旅に関する本と言ったら何を思い浮かべますか? 旅についての本を紀行文と言いますが、昔で言えば「土佐日記」や「奥の細道」などが有名で、現代も多くの名作が生まれています。
そこで今回は、この秋に読みたい旅の本を、定番の中から3つピックアップ。旅に出たいけど忙しくて出られない・・・といった人も、あれこれ読み進めているうちに、旅に出た気分になれるはずですよ。
1:司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズ
最初は司馬遼太郎「街道をゆく」シリーズです。このシリーズは「坂の上の雲」「竜馬がゆく」で有名な司馬遼太郎が週刊朝日に25年にわたって連載した紀行文です。
日本人や日本の歴史に極めて深い造詣を持つ著者が、日本や海外の街道を歩きながら感じたあれこれを土地の歴史に絡めながら語ってくれます。
例えば「沖縄に行きたいけど行けない・・・」という人はシリーズの中の「沖縄・先島への道」を読んでみる、「いつかモンゴルに行ってみたい」と思えば「モンゴル紀行」を読んでみるなど、興味関心のある土地についての1冊を選んで読むと特に楽しめます。
一方で今までに行った旅先や、故郷に関する巻があれば手にとってみてもいいかもしれません。通い慣れた道や歩き慣れた町並みをまた違った角度から眺められるようになるはずですよ。
2:村上春樹の「辺境・近境」
言わずと知れた日本を代表する作家、村上春樹の紀行「辺境・近境」です。小説家としてしか知らず、同作家の旅に関するエッセイを読んだ経験がないという読者も居るはず。
ただ、長編小説ほど知名度は高くありませんが同著のファンは多く、例えばJTBのスタッフが選ぶ「旅に持っていきたい100冊の本」にも選ばれている傑作です。
若いころから海外に「住み移り」を繰り返してきた作家の文章は、フィクションの物語と同様に紀行文でも読者を本の中に引き込んでくれます。
読み進めていくうちに、村上春樹と一緒に旅をしている気持ちにさせてくれますので、忙しかったり予算の都合がつかなかったりで旅に出られない人は、いい気分転換になるかもしれません。
3:沢木耕太郎の「深夜特急」
旅に関する本として最も有名な作品と言える沢木耕太郎の「深夜特急」。まだ海外旅行が当たり前でない時代に作者が1年間かけて回ったアジアからヨーロッパへの旅をまとめた作品で、旅を愛する人にとっては必読書となっています。
1巻から6巻に至るまで香港・マカオ→マレー半島→インド・ネパール→シルクロード→トルコ・ギリシャ・地中海→南ヨーロッパ・ロンドンと話が進んでいきますので、順番に読んでいってもいいですし、気になる巻を先に読んでも面白いです。
今回ご紹介した3作はユーモアあり、発見あり、学びありの大作家の傑作ぞろいです。これから訪れる国の予習として読んでも役に立ちますので、とりあえず旅を愛する人であれば一通りそろえて本棚にしまっておきたいですね。
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