大仏の大きさの基準とは?
そもそも「大仏」とはどのような基準で呼ばれるのでしょうか?広辞苑では、大仏を「丈六(じょうろく)以上の大きな仏像」と定義しています。丈六とは一丈六尺のことで、高さに換算すると約4.8mになります。一般的に、立像は約4.8m以上、坐像はその半分の約2.4m以上が「大仏」とされ、この「4.8m」という基準は、お釈迦さまの身長に由来するといわれています。
しかし、実際にはこの基準を満たしていなくても「大仏」と呼ばれる仏像も多く、地域ごとの伝統や名称の影響を受けている場合もあるようです。
日本の大仏の大きさランキングTOP10
日本の大仏の大きさランキングを1位から10位まで順番にご紹介します。
【1位】牛久大仏(120m)│茨城県
茨城県牛久市に高くそびえる「牛久大仏」は、高さ120mを誇る世界最大の青銅製大仏です。1995年には「世界一高い青銅製仏像」としてギネス世界記録に登録されました。その巨大さは奈良県の東大寺の大仏が手のひらに乗るほど。阿弥陀如来の十二の光明にちなんで120mの高さになったとされています。
牛久大仏は胎内の拝観が可能です。胎内は5層構造になっており、写経体験ができるスペースや大仏建立の歴史を学べるパネル展示、大仏の親指の模型などを見学できます。特に圧巻なのが、地上約85mに位置する胸部展望台。ここからは、天候が良ければ東京スカイツリーや富士山まで見渡せることもあるそうです。
また大仏だけでなく、周辺には四季折々の花々が楽しめる「浄土庭園」や、小動物たちと触れ合うこともできる「ふれあいガーデンテラス」などがあり、観光スポットとしても人気を集めています。
住所:茨城県牛久市久野町2083
電話番号:029-889-2931
営業時間:(3月~9月)平日9:30~17:00/土日祝9:30~17:30
(10月~2月)平日9:30~16:30/土日祝9:30~16:30
定休日:年中無休
公式サイト:https://daibutu.net/
【2位】仙台天道白衣大観音(100m)│宮城県
仙台市郊外の高台に建つ「仙台天道白衣大観音」は、全長100mを誇る日本最大の観音像です。仙台市制100周年を記念し、高さが設定されたほか、地下部分は21世紀の繁栄を願い21mとなっています。全長は牛久大仏に次ぐ国内第2位の大きさを誇ります。
仙台大観音は胎内の拝観が可能。「龍の口」の形をした入口(昇龍・登龍門)をくぐって内部へと進みます。胎内は12層構造で、1層目には十二神将や三十三観音、水子供養殿があり、3層から11層には108体の仏像が安置されています。そのほか心臓部の「御心殿」、周辺を一望できる展望窓も見どころです。
また、境内には「油掛大黒天」があり、油をかけて祈願すると縁結びにご利益があるとされています。この大黒天は仙台大観音建立以前から鎮座しており、古くから信仰を集める存在です。仙台大観音は、信仰の場であると同時に観光スポットとしても人気を集めています。
住所:宮城県仙台市泉区実沢中山南31-36
電話番号:022-278-3331
営業時間:平日10:00~15:30(最終入館15:00)/土日祝10:00~16:00(最終入館15:30)
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.daikannon.com/
【3位】北海道天徳大観音(88m)│北海道
北海道芦別市にある「北海道天徳大観音」は、全長88mの巨大な観音像です。元々はレジャー施設内に建立されましたが、運営母体が変わり、最終的に宗教法人天徳育成会へ譲渡。かつては「北海道大観音」と呼ばれていましたが、現在は「北海道天徳大観音」として管理されています。
建立された当初は20階建ての内部に展望台や資料館があり、胎内を巡ることができました。現在は一般公開されておらず、内部に立ち入ることはできません。ただし、その圧倒的な存在感は今も健在で、遠くからでもひときわ目を引く姿を望むことができます。宗教施設の一部として管理されているため、見学の際は敷地外から楽しむ形になります。
