『千と千尋の神隠し』の湯屋「油屋」に似ているとバズった観光地
重慶と聞いて、どのようなイメージを持ちますか。歴史に詳しい人であれば、日中戦争の際に、臨時の政府を中国側が置き、当時の中国における政治、経済、文化の中心だった土地だと記憶しているかもしれません。
旅行好きの人は、ここ5年ちょっとで世界を驚かせた、観光地としての目覚ましい成功ぶりを思い浮かべるかもしれません。
宮崎駿監督のファンは、重慶の洪崖洞(ホンヤードン)を連想するはず。洪崖洞(ホンヤードン)とは、重慶のみならず中国全体で見ても屈指の人気を誇る商業施設です。
急こう配の傾斜地に沿ってつくられた11階建ての建物が特徴的で、『千と千尋の神隠し』に出てくる湯屋に似ているとSNSでバズり、世界的な知名度を獲得した場所とも言えます。
今回の絶景スポット紹介は、その洪崖洞(ホンヤードン)についてです。
夜のライトアップ時が見どころ
洪崖洞(ホンヤードン)のある重慶を訪れた経験はありますか? 同地を「山城」「斜都」と呼ぶ人も居るくらい重慶は傾斜の多いまちです。
あの有名な揚子江(ようすこう)と嘉陵江(かりょうこう)という2つの大河の合流点に位置する半島が、市街地の中心部になります。
流れの速い2本の大河に大地を削られた半島は中心部が大きく盛り上がっており、その傾斜地の上に、市街地が発達してきたのですね。
その半島の河岸につくられた商業施設・洪崖洞(ホンヤードン)が今回の絶景スポットです。
洪崖洞(ホンヤードン)は昔、傾斜を生かした、吊脚楼と呼ばれる重慶で伝統の建築様式の高床式家屋が建ち並んでいました。
しかし、老朽化が進んだため、1990年代に撤去作業が始まり、住人も立ち退いて、2006年(平成18年)には、重慶市人民政府が3億8500万元、日本円にして75億円程度の予算を費やし、商業施設をつくります。
新しくできた11階建ての洪崖洞(ホンヤードン)も、傾斜地に長い柱を建てて、高低差のある土地に床をつくり、民俗的な風情が残る伝統建築としてつくられました。
入り口が、1階と最上階の11階の両方にある構造が、重慶の建物らしさを表現していると言えるかもしれません。
高低差のある商業施設の中には、飲食店・商店街・劇場・ホテル・展望台などがひしめいていて、その入り組んだ建物の形状が、夜のライトアップ時になると特に、『千と千尋の神隠し』に出てくる湯屋「油屋」に似ていると騒がれるようになり、SNSでバズったのですね。
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中国に次に訪れるタイミングでは、重慶をぜひ旅の目的地にして、洪崖洞(ホンヤードン)の絶景を、さらに、洪崖洞(ホンヤードン)の展望台からの重慶の眺望を楽しんでみるといいかもしれませんね。
ただ、重慶の夏はすさまじく暑いので、旅のスケジュールにはご用心を。
[参考]
※ Hongyadong – Chongqing International Communication Center
※ Chongqing fights drought, bushfires amid severe heat – Global Times
※ Chongqing war-era bomb shelter gets a new lease on life – CHINADAILY
※ Bright lights of Chongqing’s night markets draw millions – CHINADAILY
※ World’s fastest-growing tourism city is in China – CNN
※ 世界の「斜都」 – 書斎の窓
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