あなたも知っておいた方がいい、将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

Posted by: 倉田直子

掲載日: Sep 21st, 2016

2014年から絶滅危惧種指定を受けているニホンウナギ。「土用の丑の日に蒲焼が食べられなくなるの?」と話題を呼びましたが、世界を見渡してみると「将来食べられなくなるかもしれない」食品は他にもたくさんあります。しかも私たちの食生活でお馴染みのものも!? 気候変動で食べられなくなる恐れのある10の飲食品をご紹介します。

ムール貝

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

パエリアやブイヤベースでお馴染みのムール貝。そんな海鮮の人気食材に「食べられなくなる危険」が迫っているそうです。スウェーデンのヨーテボリ大学の研究によると、気候変動で海水の温度が2度上昇すると麻痺性貝毒(paralytic shellfish toxin)という毒素を算出する原因になる細菌やプランクトンが貝類に蓄積する恐れがあるのだとか。この毒素は調理の過熱では取り除くことができず、もし麻痺性貝毒を含む貝を食べたら最悪の場合は死に至ることもあるそう。そのため、今後100年以内にムール貝は食べられなくなるのではないかと科学者たちは見解を示しています。

[Mussels ‘to become poisonous’ through climate change]

チョコレート

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

世界中で愛されているチョコレート。筆者も仕事のお供に欠かせない存在です。そんなチョコレートが食べられなくなるとはどういうことでしょうか?

実はチョコレートの原料であるカカオは、総生産量の半分がコートジボワール産とガーナ産です。2か国とも西アフリカに位置していますが、2050年までに予測されている2.3度の気温上昇が起こると、カカオの生産が現状通りにいかなくなると言われているのです。国際熱帯農業センター(the International Center for Tropical Agriculture)は、「生産量は半減し、チョコレートの価格は急激に上昇するはず」だと予測しています。今まで(先進国では)気軽に食べられたチョコレートも、今後は高級なぜいたく品になってしまうかもしれないのですね!

[Chocolate will become an expensive luxury item due to climate change]

ボルドー産ワイン

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

今や日本の食卓でもすっかり欠かせない存在のワインも、危機にさらされています。チョコレート同様、2050年までに予測されている気温上昇が起こると、世界的にワインの産地として有名なボルドーに影響が及ぶというのです。ワインの原料のぶどうは、夏の高温や干ばつが極端になると、実やつるの健全な成長を妨げられるのだとか。ワイン生産者のほうでも耐熱性ブドウ品種への切り替えを順次しているそうですが、切り替えには時間もかかるので、温暖化との時間競争の様な状態になっています。ワイン生産者たちが対策をじっくり練られるよう、少しでも気候変動が後ろ倒しになってほしいです。

[Global warming threatens wine production in France]

パスタ

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

パスタが食べられなくなった世界なんか想像したくないですが、その危機はもうすぐそこまで迫っているそう。パスタの原料である小麦(特にデュラム小麦)は乾燥した涼しい季節を好む作物ですが、気候温暖化はその成長と品質に悪影響を及ぼすと言われています。更に季節外れの大雨などでも壊滅的な害を被る繊細な作物なのです。アメリカのデュラム小麦農家の中には「翌年も作るべきかどうか」と迷っている人も出てきているそう。ランチにパスタが食べられない未来、なんとしてでも避けたいですね。

[Climate change could wipe out pasta]

天然サーモン

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

サーモンの危機を指摘しているのは、イギリスにあるプリマス大学による研究。産業革命が起こった1840年代と比較すると、現代の海水は二酸化炭素(CO2)を吸収し、30%も酸化しているというのです。この「海洋酸性化」は貝類が殻を作りにくくなるという状況を引き起こし、その貝などを餌にしている魚たちが十分な食物にありつけなくなる状態になるのです。それが引いては海の中の生態系に影響を及ぼし、その頂点にいる鮭(サーモン)のような大型魚の減少にもつながるのだとか。プリマス海洋研究所(Plymouth Marine Laboratory)によると既に鮭の減少は数値に表れているそう。
どこか他人事に聞こえた「CO2排出量」という問題が、我々の食卓にも影響を及ぼしているんですね。

[Cancun climate summit: Britain’s salmon at risk from ocean acidification]

はちみつ

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

はちみつを作っているのはミツバチですが、このミツバチが危機に瀕しているというのです。イギリスのレディング大学のサイモン・ポッツ教授(Simon Potts)によると、ミツバチは気候温暖化により主に2つの危機に直面しているといいます。一つ目は生息可能な地域の変動で、2つ目はミツバチの活動時期と開花時期のすれ違い。ミツバチは春から夏にかけて活動する性質を持っているのですが、そのタイミングが(温暖化で)年々早まってきているのです。はちみつの原料になる花たちも同様に開花時期を早めてはいるのですが、ミツバチたちの活動時期と徐々にずれてきていることを専門家たちは心配しています。つまり、ミツバチたちがせっせとはちみつを作ろうとする時期に、まだ花が開いていないなんていう事態が近い将来訪れるということなんですね!それでは、はちみつもできようがありません。

