スヴァールバル世界種子貯蔵庫
ノルウェーと北極の海の間に浮かぶスヴァールバル諸島にあるこちらの建物は、世界中の種子を保存する「Svalbard Global Seed Vault(スヴァールバル世界種子貯蔵庫)」です。
自然環境の変化や紛争などにより絶滅してしまうおそれのある植物の種子を、世界中から集めて保管しています。
建物は海抜130メートルの位置にある岩盤をくりぬいて作られており、強度や安全性には万全を期し、万が一、施設に支障が起きてしまっても、周辺環境がマイナス3~4度の永久凍土であるため、種の管理に影響はないそうで、いわば種子のシェルターともいうべき機能を果たしています。
未来を繋ぐ種の保存
まさに種子の箱舟というべき存在の貯蔵庫。2008年にノルウェー政府によって開設され、以来、世界中から種子が送られ、現在では約80万種類もの種子が集まっています。
世界種子貯蔵庫は銀行のような役割を持ち、種子は預け主のものとして保管されます。最近では紛争の絶えないシリアやナイジェリアなどの国から多く送り届けられているのだとか。戦争によって大地は荒れ果て、植物や生態系も影響を受けてしまいます。世界種子貯蔵庫は、こうした紛争地に対する国際支援の役割も担っているのです。
絶滅したオオムギの種子も眠る
日本からも昨年、岡山大学の資源植物科学研究所がオオムギの種子を世界種子貯蔵庫に保管・登録を申請しました。
同大では約70年も前から世界各地のオオムギの品種を収集しており、そこにはすでに絶滅してしまった品種も含まれているそうです。
主食ともなるオオムギは、食料の安定供給には欠かすことができない貴重な植物。将来、変動する可能性の高い地球環境に備えて、新しい品種を作りだすためにも、今ある植物を絶やさない努力が必要だといます。
私たちの気づかないところで行われている種子の保存プロジェクト。紛争地から運び込まれてくる種が、いつか平和な祖国の大地に蒔かれる日が来ることを願ってやみません。