極楽浄土の名前が付いた「浄土ヶ浜」│岩手県宮古市
天和年間(1681〜1683年)に景観を目にした霊鏡竜湖(れいきょうりゅうこ)が「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことに名前の由来を持つ「浄土ヶ浜」。
海上に飛び出た独特な形状の岩群は、約1万年前のヴィルム氷河期に半島として成立し、幾重にも繰り返された海蝕によってできあがったとされたのだとか。
海岸には波によって浸食された岩の成れの果てである小石がビッシリ。ザリザリとした音を立てる変わった踏み心地です。
現地はほとんど生き物の気配を感じず、自身の鼓動のみが聞こえるほどの静けさで、海面も凪いでいます。名前の由来となった極楽浄土は、よく金銀の樹木や宝石がひしめく華美な世界と描写されることがありますが、ここは真逆のように感じます。
霊鏡竜湖はこの景色がどのように見えていたのだろう? 俗世とは一線を画すこの空間を表すためには、極楽浄土としか表現できなかったのかしら? なんて思いを巡らせてしまいまう。知らぬ間に悟りが開いてしまいそうでした。
浄土ヶ浜の見どころ3選
浄土ヶ浜には特徴的な岩群や海岸のほかにも、見どころがたくさんあるのでご紹介します。
岩群をイメージした絶品カレー
「浄土ヶ浜レストハウス」の食事処では、代名詞である岩群をかたどった「浄土ヶ浜カレー(税込800円)」が名物。どこかでみたことのあるお菓子がルゥの上を泳いでいたり、ご飯に立つパセリが岩に生える木々をイメージしていたり、ユーモアと可愛さが光ります。
厳選された牛肉の旨味がしっかりと溶け込んでいるルゥは絶品! 「ビジュアルだけ」と決して侮ることなかれ。
大地の神秘を感じる流紋岩
浄土ヶ浜の岩や石などは流紋岩(りゅうもんがん)という火山岩でほぼ構成されています。白灰色の表面のマグマが流れた跡である「流理構造」や、角ばった「節理」が特徴的で、ダイナミックな自然の神秘を感じられますよ。
ウミネコへの餌やりもできる遊覧船
宮古市遊覧船「うみねこ丸」は浄土ヶ浜を中心に巡る遊覧船。かつて浄土ヶ浜で運航していた遊覧船が終了したことを惜しむ声から新しく建造されました。
海上から美しい浄土ヶ浜を眺められるのはもちろんですが、船内で販売している「うみねこパン(税込200円)」を野生のウミネコに餌付けできる体験が大人気。思い出となること間違いなしです!
ぜひ岩手県へ訪れた際は浄土ヶ浜へ足を運んでみてはいかがでしょうか。デジタルデトックスしたい人に特におすすめです。
[Photo by 土田洋祐&Shutterstock]