
2026年9月現在、タンザニア・ザンジバルは「レベル1:十分注意してください」に指定されています。渡航検討の際は、外務省の最新情報の確認、十分な安全対策と慎重な行動が不可欠です。
行く前に知っておきたい、ザンジバル基本情報

ザンジバルは、東アフリカ・タンザニアの沖合、インド洋に浮かぶ島々からなる地域です。
日本からアクセスする場合は、中東のドバイやアフリカの玄関口、アディスアベバ(エチオピア)を経由し、ザンジバルのアビード・アマニ・カルーム国際空港を目指すのが一般的です。タンザニア最大の都市ダル・エスサラームから定期船も就航しており、本土からは船で行くことも可能です。

また、ザンジバルを語る上で欠かせないのが、その独特な歴史と文化です。古くからインド洋貿易の要衝として栄えたこの島には、アラブやペルシャ、インド、ヨーロッパの文化が複雑に融合した独自のスワヒリ文化が息づいています。
タンザニア本土とは雰囲気が異なり、イスラム教徒が多数を占めるため、街にはモスクからアザーン(お祈りの呼びかけ)が響き、異国情緒あふれる情景が広がっています。さらに、ザンジバルはタンザニア国内で高い自治権を持つ自治領であり、独自の政府や大統領が存在します。本土から船や飛行機で移動する際にもパスポートチェックが行われるなど、政治的にも独立した一面を持っています。
なお、渡航前に覚えておきたいのが「プラスチック袋の持ち込み禁止」という環境ルールです。自然環境を守るため、使い捨てのレジ袋などの持ち込みが厳しく制限されています。パッキングの際はエコバッグや布製のトラベルポーチなどを活用して準備を整えましょう。
【ストーンタウン】迷宮の街で歴史を垣間見る

はじめに、ザンジバル観光の拠点となるストーンタウンをご紹介します。タンザニア本土からの船が発着する主要な港があるほか、島内唯一の国際空港もここストーンタウン近郊にあります。
空港から市内までは、現地で「ボダボダ(またはボダ)」と呼ばれるバイクタクシーで約10分。「ストーンタウン」という名前の通り、立ち並ぶ建物は石造りで、意図的に統一されたかのような白い街並みが広がっています。角を曲がるたびにおしゃれな裏路地がどこまでも続き、その情緒あふれる風景は初めて訪れた人を一瞬で魅了します。

筆者もカメラを片手に、その歴史的な街並みを探索。古くからインド洋交易で栄えた街には、当時の面影を残す石造りの建物が今も連なり、細い路地を曲がるたびに異なる風景が現れます。また、近年高まるザンジバル観光の人気も相まって、ストーンタウン一帯はおしゃれなカフェやレストランが立ち並び、歴史的な景観と近代的なデザインとが融合した唯一無二の美しい街並みを持っています。
Karafuu Coffee Houseの絶品ブラウニー、ピスタチオソースがけ
散歩をしている最中にふと立ち寄ったカフェもおしゃれ。こちらのお店はそんなストーンタウンで筆者一押しのカフェです。フレディ・マーキュリーが幼少期を過ごしたと言われる家の真横に位置する、Karafuu Coffee House。モダンでおしゃれなインテリアが特徴の落ち着いた空間で、地元の食材を活かしたスイーツをいただくことができます。

滞在中何度も訪れたこのKarafuu Coffee Houseですが、特にお気に入りはこのデーツのケーキ。インド洋貿易が盛んだったころから現代にかけて、ザンジバルではクローブなどのスパイスの生産が盛んです。このケーキも地元のスパイスが一緒に練り込まれていて、ザンジバルを感じることができるケーキです。
住所:140 Kenyatta Road, Shangani, Stone Town, Zanzibar City, Tanzania
電話番号:+255 774 777 754
営業時間:7:00〜22:00
定休日:なし
https://www.instagram.com/karafuucafe/

そして、ストーンタウンのもう一つの顔は、海沿いのフォロダニ公園で毎日18時から開かれるナイトマーケットです。海鮮のグリルやケバブなど、おいしそうな香りを漂わせている出店がある一方、筆者はザンジバルらしいものを食べてみたいということで、「ザンジバルピザ」と「ザンジバルミックス」を買ってみました。

インド洋交易を通してさまざまな文化が行き交ったザンジバルですが、その歴史は現在の食文化にも色濃く残っています。その代表例と言えるのが「ザンジバルピザ」です。
「ピザ」と名前はついていますが、日本人の筆者からすると餃子に近いように感じました。細かく刻んだ野菜とひき肉を、餃子の皮のような薄い皮に包んで揚げ焼きにした料理です。パリッと焼き上げられた生地を噛み締めると、アツアツの具材の素朴な旨味が溢れだし、添えられたピリ辛ソースがその味わいを引き立てます。

もうひとつ試したのが「ザンジバルミックス」。名前の通り、いろいろな具材がミックスされたスープ料理なのですが、この料理は、これまで訪れた国では食べたことのないような独特な味をしていました。酸味の強いスープの中にゆで卵、生野菜、揚げた魚のつみれ、フライドポテトなどが入っています。個人的には好みの味ではなかったのですが、ザンジバルの日常の味を知るという意味では、印象に残るひと皿でした。
【パジェ】どこまでも続く遠浅の海をぼーっと眺める

