北海道は札幌にあるチーズ工場のファットリアビオ北海道。その工場で出来るチーズは、他とはちょっと違うんです。実はこの工場で作られるチーズは本場・イタリアから職人が北海道の素材のポテンシャルの高さに驚き、世界最高のチーズを作るためだけに移住してきたというからそれもそのはず。チーズの祭典「JAPAN CHEESE AWARD’14」ではなんと移住1年目にして金賞2つ、銅賞1つを受賞するという快挙を果たしたそのチーズとそこに至るまでの道のりをお伝えしたいと思います。
ファットリアビオ北海道とは
職人のジョバンニ・グラツィアーノ氏と2人のイタリア人チーズ職人、そして数人の日本人スタッフから編成されるそのチーズ工場。チーズ作りに対する意識の高さでは右に出るものはいないと言われるジョバンニ氏の徹底した姿勢は、その工場にもしっかりと表れています。なんとその工場で使われる機械はすべてイタリアから輸入したもので、最高のチーズ作りをするために使われる牛乳も厳選に厳選を重ねて選出されたもの。では、どうして「北海道」なのでしょうか? それには”ある理由”がありました。
北海道に移住したきっかけ
ジョバンニ氏は今でこそ北海道に根付きチーズ作りに精を出す職人ですが、はじまりは東京の有名レストラン・イタリアンレストラン「エリオロカンダイタリアーナ」のオーナー エリオ・オサーラ氏の一言にありました。その当時ユーロ値上がりの影響でイタリアのチーズを使うことが困難になりつつあったとき、彼は北海道の牛乳の美味しさに目をつけ「北海道にイタリアのチーズに近い味はないか?」と友人でありノースユナイテッドの高橋廣行社長に相談をしたといいます。結局納得のいくものに出会えず最後に出した決断は「それならば自分たちで工場を作ってしまおう!」というなんとも仰天豪快なもの。最高レベルの北海道の牛乳と、最高レベルの職人がいたら・・・という想像は形となり、やがて結果へと導かれることとなったのです。
「なろうと思ったことはない、気がついたらそうだったんだ」
ジョバンニ氏は元々チーズマスターとして南イタリアのFattoria bio Italiaで15年の修行をしていたその道のプロですが、チーズ作りを始めたのはなんと5歳から。というのも、ジョバンニ氏の父親もまた南イタリアのカラブリアのチーズ職人であり、ジョバンニ氏は物心つく前からチーズに触れていたのだからいわばチーズの英才教育を受けてきた一人。チーズ界のサラブレッドとも言える彼は、日頃からチーズ作りの伝統やノウハウを父親から教えてもらうことにより、チーズが生活の一部となっていきました。チーズ職人になったキッカケを尋ねるも、「なろうと思ったことはない、気がついたらそうだったんだ。」というその言葉からはチーズと共に人生を歩んできた彼の生き様さえが垣間見えます。
移住一年目で果たした快挙
そして移住一年目にして彼らが作るチーズは大舞台で快挙を果たしました。なんとNPOチーズプロフェッショナル協会が主催する国産ナチュラルチーズコンテストの「JAPAN CHEESE AWARD’14」で、出品したリコッタチーズとカチョカバロが金賞を受賞し、モッツァレラチーズが銅賞に輝いたのです。それはイタリアの地元紙の一面も飾る出来事にも発展しました。大のチーズ好きで世界中のチーズを舌鼓してきた筆者も「道産子としてこれは見逃せない!」と早速頂きましたが、口に入れた瞬間びっくり。「もしかすると世界で一番美味しいかもしれない・・・」と思ってしまうほどの濃厚さとフレッシュさは、世界の名だたるチーズに負けないポテンシャルを秘めていたのです。
そんなジョバンニ氏が大切にしているチーズ作りに最も必要なことは、「情熱」だといいます。
「情熱がなければ、何もできやしない」ーそれは小さいころにイタリアのおじいさんに教えられたスピリッツ。そんな思いを持って、彼はいまも北海道でチーズ作りに励んでいます。ジョバンニ氏はチーズひとつひとつに手間暇をかけ、情熱と愛を注ぐことによって最高のチーズを作り出しているのです。美味しいものは人を幸せにする、そしてそれは時に感動につながる。そんなことを信じてやまない筆者は、見えない誰かに「感動」というギフトを運んでいるジョバンニ氏とその仲間たちへ感謝と賞賛を送りたくなりました。そんな裏話を聞くとさらに溢れ出すのは、食への底知れない有難み。美味しいものには、いつも「ある理由」が隠されているのですね。
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[fattoria bio Hokkaido]