ウィーンの街でひときわ目立つ、カラフルで自由な建物、フンデルトヴァッサーハウス。
芸術家フンデルトヴァッサー氏の建築デビュー作でもある市営住宅です。
色彩豊かで直線を嫌う独特な作風
完成とともにたちまちウィーンの観光名所となったこの建物。理屈っぽく単調なモダニズム建築に反発していたフンデルトヴァッサー氏は、全く自由な発想で絵画的に壁をデザインしました。
フレームの切り取り方で全く違う色調になる壁面。
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画用紙を破ったように突然デザインが変わる部分も。
建物の内部も曲線。彼の建物にはほとんど直線がなく、壁と天井の境目や廊下もすべて曲線になっているそうです。
緑と融合した機能的な市営住宅
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彼の建築物のもうひとつの特徴に、ふんだんな緑化があります。当時は庭のない集合住宅ばかりだった中、ならば屋根やベランダに植物を植えればいい、というストレートな考えでこのような緑と融合した住宅になりました。
絡まった赤い蔦が、まるで飛ぶ鳥の群れのように壁を彩っています。
中央のガラス張りの部分は、温室になっているのだとか。このほかにも、子供が遊べるプレイルームやレストラン、診療所、屋上庭園など機能的にも充実した施設なのだそうです。
実は日本にもある!
フンデルトヴァッサー氏の建築物は、実は日本にもいくつかあります。こちらは大阪にあるゴミ処理施設、舞州(まいしま)工場。2001年に建てられました。
こちらは2004年に建てられた舞州スラッジセンター、下水汚泥集中処理場です。
一見、ただ派手でセンセーショナルな建物に捉えられがちですが、彼の作品には、「家と人と自然の共存」という哲学が込められているといいます。たしかに彼の発想から生まれた建築物は、どこまでも有機的で生き生きとしています。
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