沖ノ島
今日まで神聖な存在として継承されてきた「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
沖ノ島 ©福岡県観光連盟
沖ノ島の巨岩群には、数多くの奉献品のほか、ほぼ手つかずの古代祭祀遺跡が残っています。これらは、4世紀後半から9世紀末にかけての約500年間に、同島における祭祀の移り変わりがわかる、稀有な物証となっています。
また、航海安全を願って行われた古代祭祀の奉献品の数々は、当時の日本が東アジアのさまざまな国や地域と活発な交流があったことを示しています。朝鮮半島や中国大陸はもちろん、ペルシャ(現在のイラン)に由来する品々も発見されています。
古代豪族の宗像氏が育んだ宗像三女神信仰は、元来、これらの交流の航海の安全を守る神とされているのです。そして、今日に至るまで沖ノ島は三女神を祀る宗像大社の一部として、禁忌や遥拝の伝統とともに、神聖な存在として継承されてきました。
このように、他に類を見ない遺産群であることから、2017年に世界文化遺産に登録されました。
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の見どころは?
はじめに、沖ノ島は一般の方の立ち入りが禁止になっているほか、祭祀遺跡や古墳への立ち入りも禁止されています。遺産群を見学する際は、マナーを守り、個人の敷地に入ったり、ゴミを捨てたりしないようにしましょう。
宗像市・福津市にまたがるこの遺産群は、3つのエリアからなります。そこで、1エリア1スポットの見どころをご紹介します。
【田島エリア】
©️beibaoke / Shutterstock.com
まず訪れたいのが「宗像大社辺津宮(へつぐう)」です。一般的には「宗像大社」と呼ばれており、宗像大社の三つの宮の中で最もアクセスしやすいのが魅力。本殿と拝殿は国の重要文化財に指定されています。宗像三女神の三女とされる市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)を祀っています。
市杵島姫神の降臨の地とされる社殿がない古代祭場「高宮祭場」も見逃せません。さらに、境内の「神宝館」には、沖ノ島神宝の国宝8万点も収蔵されています。
【大島エリア】
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沖ノ島は島そのものが御神体です。そのため、大島の北側の海辺に、渡島できない沖ノ島を遥拝する「沖津宮遥拝所」が設置されました。階段の手前に、「寛延弐年(1749年)」と刻まれた石碑があることから、少なくとも18世紀中頃までにはこの場所に遙拝所があったことがわかっています。
現在の建物は、1933年に建てられたものです。天候に恵まれれば、水平線上に浮かぶ沖ノ島をはっきりと望むことができます。
【古墳エリア】
古代豪族である宗像氏が5世紀から6世紀にかけて築いた、福津市の「新原・奴山古墳群」も必見です。かつての入海に面した台地の上に、前方後円墳5基、円墳35基、方墳1基の計41基の古墳が良好な状態で保存されています。
上空から見た形から帆立貝式古墳と呼ばれている、全長80mと最大規模の「22号墳」、6世紀中頃に築かれた全長54mの前方後円墳「30号墳」、5世紀前半に築かれた一辺24mの宗像地域には珍しい方墳「7号墳」など、古墳マニア垂涎の古墳を巡ることができますよ。
古墳の周辺には春には菜の花、秋には約20万本ものコスモスが咲き、美しい景色を楽しめるのもポイントです。
宗像大社辺津宮、沖津宮遥拝所、新原・奴山古墳群への行き方
今回、見どころとしてご紹介した3カ所への行き方は下記の通りです。
宗像大社辺津宮
JR「東郷駅」から西鉄バスで約12分「宗像大社前」下車
住所:福岡県宗像市田島2331
電話:0940-62-1311
神宝館開館時間:9:00~16:30 (最終入館 16:00)
神宝館休館日:年中無休
神宝館拝観料:一般800円、高校生・大学生500円、小学生・中学生400円
公式サイト:https://munakata-taisha.or.jp/
沖津宮遥拝所
JR「東郷駅」「福間駅」からバスで約25分「神湊波止場」下車、「神湊港」から市営渡船大島航路で約25分、「大島港」からバスで約10分
新原・奴山古墳群
JR「福間駅」みやじ口から西鉄バス「東郷駅」行きに乗車し約20分「奴山口」下車、徒歩約15分
住所:福岡県福津市奴山
電話:0940-43-8134(福津市文化財課)
公式サイト:https://www.city.fukutsu.lg.jp/soshiki/bunkazai/sekaiisan/2083.html
田心姫神が馬に乗って飛び渡ったときにできたと伝えられる「馬蹄岩」
大島の風車展望所 ©️beibaoke / Shutterstock.com
大島を訪れたら、宗像三女神の長女・田心姫神(たごりひめのかみ)が馬に乗って沖ノ島へ飛び渡ったときにできた馬の足跡とされる「馬蹄岩」も要チェックです。荒々しい岩肌に波が打ちつけるダイナミックな光景を眺めることができますよ。人もまばらで、じっくりと観賞することができるのもポイントです。
また、宗像市を訪れたら味わいたいのが「活イカ」です。透明で弾力のある刺身を1年を通して食べることができます。生け簀で泳ぐイカを直前で捌くため、コリコリとした食感で、甘いのが特徴的です。食べている最中にイカが動くことも! 宗像市のイカは、それだけ新鮮なのです。
住所:福岡県宗像市大島2701-9
電話:0940-62-3811(宗像観光協会)
交通アクセス:大島港から車で約15分
公式サイト:https://www.muna-tabi.jp/k006/100/030/020/20150323151904.html
[参考]
世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
むなかた観光ガイド
福津市
福岡県観光WEB クロスロードふくおか
Photos by Shutterstock.com]