楽しい旅の思い出は、どのようにまとめていますか？ 旅日記をつけたり、最近ではブログやSNSで発信する方も多いのではないでしょうか。ロシア出身のアーティスト、アナスタシア・サヴィノヴァさん（Anastasia Savinova）は訪れた場所の記録をこんなアートとして表現しています。
異国の風景をコラージュし、異世界をクリエイト
パリやベルリンなど、どこかで見たことがあるような家構えをコラージュし、全く異なる風景に変えてしまっているアナスタシアさんの作品たち。眺めていると、異世界に迷い込んだような気分になってきます。
そして時には、家が箱舟のようになっていたり。このまま異世界に連れて行ってくれそうですね！
更には、こんなに土台が心もとない作品も。けれど、日本でも外国でも「この家、大丈夫かな」と心配になってしまう廃屋にふとした瞬間に出合いますよね。そんな偶然の出合を連想させます。それとも実は、「我々の生活自体が気づかないだけでこんなに危ういバランスで成り立っている」という暗喩でしょうか？
スウェーデンから世界中にアートを発信
(c) Instagram / ANASTASIA SAVINOVA
ただ素敵なだけではなく、見るものに様々なことを考えさせるアートを生み出すアナスタシアさんは、現在スウェーデンを拠点に活躍中。ヨーロッパを中心とした様々な国や都市を旅してまわり、作品のモチーフとなっている建物を撮影しています。
そして旅の最中にお店やバーにふらりと立ち寄り、時には建物の窓をそっとのぞき見しながら日常生活や土地の雰囲気をとらえ、作品のインスピレーションを得るのだとか。彼女は自分のこのコラージュアートを「Genius Loci」（ゲニウス・ロキ）と名付けていますが、これは「土地柄」「風土」を意味するものの、元々はローマ神話に登場する土地の守護精霊を指す言葉。そういった土地に根付くスピリットまで作品に込められているんですね。
(c) Instagram / ANASTASIA SAVINOVA
(c) Instagram / ANASTASIA SAVINOVA
そんなアナスタシアさんのアートのファンは世界中に急増中で、世界中に作品を郵送するのに忙しそうです。段ボールに描かれたスマイルマークからも、彼女の喜びが伝わってきます。
我々がいきなりプロのアーティストのような作品を創りだすのは難しそうですが、旅行の後は、自分なりに「土地の空気感」をアートで残すのも素敵ですね。
[ANASTASIA SAVINOVA]
[The Spirit of Cities Captured in Collage｜archdaily]
PROFILE
Naoko Kurata ライター
オランダ在住ライター。元バックパッカーの旅行愛好家。2004年に映画ライターとしてデビュー。2008年、北アフリカのリビアへ移住後に海外在住ライターとして活動スタート。2011年から4年間のUKスコットランド生活を経て、2015年夏にオランダへ再移住。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
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