全国的に高い知名度と日本一の生産量を誇る「熊本県」の馬刺し
「馬刺し」と聞いて、最初に思い浮かぶのは「熊本」ではないでしょうか。熊本県は、日本一の馬刺しの生産地であり、全国的に高い知名度を誇ります。
発祥は諸説ありますが、熊本藩の初代藩主である加藤清正が朝鮮へ出兵した際、朝鮮で食料がなくなり、仕方なく軍馬を食べたところ、大変おいしく、帰国後も馬刺しや馬肉を好んで食べたといわれています。
そして戦後の食糧難の際、軍馬の産地だった阿蘇地域で馬肉を食べ始めたことが一般に広く伝わり、昭和30年代には飲食店で馬肉を扱うように。
熊本の馬刺しの特徴は、しっかりとした霜降りと甘みのある脂。「特選霜降り」と呼ばれる部位は、口に入れた瞬間にとろけるような食感を楽しめます。地元では、ニンニク醤油や生姜醤油でいただくのが一般的。濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。
そのほか、鍋や寿司、焼き物などの和食のほか、ハンバーグやカレーといった洋食でも馬肉を味わえます。馬肉は新鮮なほど美味。そのため、熊本を訪れたら、ぜひ馬刺し・馬肉料理を堪能してくださいね!
赤身のあっさりとした味わいが有名な「長野県」の馬刺し
南信州の馬肉を食べる文化は、平安時代までさかのぼります。その時代、「御牧(みまき)」と呼ばれる、天皇の牧場全32か所のうち、なんと16か所が信濃(現・長野県)にあったそう!
江戸時代には木曽馬は、農耕馬や荷馬、武士の馬として重宝されていました。しかし、1782〜1787年の天明の飢饉、1833〜1836年の天保の飢饉による影響で、庶民の間で馬肉を食べる習慣が広がったといいます。
長野県の馬刺しは、熊本のものと比べると脂の少ない赤身が主流であっさりとした味わいが特徴。
長野県内の飲食店などでは、主に「赤身馬刺し」が提供され、歯ごたえがありながらもしっとりとした肉質が魅力です。
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さくら鍋
さらに南信州の飯田や伊那地域では、馬の腸を煮込んだ郷土料理「おたぐり」のほか、さくら鍋やさくらステーキ、馬肉カルパスなどを味わうことができます。
有名プロレスラーが生食したことで全国区に!「福島県会津若松市」の馬刺し
福島県に馬肉が食べられはじめたのは、戊辰戦争のころで、戦争の負傷者に馬肉を食べさせたのが始まりといわれています。その後、馬肉は貴重なたんぱく源として親しまれるように。
そして会津若松で馬刺しが食べられるようになったのは、同市を訪れた有名プロレスラー、力道山が生食したことがきっかけなのだとか。今では、馬刺しは会津若松の郷土料理のひとつになっています。
会津若松の馬刺しは、一般的に「からし味噌」としょうゆで食べるのが特徴的。これが馬刺しの旨味をより一層引き立てます。また、会津若松の馬刺しには赤身の脂肪分「さし」が入っていないのもポイントです。
会津若松市内には、馬刺しはもちろん、さくら鍋、馬の肋骨で出汁をとった「がんぱら汁」といった料理を味わえる飲食店が点在しています。
気になるお店があったら、ぜひ訪れてみてくださいね。
[参考]
馬刺し 熊本県|農林水産省
馬刺し 福島県|農林水産省
もっと、もーっと!くまもっと。
JA長野県
さくらさく
生食文化広げた力道山の子孫も参加 福島・会津で馬肉まつり|毎日新聞
[All photos by PIXTA]