訪日外国人観光客の数が2015年は順調に伸びています。各界の努力により4月までで600万人近くが訪日しており、さらに数を伸ばし続ける毎日ですが、世界の観光大国と呼ばれる国々は年間でどのくらいの外国人観光客を集めているのでしょうか?
そこで今回は、国土交通省や各国の機関が出した統計情報を参考に、世界で最も人を集めている国とその主な理由を考えてみたいと思います。
第3位・・・中国(5773万人)
アジアで唯一トップ3にランクインした国が、中国です。ただ、中国に関しては少し見方が複雑で、日本政府観光局が作成した2012年の5773万人という数字には、台湾(年間731万人)だけでなく香港(2377万人)とマカオ(1358万人)が含まれていません。その数を足すと全体で1億近くの数になります。
ただ、中国国家観光局の2013年の資料を見ると、同年に訪中した外国人観光客1億2907万人のうち、“香港人”の観光客が7688万人、“マカオ人”の観光客2074万人、“台湾人”の観光客516万人までカウントしているので、本当の意味で“外国人観光客”と呼べる人の数は2629万人とされています。中国の場合は何をもって外国人観光客と呼ぶのか、その点がちょっと複雑なのですね。
ただ、2629万人という数字だけを見ても日本より3倍近く集めており、日本と違って年間で566万人(2013年)もヨーロッパからの観光客を集めています。日本の場合はヨーロッパから53万人(2012年)しか訪れていない点を見ると、現状でアジア的な雰囲気を楽しみたい旅先としてはヨーロッパの人に中国が選ばれているのですね。
第2位・・・米国(6697万人)
第2位は米国です。少し古い情報ですが2012年には年間6697万人の外国人観光客を集め、米国商務省の2014年の統計では7480万人ほどが訪れたとされています。
国境を共にしたカナダ、メキシコからの観光客が圧倒的に多く、2014年は4000万人近くが両国から来ています。手軽に陸路で移動できる立地条件は、日本にはないメリットですよね。
カナダ、メキシコ以外で見ると、西ヨーロッパからの外国人観光客が最も多いと分かっています。大西洋を渡れば気軽に東海岸に足を運べるので、ヨーロッパの人々にも観光地として選ばれているのですね。
ちなみに外国人観光客が多く訪れるエリア(空港)は、1位がニューヨーク、2位がマイアミ、3位がロサンゼルス、4位がホノルルです。納得のエリアばかりですね。
第1位・・・フランス(8302万人)
世界で最も外国人を集めている観光大国はフランスになります。2012年と少し古いデータですが、同年フランスは8302万人の観光客を海外から呼び寄せました。2012年の日本は836万人なので、約10倍ですね。
ちなみに、年間8302万人のうち5426万人が陸路を使ってフランスに入国しているそう。フランス外務省の情報によると、外国人観光客の80%近くがヨーロッパの国々から来ているとか。そうした立地的な移動のしやすさも、フランスをナンバーワン観光大国にする一因になっているのですね。
ただ、もちろんフランスの魅力は立地の良さだけではありません。同国には38の世界遺産があり、8,000のミュージアムがあり、歴史も文化も知名度も申し分ありません。西欧最大の農業大国で美食の国でもあります。
まだヨーロッパに足を運んだ経験のない人は、フランスが最初の旅先として最適かもしれませんね。
以上、世界の観光大国の数字を見てみましたが、いかがでしたか? 日本はフランスや米国、中国と違って島国なので、陸続きの隣国から大量に外国人観光客に来てもらうといった誘致の仕方ができません。
ただ、日本にも歴史や文化、美しい四季の景観やおいしい食事、おもてなしの心があります。そうした魅力の1つ1つを地道に磨きながら、今以上にもっと愛される国になれるといいですよね。
[観光の状況 観光施策 要旨 – 国土交通省]
[フランス基礎データ – 外務省]
[アメリカ合衆国基礎データ – 外務省]
[中国基礎データ – 外務省]
[FOREIGN VISITOR ARRIVALS BY MODE OF TRANSPORT,JAN-DEC 2013 – China National Tourism Administration]
[Key figures of French tourism – French Ministry of Foreign Affairs and International Development]
[International Visitation to the United States: A Statistical Summary of U.S. Visitation (2014) – U.S. Department of Commerce International Trade Administration National Travel and Tourism Office]
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