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ミラノから車で3時間ほどの都市「クレモナ」
『耳をすませば』の会話に出てきたクレモナは、ミラノから車で3時間ほどのロンバルディア州にある都市です。天沢聖司の発言通り、バイオリンやヴィオラなどの弦楽器製作で有名な街。その優れた伝統技術は、2012年に「クレモナの伝統的なバイオリンの工芸技術」として無形文化遺産に登録されています。バイオリン界の巨匠・ストラディヴァリもこの地で活躍したひとり。
クレモナには有名な弦楽器製作学校がある
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バイオリンが美しい音色を奏でるかどうかは、職人の腕にかかっていると言われています。職人になるためには、弟子入り前に学校で専門知識と伝統技術を学ぶ必要があります。クレモナには有名な弦楽器製作学校「The International Violinmakers School of Cremona」があり、日本人の卒業生も多いそうです。
ひとりの職人が年間に制作できるバイオリンの数は3〜6本。70のパーツを手作業で作り上げていくため、1本の制作におよそ250時間かかるのだそうです。音楽家たちと意見を交換しながら、丁寧に作り上げていきます。知識と経験がものを言う世界ですね。
この地で行われる催し物やフェスティバルには弦楽器が音を弾ませ、音こそ出さないものの、ブティックや食料品店の店先にバイオリンがディスプレイされていることもしばしば。バイオリンがクレモナの日常に溶け込んでいる様子が分かります。
2013年8月には、地元の人たちが待ち望んでいたバイオリン博物館「Museo del Violino」がオープン。ストラディヴァリ、アマティ、グァルネリといった名工が残した名器の数々が展示されています。館内ではバイオリンを制作する様子が間近に見られるだけでなく、演奏を聴くこともできるのだそうです。音響設計家の豊田泰久氏が携わった近代的なコンサートホールも必見! コンサートやワークショップも随時行われているので、足を運ぶ予定のある人は事前にHPをチェックしておくことをおすすめします。
住所 Palazzo dell’Arte Piazza Marconi 5 – 26100 Cremona (IT)
電話 +39-372-801-801
入館料 10ユーロ
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