2位に2倍以上の差をつける1位の県とは
日本を代表する調味料といえば、何を思い浮かべますか? 例えば、「しょうゆ」は、日本を代表する調味料と言えるのではないでしょうか。
英語で「soy sauce」は、日本の調味料と連想してもらえるくらい、世界でも知られた存在だと思います。海外の旅行先のスーパーマーケットでも見かけますよね。
では、このしょうゆ、身近すぎて意識しないと思いますが、どこの都道府県の出荷量が最も多いかご存じでしょうか。
なんとなく関西のような気もしますが、しょうゆの製造が日本で最も盛んな都道府県は関東にあります。
しょうゆ情報センターの『醤油の統計資料 2021年実績』によると、2位の兵庫県に倍以上の差をつけて千葉県が1位となっています。
京葉銀行の『千葉が誇る日本一 第15回』によると、しょうゆづくりが現在の千葉で始まった時期は江戸時代の1616年(元和2年)らしく、千葉県にある野田・銚子周辺で特に盛んになって、「キッコーマン」や「ヤマサ」など日本人なら誰もが知る大手しょうゆメーカーも誕生します。
もともとしょうゆは、中国で修行していた禅僧が鎌倉時代に持ち帰ったみそが発端となっているそう。みそ製造の場面で使用したおけの底にたまる液体が、たまりしょうゆの原型になったようです。
この調味料のレシピは寺院を中心に受け継がれます。室町時代に「醤油」という漢字が生まれ、室町時代の末期に関西で工業化されます。
そのしょうゆが江戸時代になると、現在の和歌山(紀州)の人たちの手によって現在の千葉にも伝わり、盛んにつくられるようになります。
さらに、水運も優れていた土地の特徴から、首都である江戸の市場で消費され、現在の姿の礎が築かれました。
欧米の文化が一気に流入した明治時代でも、しょうゆはすたれず、第一次世界大戦後にはいよいよ一般家庭にも普及します。
第二次世界大戦中は流通が統制され、配給品となったようですが、戦後に再び自由競争になり、各メーカーが海外にも進出するようになるのですね。
しょうゆの出荷量TOP5
このしょうゆはそもそも、どうやってつくるのでしょうか。
<大豆と小麦を原料としてつくった醤油麹に,濃厚な食塩水を加えて仕込み,約1年間熟成発酵させたものをしぼってつくる>(『ブリタニカ国際大百科事典』より引用)
と百科事典には書かれています。
大豆・小麦に熱を加え、カビの一種である麹(こうじ)菌を加えて、まずは大豆と小麦と麹の入り混じった「しょうゆ麹」をつくります。そのしょうゆ麹に濃い食塩水を入れ、長期の発酵・熟成をさせるのですね。
このプロセスの間に、大豆・小麦・食塩・水を組み合わせただけの液体に、うまみや甘み、香りなどが生まれ、私たちの知るしょうゆになります。
大豆と小麦の量、食塩水の濃度・量を調整すれば、濃口しょうゆ(全国の出荷量の約84%)・薄口しょうゆ(約13%)・たまりしょうゆなどのバリエーションも生まれるそうです。
ちなみに、しょうゆ醸造の老舗「岡直三郎商店」(東京都町田市)が販売する商品の中には、「日本一しょうゆ」という名の商品もあります。群馬県創業の同社は今年、コンビニ大手のローソンとのコラボレーションで「からあげクン 日本一しょうゆ味」を出したので知っている人も少なくないかもしれません。
同社創業の土地である群馬県も、しょうゆの出荷量で千葉県・兵庫県に次いで第3位を占めています。続いて愛知県、香川県、以上でトップ5となります。
全国を旅する際には、各地で盛んにつくられる・食されるしょうゆをお土産に選んでみてはいかがでしょうか。帰ってからも自宅で長く楽しめますのでぜひ、次の旅行のお土産としても考えてみてくださいね。
[参考]
※ 09.利根川水運と醤油・味醂生産 – 千葉県
※ 日本農林規格 – 農林水産省
※ 千葉が誇る日本一 – 京葉銀行
※ こいくちしょうゆ、うすくちしょうゆについて教えてください。 – 農林水産省
※ 統計資料ダウンロード – しょうゆ情報センター
※ 「からあげクン」日本一しょうゆ味 ローソンと岡直三郎商店コラボ – 上毛新聞
※ 歴史 – しょうゆ情報センター
※ 【しょうゆ#1】ヨーグルトだけじゃない!しょうゆも“乳酸菌”で発酵させるんです!! – フムフムニュース
※ 「しょうゆこうじ」ってなんですか? – しょうゆ情報センター
※ からあげクン 日本一しょうゆ味 – ローソン
※ 日本一しょうゆ:岡直三郎商店 – 日本きらり
[All photos by Shutterstock.com]