ヤマトグループが運営する「羽田クロノゲート」は、敷地面積は東京ドーム2個分という、日本最大級の物流ターミナル。そんな羽田クロノゲートでは、普段は見ることのできない物流の舞台裏を見学できるツアーが、参加無料で開催されているんです。クロネコヤマトの歴史や最新技術について学べるだけでなく、実際に大量の荷物が次々と流れるコンベアを間近から眺めることができ、その様子はまさに圧巻でした! 今回は筆者が実際に参加した様子を、普段は写真NGのエリアの様子も含めてご紹介します!
日本最大級の物流ターミナルを見学!「羽田クロノゲート」へ
宅急便のクロネコヤマトでおなじみのヤマトグループが運営する、日本最大級の物流ターミナル「羽田クロノゲート」。
陸・海・空のアクセスの拠点となる羽田に位置し、敷地面積は東京ドーム2個分と非常に広大。さらに1時間で最大4万8,000個の荷物を仕分ける能力を誇り、2013年の誕生以来、日本の物流を支えているんです!
そんな羽田クロノゲートでは、実際に荷物を取り扱う施設の中を案内してもらえる「見学コース」が参加無料で開催中。筆者も実際に行ってきました!
羽田空港のご近所・緑が広がる敷地へ到着
最寄りは京急電鉄「穴守稲荷」駅。低空を旅客機が行き交う空港近くの道を7分ほど歩くと、羽田クロノゲートに到着しました。まずはこちらの円形の建物「受付棟」へ向かいます。
見学の開始を待つ間にも、受付棟内には羽田クロノゲートのジオラマや、宅急便集配トラック「ウォークスルー車」の歴史を感じられる1号車が展示されています。
中には横幅2mくらいはありそうな、巨大な黒猫のぬいぐるみも。可愛いけれど、ちょっとリアルで迫力がありますね。
そして羽田クロノゲートは物流ターミナルとしての用途だけでなく、周辺は地域に開放されたスペースにもなっています。
周辺が緑地化された広場になっているほか、カフェ(スワンカフェ&ベーカリー羽田CHRONOGATE店)や体育館も利用可能で、夏には、夏祭りも開催するそうです!
見学コース参加ルポ!
ヤマトグループの歴史がずらり「100THANKS」
エスカレーターで2階に上がり、廊下を通って見学コースへ。
もらった入館証をゲートにかざして入場、いよいよ見学開始です!また、荷物はこちらのゲート付近にあるロッカーに、無料で預けることができますよ。
見学ではじめに訪れるフロアはこちらの「100THANKS」。1919年創業、2019年で100周年を迎えたヤマトグループの歴史を紹介しています。
たくさんのエピソードの中から、筆者が気になったものをご紹介。
おなじみのクロネコの親子がロゴマークとなったのは、1957年。
ロゴマーク制定の歴史は、戦後にヤマトグループがGHQの配送を手伝っていた中で、アメリカの運送業者「アライド・ヴァン・ラインズ」と業務提携を結んでいたことにさかのぼります。
丁寧な荷物の扱いのキャッチコピーを使用し、そうした意味合いを踏襲した親子のネコのイラストを使用していた同社。
ヤマトグループはその意味に共感し、図案使用の許諾を得て、当時広報を担当していた方の娘さんが描いたという黒猫のスケッチがあわさり、親しみやすいクロネコヤマトのロゴマークが生まれたのだそうです。
ちなみにクロネコの親子のマークは”準”社章。正式な社章は、桜の花をモチーフにしたものなんですよ。
解説のキューブは取り出して、細かな解説を見ることができますよ。こちらはスタジオジブリの映画「魔女の宅急便」へのスポンサードを記念したものです。
こちらは2020年までを展示していて、累計350億個の荷物を配送してきた、との説明が。
2024年までの数だとどうなるのかをお伺いしたところ、1年間で約23億個の荷物を扱っているため、現在では累計約440億個を超えているとのお話でした! 膨大すぎる数字に頭が下がります。
フォトスポットも!「企画展示コーナー」と「見学者ホール」
「100THANKS」のフロアを抜け、「企画展示コーナー」へ。筆者訪問時には、ヤマトグループがこれまでに出稿してきた、お正月の新聞広告が展示されていました。
TVCMが流れるコーナーには、ヤマトグループのキャラクターであるクロネコ・シロネコもいて、人気のフォトスポットなのだそう。
実はクロネコは上半身がマッチョで、シロネコは下半身がふっくらしているんですよ(今まで気付きませんでした)。
続いて「見学者ホール」へ。映像を通して、宅急便やヤマトグループについて紹介してもらえます。なお、普段の見学時には、こちらの見学者ホールからは写真や録画がNGのエリアになっています。
見学の目玉!荷物が目の前で流れる圧巻の「見学者コリドー」
見学者ホールを出るとさらにいくつかのゲートを通り、いよいよ見学コースの目玉である「見学者コリドー」へ!
