オスマン朝時代の古い町並が残る町、サフランボル。初めて訪れた人でも無性になつかしさがこみあげてくるような、「心のふるさと」を感じさせる場所です。
黒海の険しい山々に囲まれた谷に広がる小さな町で、かつて香料・サフランの集積地として繁栄したことからその名前がつけられました。
トルコの中でも特に昔ながらの町並みが残る場所として有名なサフランボル。土壁に木の窓枠が並ぶ伝統家屋を眺めながら石畳を歩けば、まるでタイムスリップしたかのような気分が味わえます。
サフランボル今昔
サフランボルが最も栄えたのは14~17世紀のことで、シルクロードへの通過点でもありました。今でもかつての隊商宿「キャラバンサライ」の建物が残っており、現在はホテルやレストランとして営業しています。
また、馬の鞍などの革製品作りを中心とした商業都市でもありました。現在でも伝統的な職人文化が生きていて、鍛冶屋が並ぶ通りがあります。あちこちで鉄を打つ音が響き、丹精込めた手仕事の匂いが感じられます。
数時間あれば周れてしまうくらいの小さな町ですが、細い路地にも分け入ってみたり、職人の工房を見学したりと、時間をかけてゆったりとした時間を味わってみましょう。
穏やかな空気が流れる町らしく、人々も素朴な温かさで迎え入れてくれます。「日本から来たのかい。チャイでもどう?」と歓待してくれることも珍しくありません。
丘から眺める絶景
観光の中心地、旧市街から坂を登るとたどり着くのが、「フドゥルルックの丘」。ここからサフランボルの町が一望でき、独特のすり鉢状の地形を実感できます。
緑の山々に囲まれたオレンジ屋根の家々、均整のとれたジャーミイ(モスク)のミナレット。情感あふれる絶景に心うたれます。遠く離れたトルコに、これほど日本人の心の琴線に触れる光景があったなんて・・・。
サフランボルならではの古民家ステイ
サフランボルに来たらぜひ体験したいのが古民家を改装したホテルやペンションでの滞在。Imren Lokum Konak Butik Hotelは、老舗ロクム(トルコ菓子)店、「イムレン」が2010年にオープンしたブティックホテルです。伝統的なトルコの邸宅を改装した建物は木のぬくもりにあふれています。もちろん自慢のロクムのサービスもありますよ。あまりの居心地の良さにいつまでも滞在していたくなりそうです。
一度魅了されると去りがたくなる小さな町、サフランボル。そしてこの町を去った後、また戻ってきたいという衝動に駆られるのです。
[Imren Lokum Konak Butik Hotel]
[Photos by Shutterstock.com]