ドイツ有数の経済都市「デュッセルドルフ」
19世紀以降、ルール工業地域の主要都市のひとつとして栄えた「デュッセルドルフ」。ライン川沿いに広がっていることから、陸・水・空路の交通網が充実しており、ドイツ有数の経済都市として知られています。
多くの日本企業が進出しており、ヨーロッパの中で日本人在住者が多いことでも有名。中央駅から徒歩圏内に「リトルトーキョー」と呼ばれる日本人街があります。日本語の看板のお店が軒を連ねるインマーマン通りには、書店や雑貨店、食料品店のほか、本格的な和食からラーメン、スイーツなどの軽食までさまざまな飲食店がずらり。旅行中に日本の味が恋しくなったときでも気軽に楽しめる安心感があります。
新旧が融合する建物や緑が多い現代的な街
デュッセルドルフの街を歩いていると、旧市街やケーニヒスアレー界隈など、ヨーロッパらしいクラシックな石造りの建物が並ぶ地区ほか、近代的な建築も各所にあり、新旧が融合する多様性を感じました。
「ホーフガルテン(Hofgarten)」の東側近くにある「グスタフ・グリュントゲンス広場(Gustaf-Gründgens Platz)」周辺は、近代的な雰囲気が漂うエリア。
「ドライシャイベンハウス(Dreischeibenhaus)」と呼ばれる超高層ビルや、美しい曲線を描く白亜の壁が目を引くコンサートホール「Düsseldorfer Schauspielhaus(デュッセルドルフ シャウスピールハウス)」、そして屋根とファサードに植物が敷き詰められた「ケー・ボーゲン II(Kö-Bogen II)」は、都会に緑溢れる空間をもたらす現代的なアプローチが印象的でした。ヨーロッパ最大級の緑に囲まれたファサードを持つビルとのことで、中は複合施設になっています。
再開発地区「メディエンハーフェン」の絵画のような建物
市街地南西部のライン川近くにある「メディエンハーフェン(MedienHafen)」地区でも、現代建築の世界が広がります。ここは、おしゃれなカフェやレストランが立ち並ぶ再開発エリアで、ランドマークとなっているのが「ノイアー・ツォルホーフ(Neuer Zolhof)」と呼ばれるモダンな建物。カナダ出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動する世界的に有名な建築家、フランク・O・ゲーリーの設計によるものです。
一部が傾斜していたり曲線を帯びていたりと、アシンメトリーなデザインの3つの建物が並んでおり、実際に見ても絵画のなかから飛び出してきたかのようなアートな佇まい。思わず中に入ってみたくなった人は、ビルの一角にあるカフェバーを利用してみましょう。
夕焼け時が大人気!ライン川沿いプロムナード
デュッセルドルフの定番の名所と言えばライン川沿い。綺麗な遊歩道が整備されており、雄大な川を眺めながら心地よい散策を楽しめますよ。ライン川沿いは夕日スポットとしても人気。テラス席のあるカフェやレストランもあるので、夕日を眺めながらのんびり休憩するのもいいですね。
お土産1:食べ物だけじゃない!お土産品がそろう「カールスプラッツ」
それではいよいよ、デュッセルドルフのお土産をご紹介していきましょう。デュッセルドルフ出身のガイドさんに、「この土地ならではのお土産を買いたい!」と伺ったところ、教えて頂いたのが「カールスプラッツ(Carlsplatz)」。旧市街の南側にある、デュッセルドルフ最古の屋外マーケットです。
生鮮食品やお肉の加工品店、屋台料理店も多くあり、地元の人からツーリストまで幅広い層の人々が気軽に立ち寄れるスポット。食品以外にも、キッチン雑貨や小物などもあるのでちょっとしたお土産を探すワクワク感を掻き立てられます。
手作りお菓子がたくさん!「ピュア・ペストリー」
この一角にお店を構えているのが、デュッセルドルフで手作りのお菓子を製造・販売している「ピュア・ペストリー(PurePastry)」。2002年にデュッセルドルフ市内でコーヒー焙煎専門のカフェをオープンした後、2015年のパティシエ・オブ・ザ・イヤーを獲得したティム・テクトマイヤー(Tim Tegtmeier)さんを迎え、パティスリーを手掛ける「ピュア・ペストリー」に成長しました。
店舗のショーウィンドウにはパンやケーキなどの生菓子が美しく並んでいるほか、ピーナッツバターやフルーツジャム、ヴィーガンクッキーなど、お土産にもちょうどよいお手頃な価格帯の商品も多数あります。ヴィーガンバニラクッキーは、ほのかにバニラが香るホックリとした食感で、コーヒーと合う優しい味わいでした、
お土産2:大人気「ハイネマン」ではチョコレート以外にも注目
デュッセルドルフのお土産と言えば、真っ先に名前が挙がるのが、1932年創業の老舗菓子店「ハイネマン(Heinemann)」のシャンパントリュフでしょう。デュッセルドルフの近隣の都市「メンヒェングラートバッハ(Mönchengladbach)」で、1932年に夫婦でペストリーショップをオープンしたのが始まりだったのだそう。
現在では、デュッセルドルフを中心にドイツに13か所の店舗をオープン。カフェを併設している店舗もあるので、その場で味わう楽しみも。筆者が訪れたのは有名デパート「ギャラリア」の中にあるブティック。シャンパントリュフはさまざまなパッケージがあり、圧倒的な品ぞろえでした。
クッキーアソートがおいしい!
