最も有名な宇宙からの信号の一つ「Wow! シグナル」
1977年8月15日、アメリカのオハイオ州にあるビッグイヤー電波望遠鏡が、宇宙からの奇妙な信号をキャッチしました。その際、研究員がプリントアウトされたデータに記した「Wow!」という感嘆の一言が、そのままこの信号の名前に。
この信号は72秒間継続し、明確なパターンが確認されましたが、その後、同じ信号が再び観測されることはありませんでした。なお、観測された「Wow!シグナル」の周波数は1,420MHzでした。
長く謎に包まれていましたが、40年の時を経てその謎を解明する手がかりが判明! フロリダ州セント・ピーターズバーグ・カレッジの天文学者であるアントニオ・パリス教授は、2016年11月から2017年2月にかけて、地球を再訪問した彗星のひとつ「266P/Christensen」に電波望遠鏡を向けました。
その結果、彗星から1,420MHzのシグナルを検出したのです。さらに研究チームは、ほかの3つの彗星でも1,420MHzのシグナルを検出。
そのため、夢のない話になってしまうかもしれませんが、「Wow!シグナル」は地球外知的生命体によるメッセージである可能性は低いといまのところ考えられています。
銀河系中心から発信されている「23時間56分周期の信号」
米国の物理学者のカール・ジャンスキーは、1日周期で変動している未知の信号を分析しました。彼は当初この信号は、太陽が出している電波を地球の自転によって1日周期で受信(24時間ごと)している信号だと解釈。
しかし、より正確に分析したところ、この信号は「23時間56分」であることが判明しました。太陽が発する電波であれば、ぴったり24時間でなければいけません。
このような観測を経て、その未知の電波信号は飛来する方向が特定され、銀河系中心である(いて座)から発信しているものだと判明したのです。
さまざまな憶測が飛び交った「ロス128からの信号」
2017年、地球から約11光年の離れた赤色矮星「ロス128」の方向から、信号が観測されました。
当初、地球外生命体による信号なのではないかなど、さまざまな憶測が飛び交いましたが、天文学者らが謎を解明。この信号は遠くの人工衛星からの干渉によるもので、この矮星が「多くの静止衛星が存在する天の赤道の近く」に位置していることが要因なのだそう。
この信号は「ウィアード(Weird)!」と名づけられ、現在の天文学研究に影響を与えたとされています。
地球文明よりもはるかに進歩した文明から届いた?「深宇宙からの信号」
2015年、ロシアのゼレンチュクスカヤにある電波望遠鏡「RATAN-600」が「強い信号」を検知。この信号は地球から約95光年離れた恒星「HD164595」の方向から届いたとされます。
この恒星系は少なくとも1つの惑星(海王星と同じくらいで、40日間で軌道を1周する)を持っていることで知られており、惑星の数はもっと多い可能性もあるとか。
専門家らは、この信号の意味や発信元の正確な位置を解明するには、相当な時間がかかる見込みだといいます。
なお、この信号が等方性ビーコンからのものだった場合、地球文明よりもはるかに進歩した「タイプII文明」でなければありえない強さだそうです。
また、太陽系だけに向けた狭い範囲の信号であれば、地球文明に近い「タイプI文明」でも可能だとか。
ちなみにタイプII文明は、恒星のエネルギーをすべて使用・制御できる文明レベルのこと。果たして送信元の正体は一体? 謎は深まるばかりです。
世界中の市民科学者が解読を試みた「火星からの信号」
最初に答えをいってしまうと、この信号は火星探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」が発した信号です。
TGOは2023年5月、宇宙人が発したかのようなメッセージを含む信号を発信。地球上の3つの天文台がこの信号を受信してローデータをネット上に公開しました。
その結果、世界中の市民科学者がこの信号の解読を行い、ケン・チャフィン氏と、娘のケリが約1年後に解読に成功! ただし、アミノ酸が意図されたメッセージだけ、解釈の解明に至っていないそうです。
[参考]
「Wow!シグナル」は自然のつぶやきか?|多摩六都科学館
宇宙からの「謎の電波信号」は、地球外生命体が由来か否か──発見から40年を経て、手がかりが見つかる|WIRED
変動周期「23時間56分」で宇宙から届く謎の電波の正体はなんだったのか?偶然が生み出した天文学「電波天文学」|現代ビジネス
宇宙からの「謎の信号」の正体解明 プエルトリコ大学研究所|AFP BB News
深宇宙からの「強い信号」検知 地球外文明発見の期待高まる|AFP BB News
深宇宙から「強い信号」 知的文明の可能性も?|WIRED
宇宙人が発したような火星からの信号、解読に成功 次は意味の解釈|CNN
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