【実はこれが日本一】高さ226m!瀬戸内海の島にある塔は東京都庁くらい高い

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Mar 21st, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、広島県の離島にある日本一高い塔を紹介します。

広島県竹原市大久野島
©︎ Shutterstock.com
 


 

瀬戸内海の離島にある日本一の送電鉄塔


Vickerman625, Public domain, via Wikimedia Commons

本州と四国の間には瀬戸内海があって、大小1,000近い島が存在しています。その中には、有名なしまなみ海道が通る島々もあります。しまなみ海道が通過する島の中には、大三島があります。

その大三島の北側、本州との間には大久野島という小さな島もあります。島の面積は0.7平方キロメートルで、第二次世界大戦中まで同島には、毒ガス工場があったと百科事典に書かれています。

戦後の1963年(昭和38年)からは国民休暇村(現・休暇村)となり、観光地化が進んできました。「休暇村」とは一般に、国立公園・国定公園内で営業する宿泊施設ですね。大久野島は瀬戸内海国立公園にあり、大久野島温泉(放射能泉)や海水浴場、キャンプ場も島内にあります。

その大久野島には、日本一の高さを誇る鉄塔もあります。その高さはなんと226m。東京都庁の高さが243mですから、広島の離島にそれだけの高い塔があるとはびっくりです。

その塔は、何の塔なのでしょうか? 日本記録認定協会よると「日本で最も高い送電鉄塔」とされています。送電鉄塔とは、電線を支える巨大な鉄塔。国内に約24万基ある鉄塔の中で、日本一の高さを誇る送電鉄塔は瀬戸内海の離島にあるのですね。

1本で10tを超える送電線を6本も支える塔


写真左側の島が大久野島 kyokyo, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
大久野島の送電鉄塔は、なぜこんなにも高いのでしょうか? 本州と四国間で海峡を越えて送電線を架けようとすると、本州から大久野島までの2,357m、大久野島からその南にある大三島までの1,423mの距離を克服しなければいけません。

電気事業連合会によると、2kmを超える海峡に架けた送電線の重さは、1本で10tを超えるそう。10tとは、大型路線バス1台や最大級のシャチの重さに匹敵します。まず、その重たい送電線を支えられる塔を建てる必要があります。

また、重みのある送電線は大きくたわみます。海上を航行する船の安全を脅かさないように、送電線を支える塔を高くして、たわんだ電線を海面から一定の距離(現状では42m)で離さなければいけません。そうと考えると、日本一高い送電鉄塔が必要になったのですね。

周囲は海です。海風によって電線が振動します。塩分で腐食が進みやすい環境でもあります。その中でも、トラブルなく送電を実現するため、現場では大変な努力が費やされているようです。休暇村ファンのみならずとも、この鉄塔を眺めに大久野島に泊まりに出かけてみてはいかがでしょうか? 島へのフェリー移動も楽しいですし、特別な旅になりそうですよね。

[参考]
Enelog – 電気事業連合会
Vol.5|2012  「エネルギーの現場」島をつなぐ送電鉄塔 中国電力大三島支線・大崎火力線 – 電気事業連合会
日本で最も高い送電鉄塔 – 日本記録
日本一高い送電鉄塔(中国電力大三島支線No.11) – ニッポン旅マガジン
大久野島のノッポさん – 休暇村大久野島
鉄塔・電柱に係る技術基準をめぐる現状について – 経済産業省

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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