日本の世界遺産【3】縄文杉は樹齢数千年!日本の自然植生が凝縮された「屋久島」

Posted by: あやみ

掲載日: Aug 24th, 2023

九州南方と台湾の間、約1,200kmの「南西諸島」には、900以上もの島が点在していますが、樹齢1000年を超えるヤクスギ天然林などからなる天然林と、海岸部から山頂部にかけて自然植生の垂直分布が連続的に見られるのは屋久島だけです。今回は、島の約2割が世界自然遺産に登録された「屋久島」にフォーカス。概要や見どころはもちろん、行き方、周辺の人気スポット・グルメもご紹介します。

屋久島の森(鹿児島県)
 


 

本州の約2倍の降水量! 日本全体の自然植生が凝縮された「屋久島」

屋久島俯瞰
「屋久島」は、鹿児島の最南端から約60kmの海上に位置します。面積は約500平方キロメートルで、その約20%にあたる約1万747haが1993年に世界自然遺産に登録されました。

登録地域は、海岸沿いのアコウといった亜熱帯の植物からはじまり、標高が上がるにつれスダジイなどの照葉樹林帯、スギ樹林帯、山頂付近には冷温帯性ササ草原や高層湿原、亜高山帯の低木林が連続して垂直に植生し、ひとつの島の中で南北に長い日本の自然植生を見ることができます。「屋久杉(ヤクスギ)」と称される日本固有種の森林が見られるのも大きな特徴です。

屋久島・安房川
また、島の中央部には、九州最高峰、1,936mの宮之浦岳を主峰とする山岳が連座し、その山腹を多数の河川が深い谷を刻んで流れています。

ヤクシカ
ニホンジカの中で最も体が小さいといわれる「ヤクシカ」

さらに、年間降水量は平野部で4,000mm、山頂部では10,000mmを超えるといわれる同地域には、多湿な環境に適応した多くの動植物が生息。約1,900種の植物(亜種も含む)、16種の哺乳類、150種の鳥類が生息し、独特かつ多様な生態系が保存されています。

現在、確認されている中で最大のヤクスギは「縄文杉」で、幹周16.4m、樹高25.3m、推定樹齢2,600年以上です。縄文杉を含むスギ原生林は特別天然記念物に指定されています。

見どころは?

屋久島の縄文杉
屋久島の一番の見どころは「縄文杉」です。樹齢数千年の老木でありながらも、コブが波打つように隆起する木肌に強い生命力を感じます。その神秘的かつ圧倒的な存在感は、片道約5時間のハードな登山の疲れを忘れさせるほどです。登山者の踏圧によって根が傷まないように、現在は間近に展望デッキが設置されています。また、入山する前は必ず登山届を提出しましょう。

屋久島・花之江河
花之江河

標高約1,600m、屋久島のほぼ中央に位置する日本最南端の高層湿原「花之江河 小花之江河(はなのえご こはなのえご)」も一見の価値があります。一面にミズゴケが生育し、周辺には高山植物群やヤクスギの白骨樹が立ち並んでいて、風光明媚です。

また、縄文杉に次ぐ太さの巨木「大和杉」は窪地にあり、風の影響をあまり受けないためか、ヤクスギとしては樹高が高く、木肌も美しいのがポイント。訪れる人もまれになった登山歩道の下にひっそりと佇んでいます。ゆっくりとヤクスギの巨木を観賞することができそうですね。

屋久島・宮之浦岳
九州の最高峰となる名峰「宮之浦岳」も訪れたいスポット。隣にそびえる「永田岳」とは対照的になだらかな岩肌で、淀川登山口から往復する最短コースは日帰りも可能です。

山頂一帯は低いヤクザサに覆われ、シャクナゲも群生しています。6月上旬になると淡い紅白色の花が山肌を彩ります。山頂から北に開聞岳、大隅半島、東に種子島、南にトカラ列島、西に口永良部島、薩南諸島までの大パノラマが望めるのも魅力です。

屋久島・千尋の滝
千尋の滝

上記はすべて世界遺産に登録されているエリア内にあるスポット。これらのほか、屋久島には樹齢1,000年を超えるヤクスギをはじめ、屋久島の原生的な森を気軽に観賞できる「白谷雲水峡」や、花崗岩の白砂が約1kmにわたり続く美しい「永田いなか浜」、壮大なV字谷の景観をつくり出している落差約60mの「千尋の滝」など、屋久島には、一度では訪れきれないほど魅力的なスポットが目白押しです。

屋久島への行き方

屋久島へ飛行機を利用する場合は、大阪(伊丹)から約90分、福岡から65分、鹿児島から30分です。また、鹿児島港から高速船「トッピー&ロケット」で最短1時間45〜50分で行く方法もあります。

屋久島
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町
電話:0997-46-2333(屋久島観光協会)
公式サイト:http://www.yakukan.jp/

干潮時の限られた時間だけ入浴できる「平内海中温泉」

鹿児島県・平内海中温泉
「平内海中温泉」は、干潮時の前後約2時間だけ入浴できる混浴の天然温泉です。磯のくぼみを浴槽用に少し深くした以外は自然の地形がそのまま残っています。海岸の岩場でやや熱めのお湯と、満天の星空を眺めながらの入浴が可能です。タオル、湯浴み、パレオなどで体を隠して入浴できます。入浴料は、協力金の200円です。ワイルドなスタイルの温泉で、屋久島登山で疲れた体を癒やすのも楽しそうですね。

鹿児島県・湯泊温泉
湯泊温泉

屋久島には、湯泊の浜辺にあり、波の音を聴きながらいつでも入浴できる天然温泉「湯泊温泉」(入浴料:協力金200円)や、宮之浦港から車で10分~15分の場所にある単純硫黄泉の温泉施設「ゆのこのゆ」(入浴料:町民以外大人500円、小人200円)など全9カ所の温泉がありますので、屋久島滞在中に温泉巡りをするのも良さそうです。

トビウオの刺身
また、屋久島のグルメといえば「トビウオ」。全国で水揚げされるトビウオの約2割が鹿児島県産で、そのうち約7割が屋久島産です。身は透明で美しく引き締まっていて、刺身は弾力がある絶品! 一夜干しやすり身にしてもおいしく、お土産にもぴったりです。

平内海中温泉
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町平内
電話:0997-47-2953(平内公民館)
入浴時間:干潮前後2時間
休業日:無休
入浴料:協力金200円
交通アクセス:バス停 No.112「海中温泉」から徒歩10分

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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