイメージ
Shutterstock.com

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日本最短の鉄道トンネルもいろいろ


樽沢(たるさわ)トンネル(Wikipediaより)

トンネルというと、どんな印象がありますか? 具体的な距離は別として「長い」印象がありませんか?

青函トンネルにせよ、上越新幹線の大清水トンネルにせよ、数十kmの距離を誇ります。

しかし一方で、「え、なんでこんなに短いの?」という鉄道トンネルもあります。例えば、日本一短いトンネルとして知られるJR呉線の「川尻トンネル」(広島県)の全長は約8.7mです。走り幅跳びの世界記録くらいの距離ですよね。

ほかには、青森県深浦町にあるJR五能線の「仙北岩トンネル」も全長は約9.5mという短さ。静岡県川根本町地名(じな)の大井川鐵道大井川本線にあるトンネルも、「日本一短いトンネル」との愛称を持ちます。こちらも約11mの全長しかありません。

さらに、現役の鉄道トンネルではなくなってしまいましたが、JR東日本の吾妻線の岩島駅~川原湯温泉駅の旧線上にある「樽沢(たるさわ)トンネル」も全長約7.2mです。現在は廃線になっているものの、「吾妻峡レールバイクアガッタン」の自転車型トロッコの路線として活用されています。

「日本一短いトンネル」ができたわけ


大井川鐵道大井川本線のトンネル 写真提供:川根本町まちづくり観光協会

JR呉線の川尻トンネルの場合は、トンネルの上に県道が通っています。JR五能線の仙北岩トンネルは、海に突き出た岩壁を通過しているので、トンネルの必要性がわかります。

樽沢トンネルも山の出っ張りを掘り抜いているので、トンネルにした理由がわかります。

しかし、大井川鐵道大井川本線のトンネルの場合、山を貫いているわけでも、地下を走っているわけでもなく、障害物のない平らな土地にあります。どうしてこんなに短いトンネルが、わざわざ平坦な線路上につくられたのでしょうか? 上述したトンネル群の中でも、最も興味をそそられる対象です。


大井川鐵道大井川本線のトンネル(Wikipediaより)

「日本一短いトンネル」は、大井川鐵道大井川本線の「地名(じな)駅」からすぐ近くにあります。

Wikipediaなどには「川根電力索道用保安隧道」などの名称が書かれていますが、川根本町まちづくり観光協会の担当者によると、「トンネル自体には固有名称はなく、地元の人から『日本一短いトンネル』として呼ばれています」との話。

かつて、そのトンネルの上には、藤枝市瀬戸谷~川根を結ぶ川根電力索道(貨物ロープウェイ)が横切っていました。索道とは、 鋼製の針金をより合わせてつくったロープを空中に張り、容器を引っ掛け、人間や貨物を運ぶ装置です。

この索道が線路の上を横切っていたので、貨物落下防護用に索道の下にトンネルがつくられたと、川根本町まちづくり観光協会の担当者が教えてくれました。しかし、その川根電力索道が廃止になり、トンネルだけが残りました。結果として、何の障害物もない場所に、短いトンネルが存在しているのですね。

調べれば、トンネルはトンネルの数だけ、ユニークな歴史があるようです。身近な場所にある、あるいは旅先で出合った特徴的なトンネルの由来を調べてみてはいかがでしょうか。意外な発見があって、地元や旅先の理解がもっと深まるはずでよ。

[参考]
日本一短いトンネル – 川根本町まちづくり観光協会
9年目を迎える「大井川鐵道 DAY OUT WITH THOMAS™️ 2022」 – PARIS mag
タイムスリップする「日本一短いトンネル」 ― 川根電力索道用保安隧道の郷愁 – TOCANA
「最短トンネル」に脚光 JR東の五能線、9.5メートル – 日本経済新聞
JR東日本で一番短いトンネル – 鉄道旅のガイド

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PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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