住所:北海道芦別市旭町
電話番号:0124-23-1121(宗教法人 天徳育成会 北海道分院 天徳院)
公式サイト:https://tentoku-in.com/index.html
【4位】加賀大観音(77m)│石川県
石川県加賀市にある「加賀大観音」は、高さ73mの観音像です。元々は、温泉施設や遊園地、美術館を併設したテーマパーク内に建てられたものですが、バブル崩壊後に母体の会社が倒産。一帯の土地は売買が繰り返され、現在では観音像のみがその地でそびえ立っています。
住宅街の中から現れる巨大な姿は遠くからでも確認することができます。最寄りの加賀温泉駅周辺は北陸屈指の温泉地として知られており、宿の中には加賀大観音を眺められる場所もあるそうです。
住所:石川県加賀市作見町観音山1-1
【5位】救世慈母大観音(62m)│福岡県
福岡県久留米市にそびえる「救世(ぐぜ)慈母大観音」は、高さ62mの観音像です。1978年、初代住職・金子妙福師が霊夢で慈母大観音を見たことをきっかけに発願し、5年の歳月をかけて1983年に建立されました。建立当時は日本一の高さを誇り、金子住職は成田山で初の女性住職としても知られています。
観音像の胎内はゆるやかならせん階段になっており、肩の付近まで上ることができます。途中の展望孔(窓)からは、天候によっては筑後平野や有明海、さらには遠く雲仙までを見渡せることも。また、観音像の額には直径30cmの純金板に3カラットのダイヤモンド18個が輝き、胸元には直径10cm(2,000カラット)の水晶と、その周囲に56個の翡翠が散りばめられているなど、豪華な装飾も見どころの一つです。
境内には、世界遺産・ブッダガヤの大菩提寺と同型の「平和大仏塔納骨堂(極楽殿)」や、地獄の世界を再現した「地獄館」などの施設も。無料で見学できる場所も多く、見どころが尽きないスポットです。
住所:福岡県久留米市上津町1386-22
電話:0942-21-7500
拝観時間:平日9:00~16:00/土日祝9:00~17:00(最終入館は閉館の30分前)※https://www.kurume-naritasan.or.jp/about/jibokannon/
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.kurume-naritasan.or.jp/
【6位】会津慈母大観音像(57m)│福島県
福島県の会津盆地東端に位置する「会津村」に建立されたのが「会津慈母大観音像」です。会津村は、6万坪におよぶ大庭園に美術館、古民家が点在する寺院施設で、世界平和を祈念して1986年に創立されました。高さ57mの巨大な観音像は会津村のシンボルとなっています。
観音像の胎内には1万体もの仏像が安置されており、胸の高さにあたる40m地点の展望台からは飯豊(いいで)連峰、会津盆地を一望できます。
また、敷地内には「祈りの里美術館」があり、樹齢2,000年の台湾ヒノキで作られた大日如来坐像をはじめ、歴史的価値のある仏像や仏画が常時展示されています。春は桜、秋は紅葉の名所としても知られており、一年を通して四季折々の景色を楽しめるスポットです。
住所:福島県会津若松市河東町浅山字堂ケ入7
電話:0242-75-3434(祈りの里会津村)
拝観時間:(4月〜11月)9:00~17:00/(12月~3月)10:00~16:00
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.aizumura.jp/
【7位】東京湾観音(56m)│千葉県
千葉県富津市の南房総国定公園・大坪山の山頂に建つ「東京湾観音」は、1961年に建てられた高さ56mの観音像です。材木商の宇佐美政衛(うさみまさえ)氏が戦没者の慰霊と世界平和を願って建てたもので、世界的な仏像彫刻家・長谷川昴(はせがわこう)氏がデザインを手がけました。
胎内はらせん階段になっており、20階建ての内部を巡ることができます。肩や冠の展望窓、さらに最上部の展望台は、東京湾や富士山を一望できる絶景スポット。その眺望の美しさから「関東の富士見百景」、「ちばの眺望百景」にも選定されています。