今回旅したウングジャ島(一般にザンジバル島と呼ばれる)は、香川県よりひと回り小さいほどの島です。決して大きな島ではありませんが、少し場所を移すだけで景色や街の雰囲気ががらりと変わります。
石造りの建物が並ぶストーンタウンを離れ、次に向かったのは島の反対側にあるパジェ。地元の人々が利用する簡易バス「ダラダラ」に揺られること約1時間、車窓の景色は少しずつ街並みから緑の多い風景へと変わっていきます。到着したその先にはストーンタウンとはまったく異なる、もうひとつのザンジバルが広がっていました。

パジェのあるザンジバル東海岸には、どこまで歩いても足が届きそうなほど、遠浅の海が続きます。ただ、ガラス細工のように透き通ったインド洋を前にしても、ビーチに観光客の姿はそれほど多くありません。

波打ち際では、船の手入れをする漁師や、浅瀬を駆け回る子どもたちの姿が。リゾートらしい華やかさというより、地元の暮らしのすぐ隣に美しい海がある、そんな穏やかな時間が流れていました。
パジェの中心部にはレストランや商店もあり、滞在には十分便利な街と言えます。一方、とにかく静かなビーチでのんびり過ごしたいなら、さらに南にあるジャンビアニもおすすめ。パジェからバイクタクシーの「ボダボダ」で10分ほど走ると、観光客の姿はさらに少なくなり、目の前には透明な海と地元の人々の日常だけが広がります。
筆者が宿泊したのは、海沿いに建つ「Kimte Beach Lodge」(2026年9月現在は閉業)。宿に併設されたバーはそのままビーチへとつながっており、海をすぐそばに感じながら過ごせるのが、この宿ならではの魅力です。

夕方になると、バーで「Safari」(タンザニアのビール)を一本頼み、そのまま海辺へ。穏やかな波音を聞きながら、冷えたビールを片手に何もせず過ごす時間は、今でも鮮明に思い出せるほど、ぜいたくで忘れがたいひとときでした。
施設名: Kimte Beach Lodge
住所: Mfumbwi, Jambiani, Zanzibar South-East Coast, Tanzania
営業状況: 閉業
https://www.kimtebeachlodge.com/
【ヌングイ】イルカと泳ぎ、夕日を眺める

ザンジバル滞在の締めくくりに訪れたのは、島の北端に位置するヌングイです。滞在していた東海岸のパジェから直通バスは出ていないため、一度ストーンタウンまで戻り、乗り合いバス「ダラダラ」に揺られること約2時間。ようやく目当ての村へ到着。(※交通情報は2025年8月の訪問時点)

ザンジバルのほかの村々と同じく、ヌングイにも透明度の高い美しいビーチが広がっています。夕暮れ時に足を踏み入れると、ビーチ全体が夕日に染まり、日中とはまた違う落ち着いた時間が流れます。浜辺では放課後とみられる現地の子どもたちが夕焼けを背景にサッカーを楽しみ、日が沈むまでどこかのんびりとした雰囲気に浸ることができます。
そして、観光地でありながらストーンタウンのような喧騒はなく、現地の人々の穏やかな日常へ自然と溶け込める距離感の近さも、この村の大きな魅力です。

旅先で筆者がいつも楽しみにしているのが、地元の人でにぎわう小さな食堂を探すこと。今回見つけたのは、ヌングイの中心部にありながら、訪問時にはGoogleマップにも載っていなかった、現地の人ばかりが集まるローカル食堂でした。
店先に立つ店主と今日獲れた魚について話をしていると、新鮮で大きな魚をその場でフライにしてくれました。一緒にいただくのはアフリカの多くの地域で主食とされている「ウガリ」。トウモロコシの粉を練って固めたものです。アフリカ生活が長く、常に「ウガリに合うおかず」を探してきた筆者ですが、ここで食べた魚のフライは一番ウガリが進む味わいでした。ヌングイを訪れる際は、ぜひ地元で水揚げされた魚料理を試してみてください。

もちろん、ヌングイの魅力はそれだけではありません。ウミガメと一緒に泳げる施設や、伝統的なダウ船に乗る体験など、見どころは盛りだくさん。中でも筆者の一番の目的は「ドルフィンスイム」でした。
ここのドルフィンスイムの最大の特徴は、いけすなどで飼育されているイルカではなく、野生のイルカと泳ぐという点です。 アプローチも独特で、まずは小型ボートで沖合へ移動します。波間を見つめながらじっくりと群れを探し、ガイドがイルカの姿を捉えたらボートで接近。そして「JUMP!」という合図とともに海へダイブします。海中に潜ると、すぐ目の前をイルカたちが泳ぎ抜けていきます。一瞬のことですが、「キューキュー」という鳴き声が聞こえるほど近くで見ることができる貴重な体験。

イルカと泳いだ後は、他の観光客がいない静かなビーチでザンジバル産のフルーツを食べながら過ごしたり、きれいなサンゴ礁の浅瀬でシュノーケリングを楽しんだりと、ぜいたくな3時間コースでした。
気になる料金ですが、筆者が宿で提携しているツアー会社に頼んだ際はUS$25でした。筆者が現地のビーチ沿いで尋ねた別の業者はUS$35ほどを提示したので、少しお得に参加できた印象です。(2025年8月時点)
まとめ

ザンジバルを旅して強く印象に残ったのは、美しい海だけではありません。カメラを持って歩いていると「自分の写真も撮ってよ」と声をかけてくれる人々の気さくさや、浜辺で遊ぶ子どもたち、船の手入れをする漁師の姿も忘れられません。観光地でありながら、人々の日常がすぐそばに息づいている。その距離の近さこそ、ザンジバルで感じた大きな魅力のひとつだと思います。
©Taiyo Kitano
