【日本三大そうめん】兵庫「播州手延べそうめん」・奈良「三輪そうめん」もうひとつは?それぞれの歴史と特徴

Posted by: あやみ

掲載日: Jul 2nd, 2024

「そうめん」とは、小麦粉でつくる細い乾麺のことを指します。奈良時代に中国から渡来したという説が有力だそうです。今回は、数あるそうめんのなかでも、日本三大そうめんに挙げられる兵庫県の「播州手延べそうめん」、奈良県の「三輪そうめん」、香川県の「小豆島そうめん」の歴史と特徴をご紹介します。

日本三大そうめん トップ画像

約600年の歴史がある! 産地ブランドとして有名な「播州手延べそうめん」(兵庫県播磨地方)


「播州手延そうめん」と聞くとパッとイメージが思い浮かばないかもしれませんが、播磨地方の名産品「揖保乃糸」のことです。

播州地方には、約600年のそうめんの伝統と歴史があり、1418年の斑鳩寺の古文書『鵤庄引付』には、“サウメン”の記述があるとか。また江戸時代には竜野藩が「許可業種」として奨励したといいます。

その後、そうめん作りに欠かせない小麦(播州平野で収穫する小麦)のほか、水(揖保川を中心とした播磨地方の清流)、塩(赤穂の塩)がそろっていたことに加え、冬の農閉期の副業になったことで、「揖保乃糸」は、播州地方の伝統産業として栄えていったそうです。

そして1992年に有名女優を起用したテレビCMを打ったことで、全国の消費者にその名が広く浸透しました。

「揖保乃糸」は、茹で伸びしないほか、滑らかな舌触りで、コシがあり歯応えも良いです。この食感は手延べそうめんならでは。

さらに「揖保乃糸」は茹で方が命! 以下の茹で方をするだけでおいしさがアップします。

(1)大きめの鍋で沸騰したお湯の中にそうめんをバラバラと入れます。
(2)そして再び沸騰したら、ふきこぼれない程度に火加減を調節してください。
(3)茹で上がったら麺をすばやくザルに移し、水で粗熱を取った後、清水を流しながらよくもみ洗いします。

なお、そうめんの茹で時間は1分30秒〜2分が目安です。


揖保乃糸 資料館「そうめんの里」は、手延べそうめんの歴史や文化を学べる施設です。模型やシアターで製造工程を見学できるほか、手延べ作業の実演コーナーも用意。本場の揖保乃糸の創作料理を味わえるレストランもありますよ。そうめん好きなら一度は訪れたい施設ですね。

神からの啓示で誕生した!? 大神神社の神事にもなっている「三輪そうめん」(奈良県桜井市)


日本のそうめんの歴史を遡ると、大和の国の三輪(現在の奈良県桜井市)で生まれた、手延べそうめんにたどり着くといわれているそうです。

今から1,300余年前に、日本最古の神社である三輪山の大神神社で、827年に穀主(たねぬし)朝臣が飢饉と疫病に苦しむ人々の救済を祈願したところ、神の啓示があったといいます。

それは、肥沃な三輪の里に小麦を撒き、実ったら水車の石臼で粉に挽き、湧き水でこね延ばして糸状にすることでした。それが、そうめんの起源と伝えられています。

そしてのちに、三輪そうめんはお伊勢参りの途中で訪れた人々を魅了。手延べの製法も播州や島原へと伝わり、日本の伝統食のひとつになったそうです。

現在も、毎年2月5日に行われる大神神社の神事『卜定祭(ぼくじょうさい)』では、その年のそうめん相場が占われています。なんと、その結果は今でも三輪そうめんの初取引の参考にされているとか!

さらに年中行事を締めくくる感謝祭では、「そうめん踊り」で神様に1年の営みを無事に過ごせた喜びを示しているそうです。

三輪そうめんの特徴は、厳選した小麦粉、三輪の清水、塩など、四季のはっきりした三輪の自然と風土を最大限に生かして作られていること。そのため、なめらかな口当たりで、コシが強く、茹でたあとも伸びにくいという特徴があります。

なお、2011年2月には、全日空(ANA)の国際線のファーストクラスのメニューに「三輪そうめん」が採用されています。ぜひとも空の上で絶品そうめんを味わってみたいですね。

純正ごま油を使用! 品質の高いそうめんとして愛され続けている「小豆島そうめん」(香川県小豆郡)


小豆島そうめん「島の光」の歴史は、約400年前に小豆島池田村の村民が、お伊勢参りの道中に三輪(奈良県桜井市)に立ち寄り、そうめんの製造技術を学び、それを小豆島に持ち帰ったことがはじまりとされています。

なぜ村民がそうめんの製造技術を持ち帰ったかといえば、「冬の農閑期にできること」「家族の労働だけで作れること」が理由だったそうです。

そのため、18世紀まではそれほど盛んではなかったそうめん業が、19世紀半ば以降はさかんに。1862年には、そうめん組合のようなものも作られたという記録が残っているそうです。

そして幕末には、瀬戸内海の近隣諸国はもちろん、九州にまで廻船(かいせん)で積み出されるようになりました。小豆島そうめんは昔から、品質の高いそうめんとして愛されてきたのです。

また小豆島そうめんは、コシが強くのど越しが良いのが特徴。全国でも珍しい「かどや製油(株)」の純正ごま油を使っているのもポイントです。さらにそうめんは室内乾燥が主流になる中で、自然環境に恵まれた小豆島ならではの天日干しを行なっています。

このように今なお、先人たちが守り続けた、確かな麺づくりの技が生き続けているのです。

「島の光」には、伝統ある逸品の「手延そうめん(赤帯)」と、主に贈答用として購入される「手延そうめん(黒帯)」に加え、小豆島特産のオリーブをふんだんに盛り込んだ「オリーブ素麺」も。どれも気になるので、食べ比べしてみたいですね。

[参考]
揖保乃糸
農林水産省
兵庫県
奈良県三輪素麺工業協同組合
三輪素麺振興会公式HP
うどん県旅ネット
日本手延素麺協同組合連合会
手延そうめん 島の光|小豆島手延素麺協同組合

[A photo by Shutterstock.com]

 


 

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

SHARE

  • Facebook