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樽(たる)の世界一は日本にあった
樽(たる)といわれたら、どんな光景や用途を思い浮かべますか? ウイスキーやワイン造りなどで使われる樽を思い浮かべる人が多いはず。最近では、バレルサウナを連想する人もいるかもしれません。
ウイスキーやワイン、バレルサウナなどは全て、カタカナ表記の言葉です。その意味で、樽といえば外国で盛んな文化のような気がするかもしれません。しかし、江戸時代までは日本でも、樽や桶(おけ)が暮らしの中で盛んに使われていました。
明治時代を境に、樽や桶は、ほかの素材の容器に入れ替わっていきましたが、しょうゆやみそ、日本酒など醸造食品づくりの現場ではこのところ、通常のホーローやステンレス製のタンクに代わって、樽が見直されています。
それどころか、昔ながらのしょうゆの味を目指し、2002年(平成14年)にフンドーキン醤油(大分県臼杵市)のグループ会社・大分醤油協業組合は自社のしょうゆ工場に、ギネス世界記録に掲載される世界一巨大な樽まで完成させました。
実は、樽の世界一は日本にあったのですね。
世界一巨大な木樽(だる)
ギネス世界記録にも掲載されるくらい巨大な樽とは一体、どの程度の大きさなのでしょうか。
公式記録を見ると高さ9m、直径9mで、54万L入る とされています。
『小学館の図鑑NEO+ぷらす もっとくらべる図鑑』によると、大人のキリンの体長が3.8~4.7m、信号機の高さが5m以上と書かれています。高さ9mの大きさが、どれだけ巨大か伝わってきますよね。
臼杵市に本社を構えるフードキン醤油の公式サイトによると、側面の板の厚さは9cm、底板の厚さは11.5cmあるそう。
その樽材のきめ細かさが、外気温の変化をゆっくりと受け止め、快適な発酵・熟成環境を内部に保ち、昔ながらの味わいをつくるのだとか。
世界最大の木樽は、樹齢数百年のカナダ産ヒバを200本使用しているとの話です。
しかし、水の文化センターの機関誌『水の文化』63号のインタビューに答えた専門家によると日本は昔、世界屈指の樽と桶の大国で、樽材に適したスギやヒノキなど針葉樹林も豊富だったそうです。今は国産材の自給率は50%を切っているとの情報もあります。
世界一巨大な木樽もせっかく存在するのですから、昔ながらの木樽を使ってつくられたしょうゆやみそを意図して購入し、木樽の使用がさらに進むようにサポートしてみてもいいのかもしれませんね。
[参考]
※ 日本で最も大きな木樽 – 日本記録 ※ 世界一の木樽づくり – フンドーキン醬油 ※ Largest wooden barrel / cask – Guinness World Records ※ 桶・樽のモノ語り – 水の文化センター ※ 会社概要・沿革 – フンドーキン醤油 ※ 「令和3年木材需給表」の公表について – 林野庁 ※ 「世界一木樽醤油」販売 醸造3年「味に深み」 フンドーキン醤油 – 西日本新聞 ※ 世界一大きな木製樽でしょうゆ醸造 4年に1度仕込み 深みのある味わいに – 毎日新聞 ※ フンドーキン醤油、「世界一木樽醤油」発売 300年前の醸造再現 – 日本食糧新聞社
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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