地形を利用した楮の栽培によって産まれた細川紙
道の駅「和紙の里ひがしちちぶ」が建つ秩父地方は、土地の起伏が大きく水田を作りにくかったため、和紙の原料となる楮(こうぞ)が盛んに栽培されてきました。豊富な材木に加えて里山を縫う槻川の清流が、品質の高い和紙の製造の文化を育み続けたのです。
和紙工房で手漉き体験
道の駅「和紙の里ひがしちちぶ」の和紙工房では、手漉き和紙の製造、手漉きの体験をすることができます。
和紙製造の工程で最も重要なのは、手漉きの作業です。水で薄められた和紙の原料を入れた「漉き舟」と呼ばれる水槽の中に、漉簀(すきす)を入れ漉き上げます。厚みが均一になるように細心の注意を払わなければなりません。職人さんが模範を示しながら、熟達の技を教えてくれます。一度で職人技を習得する人は珍しく、何度か繰り返すうちに要領をつかむことができるようです。
漉き上げた原紙は、余分な水を押し絞り乾燥します。その後、草花で好みのデザインを創作し、プレスするとオリジナルの葉書の完成です。切手を貼って投函すれば、友だちに体験の思い出や成果を伝えることができます。
東秩父村で長年受け継がれた豊かな文化があふれる「ふるさと文化伝習館」
道の駅の敷地内の「ふるさと文化伝習館」では、細川紙の作り方をレビューすることができます。
「ふるさと文化伝習館」の物産コーナーでは、プロの職人が作った様々な種類の和紙製品が並んでいるので、お土産に利用できそうです。
ギャラリーでは、武州正藍染などの多彩な伝統工芸品の他、郷土の武士が奉納した日本刀などの歴史遺産にふれることができます。東秩父村の長年受け継がれた豊かな文化に驚かされることでしょう。
移築復元された江戸時代末期の紙漉き家屋
個性的なアートも、普段の暮らしの延長線上で生み出されたに違いありません。敷地内には、江戸時代末期の紙漉き家屋が移築復元されています。茅葺き屋根の素朴な民家の中を、土間から見学することができます。
工芸品の製作現場は、日常生活の空間と分け隔てることなく隣り合わせであったようです。小ぢんまりした家屋の中にいると、伝統の和紙作りに励む職人の姿が浮かび上がってくるかもしれません。
東秩父の自然に包まれる御食事処
紙漉き家屋は日本庭園で囲まれています。滝や池などが設けられた庭園は、30種類を超える草木が育てられ、四季折々の彩りで包まれます。自然の豊かな色彩が職人の創作意欲をかき立てたのかもしれません。
日本庭園に接するように御食事処の「すきふね」があります。窓越しに情緒あふれる庭園を眺めながら、打ちたての絶品そばやうどん、天ぷら、山菜などを味わうことができます。
ユネスコの無形文化遺産が体感できる道の駅
埼玉県北西部の東秩父村では、古くら地形を利用した楮の栽培、手漉き和紙が盛んに行われてきました。伝統工芸品の細川紙は国際的に評価され、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。道の駅「和紙の里ひがしちちぶ」で、細川紙の魅力にふれながら、手漉き体験をすれば有意義な時間を過ごすことができるでしょう。
住所:埼玉県秩父郡東秩父村大字御堂441
電話番号:0493-82-1468
営業時間:9:00~17:00
公式サイト:http://www.michinoeki-washinosato.jp/