チョコレートはもちろんおいしいのですが、さまざまな焼き菓子も豊富にそろっているのが魅力。「せっかくならチョコ以外も味わいたい!」ということで、クッキーアソートを手にしました。チョコレートと合わせたものやフルーツジャム、ガナッシュなどいろんな味が楽しめるバラエティー豊かな詰め合わせ。形も可愛いので、お土産にも喜ばれそうです。
歯ごたえがありながらも、しっとりとしたクッキーと柔らかな甘さのフレーバーが重なる贅沢な味わい。優雅なティータイムのお共になってくれるはずです。
所在地:GALERIA Düsseldorf Königsallee, Königsallee1-9, 40212 Düsseldorf, Allemagne
公式サイト(英語)
:https://www.konditorei-heinemann.de/en
お土産3:マスタード老舗店「レーヴェンゼンフ」
こちらもドイツを代表するお土産の定番、マスタードメーカー「レーヴェンゼンフ(Löwensenf)」。”ゴッホが愛した味“として有名で、大手スーパーの食品売り場でも買うことができるのですが、実は本拠地はデュッセルドルフにあります。
旧市街にあるショップでは、辛さの異なるマスタードの幅広いバリエーションがそろうほか、マスタードを効かせたソースなど多彩な商品がラインナップ。お土産用の小瓶などもあり、選ぶ楽しみが広がります。
旧市街の直営店には小さなミュージアムも!
店内の奥には小さな展示スペースもありますよ。マスタードに関する歴史や「レーヴェンゼンフ」の軌跡をたどる展示があり、マスタードの魅力に触れることができます。
お土産4:ラートシュレーガーデザインのお菓子や小物
デュッセルドルフの「ラートシュレーガー(Radschläger)」をご存じでしょうか?日本語で“側転する子どもたち”という意味があり、街には銅像やモニュメント、マンホールのデザインなどにも採用されているシンボル的な存在です。
1288年にデュッセルドルフが市として認められた際に子どもたちが喜んだときの様子を描いたという説や、デュッセルドルフを統治していたヨハン・ヴィルヘルムの結婚に際して、子どもたちが側転を披露したという説、見本市が開かれ人が集まったときに子どもたちが側転をしてお金を稼いでいた、など由来については諸説あるのだそう。
「ラートシュレーガーをデザインしたお菓子や小物もお土産として人気ですよ」と、デュッセルドルフのツーリストオフィスの人が教えてくれました。色とりどりのグミが入ったパックは、子どもにも喜ばれること間違いなし。色によってストロベリーやレモンなど味も違うので、どんな味か想像しながら口にしてみるのも楽しいですね。市内のお土産店などで購入できるそうです。
お土産5(番外編):エッセンの黒い塩
番外編としてぜひご紹介したいのが、デュッセルドルフから電車で約30分の場所にある「エッセン」のお土産。ここは “世界一美しい炭鉱”と称され、世界遺産に登録されている「ツォルフェライン炭鉱業遺産群」がある街。この街のツーリストオフィスで見つけたのが黒い塩、その名も「GrubenSalz(鉱山の塩)」です。
食用の炭で黒く色付けされており、クリスタルのような大粒タイプ。そのまま舐めてみると塩気が口の中に心地よく広がり余韻を楽しめました。料理の下ごしらえにも向いているそうですが、お魚など明るい色味の料理の最後に振りかければ、黒ごまのように色味のアクセントを添えてくれます。
ドイツ中西部の美しい街デュッセルドルフにて、その土地ならではのお土産を探している人は、ぜひ参考にしてみてください!
[all photos by minacono]
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取材協力:ドイツ観光局