タイやマレーシアなどを旅したことがある人であれば、地元の人々が右手にスプーン、左手にフォークを持って食事をしている光景を目にしたことがあるかと思います。タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシアなど東南アジアの幅広い地域では、スプーンとフォークを使用するのが一般的な食事スタイル。
ヒンズー教やイスラム教といった宗教色が濃い地域では、宗教上の理由から手で食事をする人たちも少なくありません。イスラム教徒の友人に、なぜ手で食べるのか尋ねたところ「手で食べた方が美味しく感じるから」という回答が返ってきたことがあります。ちなみにスープ料理を食べるときには、ヒンズーの人々もイスラムの方々もスプーンを使います。
スプーンとフォークでは、大きな肉の塊や魚が食べにくいじゃないかという意見が聞こえてきそうですね。東南アジアの人々は肉の塊をフォークでおさえながら、スプーンで切って口に運ぶのです。見事なまでのスプーンさばき!!
ヨーロッパではナイフで切った食べ物をナイフで口に運ぶのはマナー違反とされており、切ったものをフォークで刺して口に運びます。スプーンとフォークで食事をする東南アジア地域では、食べ物を切ったスプーンで食べるのが一般的。 食事を終えたらスプーンとフォークを食器の上に揃えて置いておきましょう。これで東南アジアでの食事作法はバッチリです!
最後に、食事作法の違いから発展した訴訟事件を見てみましょう。
カナダの小学校でフィリピン系カナダ人の男児がスプーンとフォークで食事をしていたところ、先生に「食べ方が汚い」と注意されたそうです。2006年のことです。この一件が裁判に発展、この児童を注意した学校側が17000ドル(約160万円)の賠償金を支払う結果になりました。スプーンとフォークがどれほどフィリピンで定着しているか、大切な食事マナーの一部であるかを裏付ける事件だと言えるのでは?
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