[Bees and the crops they pollinate are at risk from climate change, IPCC report to warn]

コーヒー

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普段、我々がコーヒー豆専門店で購入する豆は「アラビカ種」がほとんどなのですが、地球規模の気候温暖化でその生産量に影響が出ると予測されています。イギリス王立植物園キューガーデン(Kew Garden)の研究によると、2080年までにアラビカ種のコーヒー豆を生産している地域の99.7%が、栽培に適さない気候に変わってしまうというのです。「99.7%ではなく、65%くらいのダメージで済むのではないか」という分析もあるそうですが、作物の収穫量次第では2020年までに早々に生産をやめてしまう農家も出てくるのではないかと言われています。朝の目覚めに一杯のコーヒーが欠かせない筆者にはつらい情報です。

[Coffee threatened by climate change]

ピーナッツ

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

ピーナッツのようなナッツ類も、気候変動による危機からは逃げられないようです。固い殻に包まれているにも関わらず、ピーナッツはとても繊細な作物。収穫できるまできちんと育てるためには、一定の温度とちょうど良い量の降雨が必要ですが、近年の気候変動で収穫量に変動が出てきているのです。2011年、ピーナッツの産地であるアメリカ南西部が深刻な干ばつに見舞われたことで、収穫量が大幅に減少してしまったそう。そのせいでピーナッツの価格は40%も上昇したのだとか。
今後も過酷な夏は続きそうで、2013年の米国グローバルチェンジ研究計画(U.S. Global Change Research Program )の全国気候評価では、主な米国のピーナッツ生産者である南部の州の夏は、より暑く乾燥した気候になっていくと予測されています。このまま価格上昇が続けば、ピーナッツそのものはもちろんのこと、ピーナッツバターも手に入りにくい高級品に変わってしまうかもしれませんね。

[Climate Change Affects Winter Chill for Temperate Fruit and Nut Trees]

さくらんぼ

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

さくらんぼの実がなるには、昼夜の寒暖差が必要だと言われています。けれど気候変動で夜が暖かくなると、さくらんぼの木の開花時期が狂い、(受粉がしにくくなり)実がならなくなってしまうのです。さくらんぼにとって気温上昇は、そのまま収穫量減少につながっているんですね。 2012年アメリカ中西部に位置するミシガン州では、夏が長引き寒い季節の到来が遅れたために、さくらんぼ(アメリカンチェリー)の収穫量が例年の10%になってしまったそうです。美味しいチェリーパイやチェリータルトを食べ続けるためには、やはり気温上昇がネックになっているんですね。

[A Sour Season for Michigan’s Cherry Farmers]

ベーコン

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

豚肉から作られているベーコンは、当然ながら豚がいないと食べられません。けれど気候変動で気温の上昇や干ばつが悪化すると、豚の餌となる作物が手に入りにくくなり、豚肉の生産量や価格に影響が出ると懸念されています。実際に2012年には、アメリカで主に豚の餌として採用されているトウモロコシや大豆が大干ばつで収穫量が激減し、飼料代が高騰してしまったそう。それが豚肉の原価にも反映され、実に2倍近くまで跳ね上がってしまったのだとか。今後もこういった事態が続けば、確かに豚の飼育を諦める酪農家さんたちも増えてしまうかもしれませんね。朝食にベーコンエッグがある光景は、当たり前のものではなくなりそうです。

[Pork and bacon shortage ‘unavoidable’ as record drought raises feed costs]

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

「将来食べられなくなるかもしれない」10の食品たち、いかがでしたでしょうか。どれもこれも、既に私たちの食卓になくてはならない存在ですよね。そして、この危機を引き起こしているのは気候変動、地球温暖化でした。いつまでも10の食品を楽しめるように、常に環境問題には積極的に関心をもっていたいですね。

ウナギだけじゃない?将来食べられなくなるかもしれない10の飲食品

[All photos by Shutterstock.com]
[10 foods we could lose because of climate change]

PROFILE

倉田直子

Naoko Kurata ライター

オランダ在住ライター。元バックパッカーの旅行愛好家。2004年に映画ライターとしてデビュー。2008年、北アフリカのリビアへ移住後に海外在住ライターとして活動スタート。2011年から4年間のUKスコットランド生活を経て、2015年夏にオランダへ再移住。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
https://www.amazon.co.jp/dp/B0758JCDTM/

オランダ在住ライター。元バックパッカーの旅行愛好家。2004年に映画ライターとしてデビュー。2008年、北アフリカのリビアへ移住後に海外在住ライターとして活動スタート。2011年から4年間のUKスコットランド生活を経て、2015年夏にオランダへ再移住。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
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