いまは世界で訳されることなく共通語となった ”Sushi” や ”Karaoke” はもちろん、実は海外では英語に変換されることなく日本語として浸透した言葉はたくさんあります。メジャーで身近なものから意外なものまで、幅広く「10の日本語」をご紹介いたします。
1.Emoji(絵文字)
意外や意外! 実は絵文字の文化は日本が発祥で、これは海外でもそのまま”Emoji”と呼ばれているのです。いまは絵文字メーカーという自分そっくりのアバターの絵文字を作るアプリまであり、アメリカでは大ヒット中。アメリカ人のなかには、日本語だと知らずに”Emoji”と呼んでいる人も多いほどこの言葉は浸透しています。
2.Panko(パン粉)
さほど有名ではなかったパン粉ですが、日の目を浴びるようになったのはアメリカの有名シェフがレシピで多用するようになってから。いまでは”Food Network”という日本版「料理の鉄人」でもパン粉を使用したレシピが数多く紹介されています。きめ細かく軽やかで独特の食感を作り出すパン粉は、たちまち主婦を中心に大ヒットしました。いままではアジアンマーケットでしか購入できなかったパン粉ですが、いまでは普通のスーパーの店頭にも並ぶようになるほどの人気ぶりなんです。
3 .Bento(弁当)
「お弁当」を「ランチボックス」に変換されてもおかしくないところですが、ここは”Bento”のまま浸透し共通語として使われています。空前の日本ブームが起こったフランスではもれなくお弁当も流行することになり、日本に観光へやってきたフランス人はお弁当箱をまとめ買いするなんてことも多々あったようです。色とりどりで美しい上に栄養までをも考えた日本のお弁当は、海外の人からすると絶賛すべきポイントのひとつだそう。なんだか嬉しいですね。
4. Tempra(てんぷら)
世界中に根強いファンがたくさんいる食べ物のひとつといえば「てんぷら」です。日本食といえど豆腐や納豆を筆頭にほとんどのものには賛否両論が付きまといますが、筆者の経験上ひとつだけマイナスな意見を聞かない食べ物がありました。それは「てんぷら」。外国人の友人などに料理を振る舞う場合に迷ったら「てんぷら」をオススメします。
5.Origami(折り紙)
繊細でアーティスティックな日本の誇れる文化ですが、たしかになんと訳していいのか分からないのは「折り紙」。ということで、海外でも”Origami”として浸透しています。知名度はあっても折り方までは知らないという人が多いので、何かお世話になったときには折り紙をプレゼントしたり折り方を教えてあげると喜んでもらえます。
6. Otaku(オタク)
英語でもオタク的な意味を持つ、ナード(英: Nerd)やギーク(英: Geek)という言葉は存在します。ではなぜ”Otaku”という言葉が浸透したのでしょうか? その理由は日本の最先端のアニメ文化にあるようです。海外でもブレイクした人気アニメはほとんどが日本発祥のものであり、そういったアニメとともに「オタク」という言葉も一般化されたようです。同じ言葉を使うことで、海を越えて共通の仲間意識というものが生まれるのかもしれませんね。
7. Teriyaki(テリヤキ)
いまやアジア系のレストランでなくても必ずひとつメニューに見つけるほど一般化されたのは「照り焼き」という言葉。基本的にチキンウィングというものには照り焼きソースは鉄板であり、大手ファストフード店でも照り焼きバーガーなどを販売しているほどです。こってりとしていて甘みのあるソースは、アメリカ人にとっては最高の味付けのようです。
8. Teppanyaki(鉄板焼き)
「鉄板焼き」がここまで有名になった原因は何を隠そう、ニューヨークの鉄板焼きレストランの「Benihana」にありました。当時鉄板焼きのスタイルのお店などアメリカには一店舗もなかったときに、ロッキー青木さんという一人の日本人がニューヨークにオープン。目の前で焼いてくれるパフォーマンス形式の鉄板焼きはアメリカ人に大ウケし、たちまち ”Teppanyaki” という言葉が広まったのです。
9. Senpai(先輩)・Kouhai(後輩)
この言葉は英語に当てはまるものがなく、そのまま使われている例のひとつ。漫画でも頻出する「先輩」「後輩」という言葉は、海外で出版されるときに訳されることなくローマ字で使われることが多々あります。呼び名ひとつで上下関係が把握できてしまうこの言葉は、英語圏のMr, Msなどの敬称とはすこし違うニュアンスを持つようです。そう考えると、日本語というのは一言で様々なことを伝えられることのできる、便利な言葉が多いのかもしれませんね。
10. Mottainai(もったいない)!
「もったいない」という言葉は「おもてなし」と同様、英語変換する言葉がない訳ではないけれど100パーセントぴったりではない、という日本独自の言葉です。「もったいない」という言葉には無駄にしていはいけないという意味だけでなく、粗末に扱うことへの罪悪感や物に対する情が含まれているため、これを英語にするのは難しいと言われています。そういった言葉は日本人の性質や心さえも表しているのだとしたら、英訳に変換できないのは当然なのかもしれません。
中には「どうしてこれが共通語になったんだろう」と首を傾げるものもあったかと思いますが、それには理由があると筆者は考えています。
例として一つ挙げると「和食」という言葉が訳されることなく使われている理由に通じるものです。それは海外からの「リスペクト」。その言葉自体に壮大な歴史やさまざまなストーリーが隠されていることを理解して、長きに渡る日本の文化を「すばらしい!」と考える海外の人々はあえて英語にすることなく共通語として浸透させたのではないでしょうか。日本人よりも日本の文化に詳しい外国人が増えてきていると言われる昨今。筆者を含めまず日本人である私たちが日本の文化に今以上に目を向けることが必要なのかもしれませんね。
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