機械の駆動音が響く廊下を進むと、荷物が流れるコンベアが目の前に現れます。整然と並んだ荷物が運ばれ、次々と目的地別に仕分けられていく様子は圧巻!
白い蛍光灯や赤いランプの光が照らす広いフロアは、いかにも普段は見られない”舞台裏”という雰囲気が漂います。
特にコンベアの合流地点の様子は必見。ちょうど荷物が乗っていない隙間に、ほかのルートからやってきた荷物がピタリと収まっていきます!
荷物が足元を通っていく箇所も見どころ。近くで見てみるとかなりスピーディーに思えますが、コンベアは時速9.7kmとのこと。これは小走り、ゆっくりした自転車くらいの速度です。
フロアをくまなく通るコンベアにはカーブや合流地点などが多く存在するため、それに対応した限界のスピードに調整されているそうです。
こうしたスムーズな荷物の流れを実現しているのが、「クロスベルトソータ」の技術。
クロスベルトソータのセル(写真の左側にある、コンベアを構成する単位)の1つ1つがコンピュータで管理され、荷物は常に中央へ寄せられて運ばれるほか、合流地点のスピードの調整や、荷物に衝撃を与えない仕分けを可能にしています。
見学コースで訪れることができるのは2階のみですが、物流棟は全体で7階建て。1階と2階がトラック到着や仕分けエリア、3階から7階は家電修理や医療器具洗浄などを行う「付加価値機能エリア」になっています。
見学者コリドー内には、今回は見ることのできない付加価値機能エリアについての説明や、輸送時の環境負荷の低減を目指す「モーダルシフト」などについての解説もありました。
羽田クロノゲートの頭脳「集中管理室」
見学者コリドーを抜けると、「集中管理室」の見学へ。集中管理室は、施設全体の効率化とセキュリティを担っている、羽田クロノゲートの頭脳ともいえる重要な場所。
普段は曇りガラスで区切られていますが、見学の際は曇りガラスが透明に! 特別に中の様子を見ることが可能です。
羽田クロノゲートは日本最大級の物流ターミナルですので、管理センターの規模も同じく最大級とのこと。24台ものモニターを同時に使用し、社員約4,000名を抱える施設を滞りなく運営しています。
「展示ホール」では限定のお土産ももらえる!
見学コースの最後となるのが「展示ホール」。物流が生み出す社会的な価値について紹介しているフロアです。また、ここからは再び写真撮影も可能になっていますよ(自由時間のときのみ)。
壁に書かれたキーワードの下には引き出しが。
文字通り知識を引き出すことで、ヤマトグループのサービスや取り組みについて学ぶことができる展示です。
展示ホール内にはお土産をもらえるコーナーも!入館証についているバーコードを読み取ると……
対応した棚のランプと個数が点灯しました! このピッキングシステムはヤマトグループで実際に使われているものと同じなので、ちょっとしたお仕事体験にもなっています。
お土産は宅急便やヤマトグループをモチーフにした文房具が3個入り。持ち帰って開封してみると、ポーチとメモ帳用のスリムなボールペンに、ケーブルをまとめられるバンドという内容でした。どれも可愛らしいですね。
ほかにはメモ帳やクリアファイルなど、レパートリーは9種類。すべて見学コースの限定グッズなので、お土産を目当てにしたリピーターの方もいらっしゃるのだとか。
見学コースはここまで、入ってきたゲートを出て終了となります。充実の内容で満足感がすごいです!
「羽田クロノゲート」で大人の社会科見学はいかが?
見学予約はホームページから受付中
羽田クロノゲート見学コースの開催概要は、以下の通りです。見学の際には注意事項などもありますので、詳しくは公式サイトもあわせてご確認くださいね。
- 所要時間:90分
- 開催日時:火曜~日曜・祝日 ※詳しくは公式ホームページをご確認ください
- 予約方法:開催日の30日前から公式ホームページで受付
- 定員:30人
特に土日はすぐに予約が埋まってしまうことも多く、早めの申し込みがおすすめです!
見学に参加されるのはファミリー層が最も多いものの、幅広い方々が訪れるているとのことです。
人気の見学ツアーを終えて
これまで当然のように受け取り、送っていた荷物。今回の見学を通して、その物流を支える舞台裏を知ることができました。
また、物流ターミナルで見学を実施しているのはヤマトグループのみとのこと。まさにここでしかできない体験で、すぐに定員が埋まってしまう人気の高さにも納得です。
羽田クロノゲートでの大人の社会科見学を楽しみ、システムに注がれてきた技術や労力を知り……、まずは不在票をいただく機会を減らそうと思った筆者でした!
所在地:東京都大田区羽田旭町11-1
電話番号:03-6756-7180
見学コース公式サイト:https://www.yamato-hd.co.jp/facilities/haneda-chronogate/
[Photos by ぶんめい]
※見学コースの予約状況・開催情報などは公式サイトをご確認ください。