また、東京湾観音では初詣や節分会、春・秋の彼岸法要などの行事が開催されているため、一年を通して多くの参拝者や観光客が訪れています。
住所:千葉県富津市小久保1588
電話:0439-65-1222
拝観時間:8:00~17:00(最終入館は16:00まで)※季節により変動あり
定休日:年中無休
公式サイト:http://www.t-kannon.jp/sp/
【8位】小豆島大観音(50m以上)│香川県
香川県の小豆島(しょうどしま)に建つ「小豆島大観音」は、1994年に全国の檀信徒の寄進によって建立されました。正式な高さは公表されていませんが、50m以上の高さがあるとされています。その美しさから「世界一美しい観音様」とも称され、フランスの「アークARCプラス国際作品コンテスト」で第一位を獲得しています。
胎内には10,000体以上もの仏像が納められており、最上階の「釈迦殿」には姉妹寺院であるスリランカの国立佛歯寺から分骨された「お釈迦様の歯」が祭られています。展望室からは瀬戸内海や小豆島の美しい景色を一望でき、夜にはライトアップされた観音像の姿を楽しむこともできます。
境内には、「しあわせ小僧」や「しあわせの鐘」など、幸福をテーマにした見どころが点在。春・秋の彼岸法会、お花まつり、しあわせ祭りなど、一年を通してさまざまな行事が行われ、多くの参拝者や観光客に親しまれています。
住所:香川県小豆郡土庄町小馬越乙1
電話:0879-64-6888
拝観時間:8:00~17:00
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.shiawasekannon.com
【9位】釜石大観音(48.5m)│岩手県
岩手県釜石市の鎌崎半島にそびえる「釜石大観音」は、高さ48.5mの白亜の魚籃(ぎょらん)観音像です。天災で亡くなった方の鎮魂と、現世を生きる人々の心願成就を願って建てられました。
観音像の内部は全12階。胎内には三十三観音や七福神が祭られているほか、11・12階部分には展望台が設置され、海抜120mから釜石湾を一望できる絶景スポットです。
また、2016年には「恋人の聖地」に選ばれ、新たな観光名所として注目されています。釜石出身の女性デザイナーが手がけたハート型のモニュメント「願いの鐘」が設置されており、撮影スポットとしても人気を集めています。
住所:岩手県釜石市大平町3-9-1
電話:0193-24-2125
営業時間:9:00~17:00(最終入館は16:30まで)※季節により変動あり
定休日:年中無休
公式サイト:http://kamaishi-daikannon.com
【10位】札幌涅槃大仏(全長45m)│北海道
北海道札幌市南区にある「札幌涅槃(ねはん)大仏」は、「舎利山佛願寺大涅槃聖堂」にある全長45mの涅槃大仏です。涅槃仏の前には、京都の建仁寺や愛知万博の日本庭園を手がけた造園家・北山安夫氏が設計した「浄土庭園」が広がり、美しい景観を堪能できます。
ここでは写経体験が可能で、寺院の2階にある写経所で申し込むと、涅槃仏を至近距離で拝みながら写経に没頭できます。
また、境内には「布施茶屋」と呼ばれるカフェも併設。参拝後にゆったりと過ごせる憩いの場となっています。札幌市内にありながら、静かで落ち着いた雰囲気のこの寺院は、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれています。
住所:北海道札幌市南区石山東6-1-24
電話:011-593-3000
営業時間:9:00~16:00 (春~秋期間は17:00まで)
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.butsuganji.jp
[参考文献]
田中義恭監修『てのひら手帖 図解 日本の仏像』株式会社東京美術
[参考サイト]
せんだい旅日和|仙台観光情報サイト
ふくしまの旅|福島観光情報サイト
富津市
[All photos by PIXTA]