【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

Posted by: 米田ロコ

掲載日: May 11th, 2014

【特集】北陸新幹線開通直前!金沢の達人と巡る「ディープ金沢」

北陸新幹線開通に先駆けて、TABIZINE編集部が、“金沢の達人”とともに、金沢の魅力スポットをご紹介します。金沢の達人としてTABIZINEに協力してくれたのは、地元テレビ局で人気MCの越村江莉さん。今回は越村さん案内のもと、ここへ行ってきました!

創業389年、金沢の名酒蔵「福光屋」

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

白山連峰を望む金沢の街は、老舗の酒蔵が点在する地でもあります。その中でも注目を集めているのが「福光屋」。福光屋の創業は1625年。じつに380有余年昔からある歴史ある酒蔵です。実は福光屋は、松屋銀座や玉川高島屋、東京ミッドタウンにも店舗をもつ、人気酒蔵なのです。

霊峰白山の麓から流れる清水「百年水」

福光屋の本店では酒蔵見学ができます。TABIZINE一行も酒蔵見学をさせてもらうことに。すると、酒蔵の入り口で気になるものを発見!

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

「ここには霊峰白山の麓から百年の時をかけて辿りつく、清水『百年水』が流れているんですよ。」と教えてくれたのは越村さん。そして、福光屋のお酒はすべてこの百年水で造られているそうです。

「この百年水は金沢大学理学部の調査で、一世紀前に降った雨が地中深く浸み込み、幾重にも重なった貝殻層をくぐり抜け、カルシウムやマグネシウムなど酒造りには欠かせない成分をゆっくり溶け込ませて、蔵に辿り着いているのが分かっています。」福光屋の杜氏・板谷さんもこのようにお話してくれました。この百年水は、福光屋の酒造りには欠かせないものなのですね。

ここでしか飲めない、霊峰白山から流れる百年水。臭みやクセはなく、ただただクリアで美味しい清水です。

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

また、福光屋では敷地内にあるこの百年水の水汲み場を解放しており、自由に汲むことができるそうです。時折、近所の人が百年水を汲みにくる姿も見かけました。

酵母が育つ姿に感動!

百年水の感動も醒めないなか、酒蔵の中へと入っていきます。酒蔵の中へ入ると、いくつもの大きなタンクが目に入ります。

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

この中で、蒸米(お酒用に特別に蒸した米)と米麹(お酒用に麹菌を繁殖させた米)と水が一緒になります。ここで麹と酵母が初めてひとつになるというわけです。ここで約15〜30日間適温に保たれながら酵母の培養液である酒母(酛(もと))は醗酵を続けていくそう。もちろん、その間何度も杜氏たちのチェックが入ります。

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

泡のようなものがブクブクと盛り上がっているのは、酵母が育っている証しです。

「お酒を造っているのは僕たち自身ではないんです。酵母や麹菌などの微生物が活動して美味しいお酒になる。僕らはただ、その微生物たちが気持ちよく活躍できる環境を作ってあげることが役目なんです。」
元気に育つ酵母をみる杜氏の板谷さんの目が、親心に溢れていたのが印象的でした。

ここで、できたての酒母(酛(もと))を味見させてもらいました。

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お酒というか、ちょっと変わったヨーグルトのような・・・!甘みと酸味が口に広がります。

そして、成長した酒母は、さらに大きな醪(もろみ)用のタンクに移され、約20日間醗酵させます。

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福光屋は、すべての日本酒を米と水だけで造る純米蔵。そして、造るお酒の種類にあわせて、マイナス80℃に保たれた酵母バングの中から一番適した酵母を選ぶそう。酵母も人間と一緒でそれぞれ個性があり、旨味を増す酵母、酸を多く含む生む酵母などその特徴は様々で、200株も保存しているのだとか!

フレッシュワインならぬ、フレッシュ日本酒に驚き

酒造り工程の最後にたどり着くのは、搾りたての日本酒!貯蔵する前のお酒です。今回は、金沢で昔から愛されている「福正宗」を頂きました。

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飲んでみてビックリ!フレッシュワインのような、フルーティーな飲みやすさ。ぐびぐびイケます。アルコールが苦手という人でもこれを飲んだら感動するかも!もちろん、搾りたての日本酒が飲めるのは酒蔵だからこそできる体験です。

お酒だけじゃない!こだわったアイテムが揃う福光屋本店

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福光屋の本店では、福光屋の全商品を取り揃えています。嬉しいのは、金沢限定のお酒や限定アイテムはもちろん、石川県内、能登や加賀などの地元でしか手の入らないレア食材などにも出会えること。一期一会があるかもしれませんね。

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

越村さんおすすめ、福光屋の「加賀鳶」。上品で、キレのある辛口が特徴です。地元でも加賀鳶ファンは結構多いとか。

また、福光屋では酒造りだけではなく、日本酒の成分や酵母、米醗酵技術を研究して、化粧品開発にも力をいれています。これが福光屋が注目を集めている一つの理由でもあります。

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

新感覚、老舗酒蔵が提案する酒粕スイーツ

福光屋本店の店舗では、ショップと併設したカフェがあります。

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人気は何と言っても「酒かすアイスパフェ」。酒粕が入った大人のパフェです。

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さっそく酒粕パフェを頂くことに。酒粕の風味はあるものの、クセの強くない優しい味。これならお酒が飲めなくても楽しめそう!越村さんも大満足の、酒蔵のスイーツでした。

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スイーツでは物足りないという方は、もちろん利き酒もできます。

【達人と行くディープ金沢】百年をかけた神水が流れ着く老舗酒蔵「福光屋」

ん〜、最高ですね!ちょっと越村さん、酔っていません?(笑)

福光屋は、金沢駅から少し離れているのでバスで行くのがおすすめ。駐車場ももちろんありますが、飲みたいならば、やはりバスが一番!ちなみに、酒蔵見学は要予約なので、事前に問合せをお忘れなく。

福光屋 本店
住所:石川県金沢市石引2丁目8-3(北鉄バス小立野下車徒歩1分)
営業:10:00-19:00(年末年始のみ休業)
連絡:076-223-1117

[All Photo by Masashi Yoneda]

PROFILE

米田ロコ

LOCO Yoneda ライター・編集者。

自由と自然を愛し、Vanlifeにて日本を旅する。

自由と自然を愛し、Vanlifeにて日本を旅する。

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