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海外では入学・入社前の「旅活」が当たり前!?「ギャップイヤー」の真相

Posted by: 目黒沙弥
掲載日: Feb 1st, 2017. 更新日: Jan 31st, 2017
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仕事を辞めて旅に出る人や、大学を休学し旅に出る人が日本にも徐々に増えてきている昨今。それでも、社会へ出るときや復学するときにハンデとなってしまうことも多いようです。

そんな中、海外の「ギャップイヤー」という制度が日本でも注目されています。海外では当たり前のように浸透している、一種の「旅活」とも言えるこの制度の秘密に迫りたいと思います。


「ギャップ・イヤー」とは?

日本人が旅に出ないのは制度のせい!?注目すべき「ギャップ・イヤー」の真相に迫る

ギャップ・イヤー(英: Gap year)とは、高校卒業から大学入学、大学卒業後から大学院までの節目の期間を長く設けるというイギリス発祥の制度です。簡単に言うと「若い内に旅をしたりいろんな人に会ったりして、経験を積んでおいで」とあえてブランクを与える制度のことを指しますが、この制度は今やイギリスだけにはとどまらず、欧米諸国では当たり前のように浸透しています。

日本人の感覚からすると、「ブランクが支障になってしまうじゃないか?」と思ってしまうこの制度。でもこのギャップイヤーの一番の強みは、「社会全体が推奨している」というところにあります。この期間に彼らはやりたいことを見つけたり、新しいことに挑戦したり、様々な異なる文化に触れることで後々大きな意味を持つ経験をするのです。

あのオバマ大統領の娘も!?

日本人が旅に出ないのは制度のせい!?注目すべき「ギャップ・イヤー」の真相に迫る

ギャップ・イヤーは決して珍しいことではなく、アメリカの大学では大学の用意したギャップ・イヤープログラムに参加した学生には支援金を出す制度があるなど、大々的にバックアップをする傾向。その証拠に、あのオバマ大統領の長女・マリアさんもハーバード大学進学前の一年間をギャップ・イヤーとし、一年遅れで入学することを決めました。

「どう過ごすのか?」と聞かれた際に、「映画やテレビの世界に興味がある」と答えたマリアさんでしたが、「でもまだ未定なのでこれから決める」と付け加えたように、どのように過ごすかは人それぞれ。ギャップ・イヤーを設ける多くの人は「旅」か「インターンシップ」を選ぶことが多いようですが、何をしたって良いんです。

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メリットはこんなにある!

日本人が旅に出ないのは制度のせい!?注目すべき「ギャップ・イヤー」の真相に迫る

ギャップ・イヤーが設けられる期間はだいたい18〜26歳と、今後の人生を左右する分岐点となる時期だとも言えます。そんな時期に経験することは、多感で純粋な心を持つ彼らにとっては大きな意味を持つものになるのは間違いありません。旅一つとっても、いろいろな国の異なる文化に触れたり、様々な人に出会ったりと、五感を常に使うことで「グローバル」な思考を生み出す経験となるのです。その結果、自分の道標を見つけ社会復帰・学業復帰をした人たちがたくさんいるんです。その実例として、筆者が約二年の旅を通して出会った最も印象的な三人を紹介します。

実例1
名前:Lea(リア)
年齢:19歳
国籍:ドイツ
事情:高校卒業後、進路を決めず半年間のインド縦断を決意。「workaway」という働き手と働き口のマッチングサービスでインドのゴアにある動物保護ボランティアを見つけ、3ヶ月のボランティアを経験。今まで動物と接点のない人生でありながら、3ヶ月でいかに自分が動物が好きかを知り、「動物のために何かを」と獣医になることを決意。帰国後大学へ進学し、現在進行形で獣医の道を目指して猛勉強中。

実例2
名前:Laura(ラウラ)
年齢:20歳
国籍:コロンビア
事情:高校を卒業後フランスに渡り資金を稼ぎ、世界一周へ出発。途中お金が尽きイタリアでも半年ほど働いたため、旅の終盤には母国語のスペイン語に加えフランス語・イタリア語、そして旅で鍛えられた英語と4ヶ国語を習得。現在は語学力を活かして様々な言語でアーティスト活動をSNS配信をしながら、ママとしても幸せに生活中。

実例3
名前:Sami(サミ)
年齢:22歳
国籍:フランス
事情:高校卒業後やりたいこともお金もなく、なけなしの金で遠距離恋愛中の彼女のいるオーストラリアに渡りヒモとなる。「このままではいかん!」と仕事を探しているとニュージーランドでビザを支給してくれる会社に出会い、身一つでニュージーランドへ渡る。一年間働いた後、英語力と資金を携え、夢であったアジアへと旅に出る。そこで貧しい子供たちへの英語とフランス語教育に携わり、教師になる夢を抱く。一年の旅を終えた後フランスへと戻り、大学へ入学。教師になるため現在奮闘中。

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内定後にも

日本人が旅に出ないのは制度のせい!?注目すべき「ギャップ・イヤー」の真相に迫る

このギャップ・イヤー、実は日本にも少しずつですが取り入れる大学が増えており、さらには会社にもその余波は広がっています。その証拠に、DIESELジャパンは内定者には入社から半年間の
「Brave 採用」という名のギャップ・イヤー制度を設け、その間に「自分磨き」をしてくることを推奨しています。DIESELはイタリアの会社ですが、よりユニークで斬新なアイディアが必要とされるアパレル業界にはぴったりの制度ですね。

自分らしくあるために

日本人が旅に出ないのは制度のせい!?注目すべき「ギャップ・イヤー」の真相に迫る

あえて敷かれたレースに進まず、自分と見つめ直す時期を設けるこのギャップ・イヤーという制度。側から見るとなんだか遠回りしているようにも見えてしまいがちなこの制度ですが、実際は仕事面でも違いを生み出すキッカケとなっているよう。実はオーストラリアの国立教育機関の調査では、「ギャップイヤー経験者はここ10年で倍増し、非経験者より就学力が高いという結果が出た」とまで発表されているんです。そう考えると、ギャップ・イヤーを経験することは自分をよく知るキッカケにもなり、結果的には幸せとなる一番の近道なのかもしれません。日本にももっとこうした制度が広がり、本当の意味での「グローバル」な若者がたくさん増えたら良いですね。

[AMERICAN GAP ASSOCIATION]
[文部科学省ー諸外国におけるギャップイヤー状況]
[All Photos by shutterstock.com]

目黒沙弥

Saya Meguro ライター
北海道出身。NZや日本をヒッチハイク縦断してみたり、ヒマラヤに登ってみたり、スペインで盗難に遭ってみたり。とにかくワクワクすることがすき。将来の夢は湖畔のちかくに家を建てて、動物と自然に囲まれて暮らすこと。

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