海外から理解されにくい日本人の「気持ち」5選〜「ほっこり」って何!?〜

Posted by: トゥルーテル美紗子

掲載日: Aug 18th, 2016

海外から理解されにくい日本人の「気持ち」5選〜「ほっこり」って何!?〜

「日本人は感情を表に出さない」と言われます。「感情がないみたい」とも。でも、感情がないわけでは勿論なく、心の中ではしっかり何かを感じているんですよね。

海外の人にはなかなか理解してもらえない、英語に訳しにくい感情表現を5つ挙げてみました。

悔しい

海外から理解されにくい日本人の「気持ち」5選〜「ほっこり」って何!?〜

「悔しい~あと一点で満点だったのに!」「いいところなのにアプリがフリーズしちゃったよ、悔しい!」。頻繁に味わうこの「悔しい」という感情、実は英語にするのがなかなか難しい表現です。

悔しさの中身を解剖すると、苛立ち、腹立たしさ、後悔、がっかり感などがないまぜになっていませんか。それぞれはI’m really frustrated!(ほんとイライラする!)、So disappointed.(もうガッカリだよ)などと表せますが、それらを一緒くたに表す英語は見当たりません。

英語圏の人たちは、苛立つ時は真っ赤になって苛立ち、ガッカリする時はそれはもう青ざめるほどにガッカリします。苛立ちも後悔の念も少しずつじんわり味わう「悔しさ」は、日本人ならではの感情のような気がします。

もどかしい

何を考えているかわからない?英語に訳すのが難しい日本語の「感情」表現

「うーん、私が言いたいのはそうじゃなくて・・・」「足の裏がかゆいのに、靴を履いていたらかけないよ!」この「もどかしい」という感情、中国の故事には隔靴掻痒(かっかそうよう)という言葉がありますが、英語にするのは厄介です。

和英辞書をひくと、前述と同じbe frustrated(イライラする)が出てきますが、これこそかなりもどかしい訳。だって、「もどかしさ」に込められているのはイライラだけではないと思いませんか。苛立ち以上に「どうにかしたい!」という切望やじれったさ、時には悲しみなんかもあるはずです。

「『もどかしい』って、なかなか英語に訳せず、もー、もどかしい! この気持ちが『もどかしい』なの。わかる?」と説明すれば、少しはニュアンスが伝わるでしょうか。

ほっとする

何を考えているかわからない?英語に訳すのが難しい日本語の「感情」表現

「あ~メール誤送信してなくてよかった」と一瞬味わう安堵から、「やっぱり日本はいいなあ」と長きにわたって味わう安心感まで。「ほっとする」という表現はとても幅広いものです。

和英辞書は毎回be (feel) relievedを薦めてきますが、ネイティブが使うのをあまり耳にしたことがありませんし、「日本はいいなあ」のように長期的な安心感を表すには少しニュアンスが違う気もします。

「ほっとする」は、日本語に多いといわれるオノマトペ表現(擬音語、擬態語)でもあります。心から安心できる様子を「ほっ」という温かな言葉で表すのは、とても日本語らしく優しい表現であると思うのです。

ほっこりする

何を考えているかわからない?英語に訳すのが難しい日本語の「感情」表現

同じオノマトペ表現で、最近よく見かけるのが「ほっこり」という言葉。その歴史は案外古く、江戸時代にはもう使われていたといいます。

意味は東西で違いがあり、京ことばでは「心地よい疲労感」を表します。「ほっこりしたから温泉行こか」といった具合に。対して東の方では「あたたかな様」を意味し、「可愛いサルを見ると気持ちがほっこりするなあ」のように使われます。最近は「ほっこりできるカフェ」など、居心地の良さを表すことも多いですよね。

そのいずれも、英語には訳しにくい感情です。特に「心地よい疲労感」はなんとも難しい表現です。英語にはただの疲労感(fatigue)しか見当たりません。

感慨深い

何を考えているかわからない?英語に訳すのが難しい日本語の「感情」表現

「ついに世界一周達成だ、感慨深いなあ」と自分の感情を表すこともあれば、「10年コツコツと貯めたマイルで出かけた旅行は、とても感慨深いものでした」と名詞を形容することもできる「感慨深い」という言葉。これも英語には訳しにくいものです。

英語ではtouchedやmovedといった単語で感動・感激の気持ちを表しますが、これだと「感慨深さ」に当てはめるには少々大げさな気もします。

海外から理解されにくい日本人の「気持ち」5選〜「ほっこり」って何!?〜

感動の気持ちを表に出さず、しみじみ胸の内で感慨深く思うのは、日本人ならではなのかもしれません。ただ感情を表に出さない分、海外の人には「感動しているのかどうかわからない」と思われてしまうかもしれませんが。

以上、英語に訳しにくい5つの感情表現でした。日本特有ともいえるこれらの表現からは、日本人の特性が透けて見えるようですね。

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

トゥルーテル美紗子

Misako Treutel ライター/翻訳業

1986年生まれ。大学では英米文学・英語学を専攻していたが、授業そっちのけで留学、国際インターンシップ、旅に明け暮れる。大学卒業後は出版社に入社し、約80点書籍を制作。2015年に退社し、現在は米国シアトル在住。

1986年生まれ。大学では英米文学・英語学を専攻していたが、授業そっちのけで留学、国際インターンシップ、旅に明け暮れる。大学卒業後は出版社に入社し、約80点書籍を制作。2015年に退社し、現在は米国シアトル在住。

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